「仙人が住んでいそう」長野にある日本一の桃源郷  夢のように幻想的な風景が大反響

五ヶ瀬 あお 五ヶ瀬 あお

「長野にある桃源郷知ってますか?」と題して、赤・白・ピンク色の花が咲き誇る風景写真がTwitterに投稿され、4000件以上のリツイート、4.2万いいねが集まり話題となりました。

 撮影場所は、長野県阿智村にある月川温泉郷『花桃の里』。ツイートには、「Wonderfull!」「これは一見の価値あり」「いつか行ってみたい」「今でも景色が脳裏に焼き付いています」「毎年行っています」など、100件を超えるリプライが寄せられました。

 写真を撮影したのは、日本各地の美しい自然風景を撮影しているフォトグラファーのAyuMiさん(@a_yumi0425)です。撮影時の状況について、AyuMiさんに話を聞きました。

ーー撮影日はいつでしょうか?

「2023年4月17日のお昼頃に撮影しました」

ーー『ずっと行きたかった場所』と投稿されていますが、実際に訪れてみて、いかがでしたか?

「高速道路を降りてから看板が見えて、そのあとすぐ色鮮やかな花桃の光景が広がっていて、一緒に行った友達と興奮していました(笑)。写真は坂道を登った高台の方から撮影していますが、上から見てもとても綺麗でした。遊歩道も歩いてみたりして、お花見気分を楽しめました」

 一本の枝から、ピンクや白など色の異なる花をつけるのが特徴の花桃。現在、阿智村全体では約10000本が植栽されており、そのうち約5000本が咲き誇る月川温泉郷『花桃の里』は「日本一の桃源郷」との呼び声が高く、観光地として注目されています。

 阿智☆昼神観光局(株式会社阿智昼神観光局)に問い合わせたところ、花桃の植栽は阿智村の地元住民が中心となって実施されてきたとのこと。平成16年ごろから長年『花桃の里』づくりに携わっている『月川温泉郷 花桃の里づくり委員会』委員長の熊谷さんに、話を聞きました。

ーー月川温泉郷『花桃の里』が観光スポットとなるまでに至った経緯などを教えてください。

「もともとの花桃のルーツは、大正11(1922)年に木曽川を開発した、木曽発電株式会社社長で福沢諭吉の娘婿にあたる福沢桃介さんが、ドイツのミュンヘンから持ち帰った3本の苗です。そこから少しずつ人の手で植栽され、平成3(1991)年に旅館『野熊の庄 月川』初代社長の渋谷さんが月川温泉郷に植えた30本の花桃が、『花桃の里』の始まりです。渋谷さんが数年かけて約1000本を植えていき、その花桃の景色が評判を呼んで、口コミで広がっていきました。そこから地元住民で月川温泉郷を『桃源郷』にしようと、本格的に植栽を始めて、数年で約2500本を植えました。

 平成17年に『花桃まつり実行委員会』を発足して『花桃まつり』を開催スタートしましたが、当時はインターネットで検索しても、100件くらいしか表示されていませんでした。それが平成19〜20年くらいには、一気に100万件以上の表示件数になりました。それだけお客さんが多く来てくださり、SNSを中心に発信してくれたんです。今では村の収容能力の問題もあり、大々的な広告や宣伝はしていないんですが、それでも毎年20〜30万人のお客さんが来てくれるようになりました。

 桜と同じで、花桃が見飽きないというのも人気の秘密かもしれません。たくさんの花桃の品種の中でも、ドイツから持ち帰った3色の花桃(源平)を中心に植え続けています。花桃の単色の種類は、関白・赤口・矢口等があります」

ーー花桃の鑑賞スポットとして発展していく中で、大変だったことはありますか?

「管理が一番大変ですね。花が終わったあと、剪定をまずやるんですが、5月の連休明けから6月いっぱいまでにやり終えます。できるときは冬も剪定するので、年に2回の剪定ですね。それから、春と秋には草刈りをして、冬に施肥をします。剪定はさすがに我々だけではできないので、業者も入れて行いますが、草刈りとか施肥は全部、地元住民の有志がやっています。実は花桃の寿命がどのくらいなのかも、正確にはわかっていません。大体40年くらいかなとは言われていて、入れ替えもしていかないといけないので、維持管理が大変ですね」

ーー阿智村は雪も降りますが、管理に影響はありますか?

「毎年、雪は積もりますね。雪は花桃の木に積もっても大丈夫なんです。花桃は寒さにはわりと強いんですが、台風や雨、風にはもろに影響を受けてしまうので、倒れちゃったりします。数年前の台風でも、被害がありました」

ーー年々、観光地としての注目度が高まっている印象がありますが、いかがですか?

「たくさん来ていただけるのはとても嬉しいです。ただ、駐車場や渋滞問題とか、収容能力の課題や人手不足などの問題もあります。花桃の里実行委員会は10人で運営しています。やりたいって誰か若い人が手を挙げてくれたらいいんですが、なかなか……(笑)。協力してもらいながら、地元有志でなんとかやっています」

ーー4月26日まで開催された、今年の花桃まつりはいかがでしたか?

「今年は開花の途中で急に寒くなった日が数回あって、霜の被害を受けてしまった影響で残念ながら少し色がよくなかったんですよ。ボリュームもあまり出ていなかったな〜と。蕾がもう少しで開くという時に霜にあたると、花が咲きにくくなっちゃうんですね。そんな状況の中でも、コロナ前に比べて8割くらいお客さんが来ていただいて、花桃を見て『きれい!』と喜んでくださったので嬉しいですね。また来年に向けて、花を咲かせるように努力していきます」

ーー今後の『花桃の里』、どのように発展していくでしょうか?

「なるべく持続可能な形で続けていきたいですね。『花桃の里』会場もまったく同じだとお客さんも飽きてきちゃうので、遊歩道を少し変えるなど工夫しながら、これからも皆さんに喜んでいただけるようにやっていきたいと思います」

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 フォトグラファーAyuMiさんのTwitter(@a_yumi0425)やInstagram(@a_yumi0425)では、日本各地の絶景写真を見ることができます。

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