近年、多くの学校で校則の意義が問い直されていますが、未だに不合理な校則、いわゆるブラック校則が存在する学校もあると聞きます。そこで、全国の中高生5697人(2022年度時点)および高校教員209人に調査をしたところ、ブラック校則として話題になりやすい「下着の色指定」は中学で、「地毛証明書の提出」は高校で、未だ20%以上存在することが分かりました。
スタディプラス株式会社(東京都千代田区)の『Studyplusトレンド研究所』が、学習管理アプリ『Studyplus』上にて2023年1月~2月の期間に実施した調査です。
調査の結果、92.5%の中高生が「学校指定の制服がある」(ある88.0%・制服はあるが私服通学可4.5%)と回答。また、「制服の必要性」については、「必要だと思う」と回答した割合は、教員が49.3%、制服のある学校に通う中高生は41.4%、制服の無い学校に通う中高生では14.7%と、いずれも半数を下回る結果となりました。
続いて、「制服や私服通学可能なことが進路を選ぶ基準になったかどうか」を聞いた質問では、制服がある学校の生徒(22.6%)よりも、制服がない学校に通う生徒(43.8%)の方が、進路選択の基準にした割合が大きくなっていました。
次に、校則について、「自分の学校にある校則(近いものも含む)」を教えてもらったところ、高校生は「アルバイトの禁止」(74.2%)、「メイクの禁止」(67.7%)、「特定の髪型」(48.7%)が上位となりました。
一方、中学生では「メイクの禁止」(70.0%)、「特定の髪型」(57.0%)、「黒染の義務化」(33.4%)が上位に挙げられたほか、中高生ともに、ブラック校則として話題になりやすい「地毛証明書の提出」(高校生25.5%・中学生10.1%)や「下着の色指定」(高校生11.1%・中学生25.3%)なども、未だ20%前後存在することが分かりました。
また、「校則を厳しいと感じていますか」という質問に対して5段階評価(数値が小さいほど厳しい)で答えてもらったところ、全体的には中間の「3」(1378人)が多くなりました。これを地域別にみると、九州は校則が緩いと思う生徒が全国でも圧倒的に少なく、一方で中国・東北・甲信越では厳しいと思う生徒が少ないことうかがえたといいます。さらに、教員に対しても、同様の質問をしたところ、「3」(107人)が最多となりました。
ちなみに、「学生時代、校則はどの程度守っていましたか」と教員に聞いたところ、55.5%の先生が「なんの校則違反もしなかった」と回答。「反省文や保護者面談、自宅謹慎になったことがある」という教員は4.3%でした。
なお、回答した教員からは、「バイク3ない運動(免許を取らせない・買わせない・運転させない)が高校1年で始まり、校長に法的根拠を示すように生徒会として質問文を書いた。生徒総会で校長は欠席し、大騒動になった」「オシャレに目覚めてパーマかけて指導されて直したことはある」などの声が寄せられています。
中高生1503人に対して、制服・部活動のルールのほかに、「これはおかしい!と思う校則」を教えてもらったところ、「ジャージやスカート丈などの服装指定・身だしなみ」「スマホの禁止」「持ち物の色指定(靴下・カーディガン・セーターなど)」などが挙げられたほか、変わったルールとして「腕まくり禁止」「日傘は許可制」「長靴禁止」「編み込み禁止」「日焼け止め禁止」「男女2人きりで勉強してはいけない」「漫画が没収されると売られてしまう」「文化祭でハート禁止」といった校則が挙げられました。
最後に、「制服・学校指定の持ち物について、なにか思うこと、考えていること」を自由回答で教えてもらったところ、「男女差に不満・疑問」「男性のスカートがない」「女子用スラックスが導入されていても選びづらい」「持ち物の男女差」といったジェンダーレスが進んでほしいという回答が目立ちました。
また、「最近、追加・変更・廃止された校則」についても、「委員会活動での性別の指定廃止(男女1人ずつ→2人)」「男女別の頭髪のルールが廃止」などが挙げられ、ジェンダー観の変化がうかがえます。
さらに、制服の選択肢として女子用にスラックスが用意されるなどの事例が増えているものの、「男子のスカートが進まないこと」「“女子用のスラックス”であることが不満」「そもそも元からある制服との組み合わせなので、バランスが悪い」「リボンとスラックスの相性の悪さ」といった指摘も見受けられたそうです。