新年度を迎えて子どもが進級や進学をすると、成長を実感する機会が増えますよね。一方で、子どもが思春期になると、家族との関係や距離感に変化が生まれるものです。「子どもとの関わり方が難しくなった」と感じる人もいるでしょう。
思春期の娘と息子がいるY子さんも、子どもたちの変化に戸惑っていました。子どもたち、とくに息子は二世帯住居に住む祖父母との関係を負担に感じているようなのです。
二世帯住宅に住む祖父母に敬語を使う子どもたち
Y子さん(青森県在住、40代、看護師)は二世帯住宅に義両親と住んでいます。完全に分かれた二世帯住宅ではなく、玄関とお風呂を共有しており、1階が義両親世帯、2階と3階がY子さん世帯です。といっても生活は別々なので、普段はあまり顔を合わせません。
義両親と二世帯住宅での同居が始まったのは、第二子の息子が小学校に入学したタイミングでした。夫の仕事の都合で夫の地元に戻ることになったのがきっかけです。このころから、子どもたちは祖父母と敬語で会話をしています。
祖父母は元教員で礼儀作法に厳しく、またY子さんが義両親に敬語を使うからか、子どもたちも祖父母との会話では自然と敬語を使うようになったのです。子どもたちは緊張しているのか、義両親の前で言葉を崩しません。
新年恒例「今年の抱負」の発表で…
同居が始まる前から、毎年正月は義両親と過ごしています。そこで、今年の抱負を祖父母の前で発表するのが恒例となっていました。子どもたちは楽しそうに毎年抱負を発表していたのですが、思春期に入り少しずつ煙たがるように。それでも、仕方なく付き合っている様子です。
今年の正月も義両親から抱負を促されました。「受験を頑張ります」と無難に答える中3の娘。一方、小6の息子は考えていなかったのか無言です。義両親がしつこく聞いたからでしょうか。息子はボソリと「最近運動不足なので毎日マラソンします」と言いました。
それに目を輝かせた義母。すばらしい抱負だと褒めたたえ、いつから始めるのか、ルートはどこにするのかなど、息子に根ほり葉ほり聞き始めます。想定外の反応に息子は戸惑いながら「2カ月後から始めます。ルートは未定です」と発表しました。
追い詰められ号泣する息子
抱負を発表してから2カ月がたつと、息子が泣きながら「明日からマラソンしなくちゃいけない。走りたくない」と言うのです。今年の抱負についてすっかり忘れていたY子さんは「ここまで思い詰めていたとは…」と驚きました。
「そんなに嫌なら違う抱負にすれば良かったのに」という本音を飲み込み、泣きじゃくる息子をなだめながら「お母さんにできることある?」と聞くY子さん。その問いに「おばあちゃんに、もう僕に話しかけないでと言ってくれ」と答える息子。義母からのプレッシャーをとても負担に感じていたのでしょう。
祖父母と子どもの距離感は難しい…
Y子さんは仕方なく息子の発言をそのまま義母に伝えました。義母に悪気がないことはわかっていましたが、息子の気持ちを尊重したかったのです。
話を聞いた義母は「そこまで追いつめていたとは知らなかった。ごめんなさいね」と謝ってくれました。しかし、息子はまだ会話をする気持ちにはなれないようです。間に挟まれたY子さんは、思春期で反抗期の息子の対応の難しさに頭を悩ませるのでした。
反抗期は必ずしも親に向くとは限りません。Y子さんの息子のように、同居している祖父母に反抗的な態度をとる場合もあります。とくに、心配性の祖父母からの過保護や過干渉は、思春期の子どもにとってうっとうしく感じるのかもしれませんね。
祖父母と子どもの付き合い方は難しい
昭和を生き抜いた祖父母と令和の子どもたちでは、価値観も考え方も違いが大きいでしょう。今回のエピソードを踏まえて、みなさんから感想や家庭の様子を伺いました。
すると思っていた以上に「今年の抱負」を求める祖父母世代は多いようで、それに対して孫世代はかなりうんざりしていました。
▽40代・パート
わたしの両親がまさに、「今年の抱負」を求めるタイプ。夫の両親は何も言わず、何も聞かずでお小遣いだけくれるタイプ。反抗期の息子は当然、わたしの実家にはほとんど立ち寄ることはなくなりました。
▽30代・会社員
団塊世代の祖父母ルールは面倒なものばかり。「今年の抱負」は我が家にもありました。「今年の抱負」を言わないとお年玉をくれないシステムはおかしい!
▽40代・主婦
うちも「今年の抱負」をいわないといけないルールで、抱負は祖父母の期待にそうものじゃないといいなおしになりました。子どもながらに祖父母に気を使って喜びそうな事をいってたのを覚えています。