「誰の金で飯が食えてると思ってんだ!」結婚後、豹変した夫 寝静まった夜に妻が始めたこと

長岡 杏果 長岡 杏果

暴力ではなく態度や言葉で精神的ダメージを与えてくるモラハラ夫に悩む妻は数多く、SNS上では夫に対する不満が飛び交っています。京都府在住のかなえさん(40代・正社員)は、結婚して以来モラハラ夫に苦しんできましたが、専業主婦だったこともあり、経済的な心配から離婚することなく耐えてきたといいます。しかし、結婚8年目でついに夫婦生活を終えることができました。

子どもの出産後…夫の言動に違和感

かなえさんは以前の勤め先で知り合った2歳年上の夫と交際し、8年前に結婚。交際中に子どもを授かっており、妊娠8カ月ごろに会社を辞め、専業主婦として夫をサポートしていました。

当時の夫は、とても温厚で優しくかなえさんのことを愛してくれていたそうです。かなえさんは少しおてんばな性格で、日常で失態しても「夫がいつもフォローしてくれた」と言います。

しかし妊娠期間を終え、無事に子どもを出産して家族3人で暮らしていく中、かなえさんは夫の言動に違和感を覚えるようになりました。

   ◇   ◇

かなえさんが夫に対して疑問を抱くようになったのは、子どもが生後5カ月ごろのこと。すべてのはじまりは「子どもの夜泣きによる寝不足」だと、かなえさんは考えているようです。

夫は、朝5時に起床して朝6時前には仕事へ向い、夜8時すぎに帰宅したあと、夜10時までには就寝するスタイルで毎日生活しています。

ですが、子どもが生まれ夜泣きするようになってからは、深夜0~1時には起こされてしまい寝不足が続く日々を送るようになってしまいました。

ある日、残業で疲れて帰ってきた夫は夕飯もほとんど食べないまま寝てしまいましたが、子どもは関係なく夜中になると泣き出すため、夫の感情に火をつけてしまったのでしょう。

夫はかなえさんに対して「ずっと子どもと過ごしてるんだから泣き止ませ方くらいわかるだろ?俺は毎日仕事してるんだよ」と、冷たく言い放ちました。

夫の発言に動揺してしまい、しばらく動けなかったかなえさん。すると「俺、別の部屋で寝るから早く泣き止ませてよ。お前は明日も家にいるだろうけど、俺は仕事だから」などと、かなえさんを強く責めました。

そしてこの出来事を境に、夫は荒々しい性格へと変わってしまったのだといいます。

どんどん変わっていく夫

「どんどん変わっていく夫が嫌だった」と当時のことを振り返るかなえさん。特に記憶に残るのは、子どもが風邪で熱を出してしまい、かなえさんにも風邪がうつってしまったときのことです。

かなえさんは悪化する体調をおして、子どもの世話をしながら家事を行い、夫が帰宅するまでには夕食の準備をしていましたが、仕事から帰ってきた夫はかなえさんの作った料理を見るなり「今日の飯、これなの?これ食べたい気分じゃないんだけどな」と話したそうです。

かなえさんは「私も風邪がうつっちゃったみたいで…あまりいいメニュー作れなかったの」と伝えると「じゃあ、今からコンビニで買ってくる」と言って、かなえさんの料理を食べずに、コンビニで買ってきたお弁当を1人で食べていました。

その数日後には、夫にも風邪がうつり、発熱して嘔吐するほど苦しむようになりました。看病していたかなえさんは、夫から「俺に風邪なんか移しやがって...!仕事行けないだろ!?誰の金で飯が食えてると思ってんだよ。ふざけんな!」などと、暴言を浴びせられたと言います。

専業主婦のかなえさんには財力がないため、夫の発言を否定できず「ごめんね」と謝るしかありません。

その他にも夫は酒・たばこ・ギャンブルにお金を使ってしまう浪費家であったため「少しセーブしてくれないかな?」と、夫へ相談すると大声で「俺から娯楽まで奪うな!うるさい!」と言って怒りはじめたそうです。

ママ友のアドバイスで…

夫のモラハラ発言に疑問を感じながら月日は過ぎ、何も解決へと進まないまま子どもは幼稚園に入園しました。

幼稚園のママ友と何気ない会話をしていると、それぞれの家庭の話になり、かなえさんも夫のことをサラッと話したそうです。

しかしママ友からは「それモラハラだよ!?大丈夫なの?」と指摘され、「私の夫はモラハラ夫」なんだと自覚したと言います。

ママ友は「離婚も視野に入れてみたら…?」など、かなえさんのことを心配してくれましたが、かなえさんは専業主婦であるため子どもを養っていけません。

子どものことを思い、「自分は傷ついても、夫と暮らしていれば経済的に困ることはない」と判断したかなえさん。その後も夫からのモラハラに苦悩していましたが、自身の意見を主張することなく数年が経っていきました。

たまたま見ていたテレビのドキュメンタリーで

長年夫から虐げられても耐えてきたかなえさんは、子どもが小学校へ入学したころ、ついに離婚を決意します。きっかけは、たまたま見ていたテレビのドキュメンタリーでした。

ドキュメンタリーの内容は、かなえさんと同じく子どもがいる専業主婦がモラハラ夫に長期間苦しめられ離婚するという物語。

ドキュメンタリー中の妻は、子どもに手がかからなくなったタイミングで、経済的自立のため介護系の資格を取得し、正社員で働きはじめたそうです。

モラハラ夫から経済的な自立を考えて、努力している妻の姿に触発されたかなえさんは、日商簿記の資格取得を決断しました。

かなえさんは、以前勤めていた会社で事務の仕事をしており「キャリアアップのためにも、当時から日商簿記の資格に魅力を感じていた」と言います。

かなえさんは、家事のスキマ時間や家族が寝静まったあとに、日商簿記の勉強を約1年間続けました。

勉強期間中、かなえさんは夫に小言を言われるのが嫌だったのでしょう。夫には勉強をしている素振りを見せず、資格について一言も話さないまま、自身と子どもの未来のために、ひたすら必死に勉強しました。

その努力が実り、資格試験に見事合格したあとは、正社員の面接を受けることを決意。

そして、今までの事務経験や日商簿記の資格を武器に、資格取得3カ月で正社員として働くことができたそうです。

いよいよ経済的自立を実現させたかなえさんは夫へ「離婚したい」と伝えることに。夫は「お前はきっと後悔する。女だけの収入で何ができる?」などと反発されたものの、約5カ月協議を行い、2人は8年間の結婚生活に幕を下ろしました。

夫には「後悔する」と言われてきたけれど

現在、かなえさんがシングルマザーとなって約1年が経ちます。

かなえさんは離婚の際に「後悔する」と夫に言われていましたが、現在は「離婚してよかった」と感じているそうです。

また「ママ友に“モラハラ夫”だと指摘されたこと、モラハラ夫から自立に向けて頑張るドキュメンタリーの映像を見られたことに感謝している」と言います。

なぜなら「あのときママ友の意見がなかったり、ドキュメンタリーを見ていなければ、夫との暮らしにストレスを抱えながら暮らしていかなくてはならなかった。もっとも夫のモラハラ発言をはたで聞いている子どもにも悪影響だったと思う。そんな日々から解放されて教育的にも精神的にもスッキリしている」からだと言います。

かなえさんは、同じモラハラ夫に悩んでいる方へ向けて「結婚生活には、必要な我慢と不必要な我慢がある。不必要な我慢を一方的に続ける意味はないし、悪化した夫婦関係の解決にはならない。もし同じ境遇にいる女性たちが現在の生活に不満を抱えているならば、経済的自立を目指すことで未来は明るくなるかもしれない」と、語ってくれました。

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