人事や総務、労務といったバックオフィスで働く人の約9割がDX(デジタルトランスフォーメーション)で業務効率化を実感―。そんな調査結果が、株式会社セイルズ(愛知県名古屋市)が2023年3月にインターネットで実施した「DXに対するバックオフィスの本音」に関する調査で分かりました。その一方で、7割強の人が「DXによって業務に必要な工数が増えたと感じることがある」とも回答したそうです。
調査はDX推進中の企業のバックオフィス部門(人事・総務・労務・財務・事務など)に勤める男女1002人を対象に実施されました。
まず、バックオフィスでの業務において、「DX(デジタル技術の導入)が進んだもの」を聞いたところ、「勤怠管理関連」(58.5%)が最も多く、次いで「給与計算関連」(48.0%)、「シフト、スケジュール管理関連」(28.9%)、「日報管理関連」(25.9%)、「請求、支払い管理関連」(25.7%)が続く結果となりました。
これらDXによって業務に起きた変化について回答者からは、「紙で処理していたものがシステム化されたことによって、給与計算が簡単になった」(20代女性)、「勤怠管理や契約書の共有など、DXはなくてはならないものになった」(40代男性)、「システムに慣れない部下の誤入力や誤処理を差し戻す手間ができたので、手間数で考えると以前と変わらない」(40代女性)「使いこなしている人と理解できない人の差が激しい」(40代女性)といった声が寄せられています。
続いて、「DXによって業務は効率化されたと思いますか」と聞いたところ、「効率化されたと思う」と答えた人は88.1%(とてもそう思う29.4%・ある程度はそう思う58.7%)。
その一方で、「DXによって業務に必要な工数が増えたと感じることがある」と答えた人は75.9%(かなりある19.9%・多少はある56.0%)に上っています。では、どのような理由で工数が増えたのでしょうか。
「工数が増えたと感じることがある」と答えた人からは、「これまでただ経理に渡せばよかった見積書や請求書、領収書などをいちいちスキャンしてデータとして提出しなければならなくなった」(30代女性)、「機械に弾かれたり承認を待つ時間がかかったりするようになった。また、手作業で行っていた叩き上げの専門職にDXは馴染まず、その仲介係と入力係が必要になった」(40代女性)、「システムが乱立しており、整合性をとるために工数が増えた」(50代男性)といった、従来の方法のほうが効率的(専門職がいる場合など)や、社内システムが統一されていないなどの理由が挙げられています。
実際に勤怠管理や給与計算といった業務のDXは進んでいる一方で、業務の工数は増えていると感じている人が少なくないことを受けて、DXについて社内ではどのように感じているのかを調査したところ、「すべての業務でDXを進めるべきであると思う」と答えた人は85.9%(とてもそう思う23.6%・ある程度はそう思う62.3%)となり、全体的にDXを進めることに関しては、肯定的な意見が少なくないことが分かりました。
他方、「勤務先において、バックオフィスのDXは正しく進められていると思う」と答えた人も80.5%と8割以上となったものの、「とてもそう思う」(19.0%)と答えた人は2割に届かず、工数が増えるといった問題を感じている人も少なくないことがうかがえました。
最後に、企業全体が健康的に経営を行うための社員の健康管理についても調査をしたところ、56.6%の人が「従業員の健康管理に関する業務においてのDXをしている」と回答。また、78.2%の人が「健康管理に関する業務においてのDXは正しいと思う」と回答したそうです。