説明なく、強制的に処理され…「自己都合退職」経験者の65%が不服 退職理由「実際は会社都合だった」と回答した人が2割も

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

現在の失業給付金を受給する制度は、「自己都合退職」か「会社都合退職」かで受給への条件が大きく異なっています。株式会社ライボ(東京都渋谷区)の調査機関『Job総研』が、「自己都合退職の実態調査」を実施したところ、自己都合退職経験者のうち、約2割が実際には会社都合の退職だったにも関わらず自己都合退職と処理されていたことが分かりました。また、会社側の具体的な対応について、最も多かった回答は「会社側から説明なく自己都合退職にされた」だったそうです。

調査は2023年2月に、20人~1000人以上規模の会社に所属し、1年以内~10年以上勤務している20~50代の社会人男女423人を対象としてインターネットで実施されました。

調査の結果、「退職経験あり」と答えた人は71.4%。さらに、退職経験のある302人に「退職の種類」を教えてもらったところ、89.1%の人が「自己都合退職」と回答。「会社都合退職」は21.5%でした。

続いて、自己都合退職の経験がある292人に「実際の退職理由」を聞いたところ、20.2%の人が「実際は会社都合だった」と回答し、「実際に自己都合だった」と回答した人は79.8%でした。

なお、回答者全員に「失業者にとっての自己都合退職に対する印象」を聞いたところ、「とても不利だと思う」(19.2%)と「不利だと思う」(20.5%)と「どちらかといえば不利だと思う」(42.4%)を合わせると82.1%の人が不利だと思っていることが分かりました。

退職経験のある302人に「自己都合退職時の会社側の対応」について聞いたところ、「全く説明がなかった」が46.7%で最多回答になったほか、「口頭での説明はなく書面で確認した」が13.2%、「口頭での説明はなく書面でも確認できなかった」が4.6%となり、これらを合算すると、64.5%の人が「自己都合退職時に口頭での説明がなかった」と答えています。

また、自己都合退職経験のある292人に「会社側の具体的な対応」について聞いたところ、「会社側から説明なく自己都合退職にされた」(38.2%)、「会社側から説明はあったものの自己都合退職に促された」(12.7%)、「ほぼ強制的に自己都合退職にされた」(13.9%)などが挙げられ、これらを合わせて64.8%の人が自己都合退職に不服を感じていることがうかがえる結果となりました。

次に、退職経験のある302人に対して、「退職してから次の仕事に就くまでの期間」を教えてもらったところ、「1カ月未満」(51.0%)、「1〜3カ月未満」(22.2%)、「6カ月以上」(16.2%)、「3〜6カ月未満」(10.6%)という結果になりました。また、失業給付金の受給経験については「経験あり」が41.1%、「経験なし」が58.9%となっています。

さらに、「失業給付金の手続きから受給できるまでの期間への印象」を教えてもらったところ、「とても遅い」(26.8%)、「遅い」(25.2%)、「どちらかといえば遅い」(36.8%)を合わせて88.8%の人が遅いと感じていることが判明。

また、「失業給付金を受給できる期間への印象」については、「とても短い」(18.9%)、「短い」(25.5%)、「どちらかといえば短い」(32.1%)を合わせて76.5%の人が短いと思っていることも分かりました。

最後に、回答者全員に対して、「政府による失業給付見直しへの賛否」について聞いたところ、「とても賛成」(20.1%)、「賛成」(30.7%)、「どちらかといえば賛成」(32.2%)となり、合わせて83.0%の人が「賛成」と回答。一方、反対派の回答は全体の17.0%でした。

また、「失業給付の見直しで転職などの労働移動への影響」については、「とても円滑になると思う」(24.8%)、「円滑になると思う」(37.8%)、「どちらかといえば円滑になると思う」(18.5%)を合わせて81.1%の人が「円滑になる」と答えています。一方、「特に変わらないと思う」は全体の18.9%でした。

なお、自己都合退職による失業給付金の受給早期化について回答者からは、「自己都合でも会社都合のように即日失業手当が支給されるようにした方がいい」「転職活動して仕事が見つかるまでに意外と時間がかかるのでなかなか動けない」「自己都合でも失業手当をすぐに受給可能になれば、退職した後に転職先を探すという選択ができる」などの声が寄せられたそうです。

   ◇  ◇

調査を実施した同機関は「会社都合退職では7日間の待機期間後に給付されますが、自己都合では7日間に加え、原則2カ月間の『給付制限』を経た上で受給開始となります」としたうえで、「自己都合退職による失業給付が見直されることで、転職を考えたり実際に転職をする人の数は増加すると推測できますが、一方で会社都合を自己都合に促したり、強制的に自己都合退職として処理する会社が増加してしまう懸念もでてきます」と述べています。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース