少子高齢化が進行する日本では昨今、定年延長や定年後の年金受給などが不安視されています。全国の社会人565人に定年後の生活について調査をしたところ、約半数の人が「退職金がある」と回答しました。その一方で、7割以上の人が「定年後の生活について不安がある」と回答したそうです。
キャリアや就職・転職全般に関する各種調査などを行う『Job総研』を運営する株式会社ライボ(東京都渋谷区)が「2022年 定年退職に関する調査」と題して、20人~1000人以上規模の会社に所属し、1年以内~10年以上勤務している20~50代の社会人男女を対象に2022年11月にインターネット上で実施した調査です。
まず、「退職金」について聞いたところ、52.6%の人が「現在の職場で退職金がある」と回答。また、退職金の額は平均で「1005.3万円」、中央値は「600万円」という結果になりました。
そこで、「定年退職後の不安」について聞いたところ、「とても不安」(20.9%)、「不安」(20.4%)、「どちらかというと不安」(34.3%)を合わせて75.6%の人が「定年退職後の生活に不安がある」と回答。一方、「不安はない」と回答した人は24.4%でした。
また、「定年退職後の生活に不安がある」と回答した427人に、「どのような不安を持っていますか」と聞いたところ、「自分の年金で生活ができるか」(70.7%)、「年金が受け取れるか」(58.5%)、「年金以外の資産」(46.8%)といった回答が上位に挙げられたそうです。
次に、「定年退職後のために年金以外で資産形成をしていますか」と聞いたところ、「資産形成をしている」が54.7%、「資産形成はしていない」が45.3%という結果に。「資産形成をしている」と回答した309人に「資産形成の種類」を聞いたところ、「投資」(64.4%)、「資産運用」(61.2%)、「毎月の貯金」(47.6%)などが上位を占めました。
また、「年金以外の資産形成をしている」と回答した人の割合を「年収区分別」でみると、「200〜400万円未満」(34.8%)、「400〜600万円未満」(63.0%)、「600〜800万円未満」(76.2%)、「800〜1000万円未満」(77.3%)、「1000万円以上」(78.3%)となり、年収が多い人ほど年金以外の資産形成をしている割合が高い傾向に。
さらに「年代別」でみると、「20代」(42.3%)、「30代」(68.8%)、「40代」(66.3%)、「50代」(59.6%)となり、30代が最も高く、20代が最も低い結果になったそうです。なお、定年後の資産形成については、以下のようなコメントが寄せられました。
▽これから雇用が流動的になるので、自分で資産を形成する必要性を強く感じている
▽退職金を当てにしなくても生活できるように、資産運用や貯金をしたい
▽年金だけでは生活が出来ないと思うので、定年退職後のため資産形成をしている
▽定年が延長されて払う税金が増えるので、国をあてにせず自己資産を形成している
▽退職する頃に、社会情勢がどのようになっているか未知数であるため不安が大きい
続いて、「定年後に目標としている資産額」については、「3000万円以上」(43.4%)が最多となり、記述回答による具体的金額を集計した結果、平均額は「3956.4万円」で中央値は「2500万円」でした。
これに対して「現実的に形成できる資産額」では、同じく「3000万円以上」(32.0%)が最も多く、平均額は「3167.3万円」、中央値は「2000万円」という結果になり、平均額でみて「789.1万円」、中央値でみて「500万円」と理想と現実に大きな差が生じていることが分かったといいます。
最後に、「何歳まで働いていたいですか」と聞いたところ、全体での最多回答は「60歳」(28.3%)で、平均は「61.5歳」、中央値は「60歳」でした。
これを男女別でみると、「男性」の平均は「62.4歳」、「女性」の平均は「59.9歳」になり、どちらも中央値は「60歳」という結果に。さらに年代別では、年代が上がると働いていたい年齢も上がる傾向が見られ、平均で最も高い年齢になったのは50代で「66.1歳」になり、中央値は20代・30代が「60歳」で、40代・50代は「65歳」だったそうです。
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調査を実施した同社は「高齢化が進み人生100年時代と言われる日本では、定年延長や年金の受給など多くの問題に直面しています。調査全体的に見ても日本の情勢と自身の現実を照らし合わせた時に、将来への不安が大きく、理想と現実のギャップが大きくなっていることが予測できます」と述べています。