「触ろうとすると噛む犬」が家庭犬に 正式譲渡の手続きで施設に里帰り 「一緒に過ごした仲間を覚えていたね」

松田 義人 松田 義人

 

保護犬の譲渡活動を目的に、誰もが訪れることが出来る「開放型シェルター」を目指し、活動を行う団体、アルマ東京ティアハイム(以下、アルマ)。

同団体は保護したワンコのうち、トレーニングが必要な犬には、専門のトレーナーに依頼するなどし、「家庭犬」としてしっかり送り出せるようトレーニングも行っています。野犬が多く集まる地域での捕獲で、茨城県動物指導センターに収容され、アルマの仲間として過ごしていたタタくんもそのうちの一頭でした。

「触ろうとすると噛む犬」と言われていた

タタくんが動物愛護センターからアルマに引き取られたのは2022年10月のこと。生後4、5カ月くらいで、まだ乳歯がありました。当初のタタくんは「触ろうとすると噛む」と言われていましたが、言い換えると人間に警戒心を持っているということでもあります。そんなタタくんに対し、スタッフがたっぷりの愛情を注いだところ、比較的早い段階でタタくんは心を開いてくれ、人間に噛まなくなったことに加え、他のワンコ仲間とも楽しく過ごせるようになりました。

1カ月で見つかった里親希望者さん

そんなタタくんの里親希望者さんが現れたのは、なんとアルマに来てから約1カ月後の11月のこと。早めの譲渡が実現しそうですが、まずはその里親希望者さんに、一定期間タタくんと一緒に生活してもらうトライアルをしてもらうことにしました。

トライアルで里親希望者さんのお家に行く際、タタくんは首輪2本にハーネス1本の3本仕様にしました。タタくんは慣れない場所では緊張してしまうため、万一逃げ出したりしないための対策です。

トライアルへの出発の際、タタくんの様子を見た仲間のワンコたちが「ワンワン」と楽しそうに吠えながら遊んでいます。その様子を見て、タタくんは「僕もみんなと遊びたいよ」「どこにも連れていかないでよ」と言わんばかりに少々不安気な表情を浮かべます。そんなタタくんにスタッフは「これからトライアルで行く里親希望者さんと気持ちがマッチすれば、ここにいるよりももっと楽しい生活をおくれるかもしれないよ」と言い、送り出すことにしました。

2週間のトライアルの結果、タタくんは正式に里親希望者さんの家庭に迎え入れられることになりました。動物愛護センターから引き取られ、わずか1カ月ほどで幸せをつかみとったことになります。スタッフは、これから先のタタくんの幸せな生活を願って送り出しました。

タタくんが遊びに来てくれた!

 

新しい生活が決まってから、さらに1カ月後、譲渡の手続きにかかわる書類を持ち、里親さんとタタくんがアルマに遊びに来てくれました。久しぶりの帰省です。一緒に過ごした仲間のワンコのことはよく覚えていて、すぐに馴染みます。もちろん、仲間のワンコたちも久しぶりにタタくんを見つけて、喜んでいる様子でした。

タタくんと仲間のワンコは、全力で裏庭とデッキを行ったり来たり。ひとしきり楽しそうに遊んでいました。

これからはタタくんと仲間のワンコが一緒に遊べる時間はずいぶん減ってしまいますが、でも仲間のワンコそれぞれに新しい里親さんが見つかり、今とは違う幸せを掴んだ後、またみんなでまた遊ぶ時間ができるかもしれません。それほどに、タタくんと仲間のワンコはみんなで同じ時間を過ごしていました。

タタくんと里親さんが帰っていった後、アルマに連絡がありました。この日のタタくんは、いつも以上にグッスリ眠り「まるで昼間一緒に遊んだ仲間のワンコたちとの時間を、夢で思い出しているみたいだ」と里親さんは教えてくれました。

 

アルマでは、今回紹介したタタくんのように、1頭でも多くのワンコの命を救い、幸せへと繋ぐべく今日も活動を続けています。アルマの最新情報にもどうかご注目ください。

アルマ東京ティアハイム/NPO法人アルマ
http://alma.or.jp/

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