「たこ焼き屋さんは焼けば焼くほど光熱費が上がる。大阪では常に焼けてないとお客様は帰る。必要以上に多く焼くので廃棄ロスも多い。最近はほとんどのお客様が1分すら待って下さらない」と、日々の苦労をTwitterで投稿したのは、大阪市内にある「たこ焼たこば」(@takoyakitakoba)さん。これを受け「ホンマ、世知辛いですわ」「悲しい方向に変わってきましたね…」などの反応が寄せられました。
さらに「『スグか?』とばかり聞かれる。昔は焼いていたら『やった!焼きたてや』と喜んでいただけたのに…」と現状を憂いたところ、「注文受けて、自分の為だけに焼いてもらえるなんて、最高の幸せじゃないの?大阪って違うの?」「作り置き出される方がガッカリする『今から焼くけど待てる?』の方がラッキー」「焼きたてのふわっとしたたこ焼きの為なら20分だって待ちますw」「あの手さばきも価値のうち。それが大阪のたこ焼き」と焼きたて派の声が続々。
それに対して「待ってまで買うのもなぁ…って」「たこ焼き食べたい‼️と思った瞬間に食べたいからなぁ。流石に20分待ちはしないけどお買い物して時間潰しはしますよ」との声も。
また、同業者から「『すぐある?』って聞かれる事が増えました みんな余裕が無い感じがしますね」「待ち時間問題難しいですよね。うちも最初の頃ちょっとでも待ち時間を短く感じてもらう為、お客さんに話し掛けていましたが『いいから早く焼いて』と言われた事も…」との声も。
大阪人は待たない派? 暇な時間帯でも焼く必要性
長引くコロナ、原材料費の高騰、地元に大きな商業施設ができることで客の減少、光熱費の高騰と次々とわきあがる悩み。そんななか多くの応援コメントが届き、「経営困難な状況になり閉店する事も考えましたが、多くの皆さまからの励ましを頂戴し、もう少し頑張る事にしました」と発信した「たこ焼たこば大隅店」(大阪市東淀川区)店主の島田良太さんに、現状や思いを聞きました。
――まずは投稿された思いを教えてください。
昔は並んで待って下さったのに、今は待っていただけなくなりました。悲しいです…。
――いつ頃からお客さんが待たない傾向に変わったと感じていますか?
5年ぐらい前からですね。昔は寒ければ寒いほど忙しくなりましたが、今は寒ければ寒いほど暇になりました。人が外に出なくなったと感じています。
――投稿にもあったコロナ禍や環境の変化で苦境が続きますね…。そもそも、こちらでは型に生地を流しこんでから、大体何分ぐらいで完成するのでしょうか?
5分ぐらいですね。
――そんなに早いのに? 作り置きをせずに注文を受けて焼くスタイルでしょうか?
忙しい日、忙しい時間帯は焼き続けます。大阪人は気が短く待たない方が多い印象なので、暇な時間帯でも常に多く焼く必要があります。
――それで光熱費が上がると…。ロスも増えてしまうのでは?
「ほな廃棄ロスの商品を安く売ったらええんちゃう?」というご意見を過去に頂戴しましたので、ロス商品を安く売り出したところ、店頭でも電話でもDMでも「今、安いやつある?」と聞かれるようになってしまい…。結局、安いのがなかったら焼きたてがあっても買っていただけない。今はロス商品を売るのはやめております。
――改めまして、お店の現状について伝えたいことは?
大阪は「たこ焼きは安い!」というイメージがあり、未だに粉モンは昭和の価格が正義みたいな風潮があります。たしかにフランチャイズなど、一部は激安のたこ焼き屋さんが存在しますが、現実問題もう無理です。原材料・光熱費・人材費の高騰などの事情があるので、食べてもいないのに値段だけで店を比べないでいただければと思います。
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閉店したたこ焼き店からの「『たこばさんは潰れないで下さい。たこばさんは下町のたこ焼き屋さんの最後の希望です』というDMをいただき泣きました」と投稿していた島田さん。今後はクラウドファンディングで、以前から要望の多かった冷凍たこ焼きの通販に向けて動き出す予定とのこと。
お店の看板メニュー「たこば焼き」は、たこ焼き4つ分にチーズとキャベツをのせて焼いた見た目は小さなお好み焼のような一品で、これを目当てに遠方から訪れる人も多いとか。2月限定メニュー「子持ちコンニャクたこ焼き」(タコの代わりに醤油で味付けしたコンニャク入り)も販売中です。時にはたこ焼きがくるくると回される風景をのんびり眺めながら、食べる楽しみに期待を膨らませてみてはいかがでしょうか?
「たこ焼たこば」
公式Twitter https://twitter.com/takoyakitakoba
■大隅店 大阪市東淀川区大隅1-1-19
■菅原店 大阪市東淀川区菅原3-4-2