「喜劇を演じるのは難しい」 佐々木蔵之介、中井貴一と三度目のタッグとなる「嘘八百」を語る

黒川 裕生 黒川 裕生

関西が誇るベテラン俳優やコメディアンらが顔を揃え、“関西版「オーシャンズ11」”との呼び声も高い(?)映画「嘘八百」から、まさかのシリーズ第3弾「嘘八百 なにわ夢の陣」が誕生。1月6日から全国公開される。前2作に引き続き、中井貴一とともに主演を務める佐々木蔵之介(京都出身)は「ベテランのおっさんたちがしっかりコメディをやっているのが面白い。関西ロケで関西弁を使えるという意味では、自分にとっても特別感がある作品です」と思い入れをにじませる。

1作目の「嘘八百」(2018年)、続く「嘘八百 京町ロワイヤル」(2020年)で丁々発止のやりとりを繰り広げてきた、冴えない古美術商の小池則夫(中井)と、くすぶり続ける腕利き陶芸家の野田佐輔(佐々木)の「骨董コンビ」。3作目では、豊臣秀吉の幻の縁起物「秀吉七品」を巡り、またも騙し、騙され、化かし合いの大騒動が巻き起こる。

3作目について「二度あることは三度あったな、という感じ」と笑う佐々木。「このご時世、日本映画でオリジナルの喜劇を3作も続けられるなんてなかなかないことなので、本当にありがたい。全ては見て下さるお客さまのお陰だと思っております」と感謝を口にする。

お互い面倒臭く感じているようで、実は息ピッタリな則夫と佐輔の絶妙な関係性は、本作でさらに磨きがかかる。

「『嘘八百』以外に(中井)貴一さんとは仕事をしていないので、三度目といってもそれなりの緊張感はやっぱりあります。喜劇を演じるのは難しくて、求められるものも多いですから。絶対に間合いを外してはいけないし、ダラッとしてもいけない。今回嬉しかったのは、貴一さんが『3作目になって、遠慮がなくなった』と言ってくださったこと。過去2作でそれぞれの役をしっかり生きたからこそ、役自体はもちろん、役者同士としてもそういう関係性ができたのだと思います」

「ただそこにいるだけ」で醸し出される中井の絶妙なおかしさについて水を向けてみると、佐々木は束の間「うーん…」と黙り込んだ後、本作が求める喜劇のあり方に言及した。

「間合いをはかってるんだと思うんですよね。お客さまに笑っていただくためには、ただ『面白いことをする』よりむしろ、『状況がなんだか面白いことになっている』方が大事で。僕も貴一さんも、物語の中で決して『面白いこと』はしていません。なのになんで笑えてしまうのかというと、何事もうまくいかないけど必死のパッチで奮闘している彼らの姿が滑稽で、愉快で、応援したくなる個性がちゃんとあるから。貴一さんが真面目にしていてもおかしく見えるのは、そういうことではないでしょうか」

シリーズの魅力のひとつに、坂田利夫(2作目まで)や芦屋小雁、桂雀々、宇野祥平、ドランクドラゴンの塚地武雅ら、関西出身の芸達者たちが醸し出す、いかにもわちゃわちゃと楽しげな空気感がある。3作目ではさらに関ジャニ∞の安田章大や中村ゆり、笹野高史らも加わり、まさに“オールスター”の様相だ。

「オールスター……まあ派手な感じはないですけど(笑)、おめでたい雰囲気はありますね。お正月にのんびり見に来てくれはったらなあと思います。1と2を見ていなくても、3だけでも十分面白いですから」

「ありがたいことに3作続きましたが、次があるかは正直まだわかりません。物語の中で『次は台湾や』『ニュージーランドや』などと好き勝手なことを言っているのも、『とりあえず言っとけ!』みたいなもので。今回は大阪城を出して豪勢な感じを出していますが、前の2作と比べてスケールアップしているわけでもありません。でも『嘘八百』は、そこがいいところかな」

「嘘八百 なにわ夢の陣」は1月6日公開。

【公式サイト】https://gaga.ne.jp/uso800-3/

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース