近年、「かかりつけ医」の重要性が注目されるようになりましたが、なぜ必要なのかは意外にも知られていません。かかりつけ医を探す適切な方法やメリットとは? この素朴な疑問について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。
――数年前から「かかりつけ医を持ちましょう」と言われるようになりましたが、なぜなのですか?
理由のひとつとして日本の医療構造が挙げられます。自由に医療を受けることができる現在の体制は、同じ薬がさまざまな病院で処方されるなどの“無駄”が多いと言われています。また、多くの薬を服用することにもつながるので、自身の体についてよく知る医師をひとり決めておき、重大な病気にかかった際に必要な病院を紹介してもらう、というようにすることが目的です。
――どのようにして探すのでしょうか?
まずは、身近で通いやすい場所にあることが大切です。そして何より、医師との相性がよく信頼関係を築けるかどうか、という点が重要です。
――かかりつけ医を持つメリットとは?
かかりつけ医は、患者の健康状態を把握し、日常の健康管理、一般的な投薬治療を担当します。また、専門的な検査・治療が必要な場合には適切な病院に紹介してもらえるので安心です。
――紹介先の医師と主治医の間にやりとりはあるのでしょうか?
もちろんあります。画像検査などのデータや病状などについて共有され、専門医と連携するため、かかりつけ医のもとへ戻った際にはしっかりとしたフォローが受けられるようになっています。
――現在、月に1度かかりつけ医へ薬を受け取りに行っている場合、足を運ばなくてもよくなるシステムができたと聞きました。
たとえば、高血圧や糖尿病など、決まった薬の処方と数値測定などが必要な場合に、医師ではなく薬剤師が対応し、医師による診断は頻度を空けてもよいというシステムが構築されました。これにより、毎月かかりつけ医のもとへ行かなくても、薬局で薬を受け取ることができるようになりました。
――基本的にかかりつけ医は内科医のイメージですが、皮膚科や眼科などにもかかりつけ医がいた方がいいのでしょうか?
特定の病気がある場合は、眼科などにもかかりつけ医がいた方がいいかもしれません。ただし、かかりつけ医には全身を診てもらえる内科医が適していると言えますね。
◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科