AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(東京都新宿区)は、1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を分析・抽出した「倒産危険度の高い上位10業種」を発表しました。その結果、倒産リスクが高い業種の1位は「農業」だったそうです。
同ランキングは、2021年12月~2022年11月の期間に同社がモニタリングしていた企業のうち1万767社を対象として、33万298件のネット情報等から1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”を抽出し、集計したといいます。
▽倒産危険性の高い業種ランキング
【1位:農業】
1位は「耕種農業」「畜産農業」「園芸サービス業」などを主な事業とする「農業」で、56社に1社が倒産する危険性があるといいます。
2022年は特にコロナ禍や円安による飼料や燃料費といった生産コストの増加により資金繰りが悪化したことから畜産農業で大手企業の倒産が複数発生し、その余波により連鎖倒産も発生しており、農業全体の倒産危険度が高まっているといいます。
【2位:電気業】
2位は「発電所」「電力小売り」などを主な事業とする「電気業」で、63社に1社が倒産する危険性があるとしています。
2021年の初頭から続く燃料価格の高騰により、発電所を持たない「新電力」と呼ばれる電力小売り事業者の多くで電力の仕入価格が提供価格を上回る“逆ザヤ”が発生した結果、多数の事業者が事業停止に踏み切るケースが増えています。2022年以降も市場価格の高騰は続いており、今後も電気業全体の倒産リスク増加が予測されるといいます。
【3位:業務用機械器具製造業】
3位は「医療用機械」「アミューズメント機器」「光学機器などの業務用器具の製造」などを主な事業とする「業務用機械器具製造業」で、89社に1社が倒産する危険性があるといいます。
製造業の事業拡大には設備に多額の先行投資が必要なことから、長引くコロナ禍の影響で受注が確保できない企業に関しては、2022年になって資金繰りが悪化し息切れ倒産を起こしているといいます。
【4位:職別工事業(設備工事業を除く)】
4位は「とび工事」「内装工事」「塗装工事」「鉄骨工事」などを主な事業とする「職別工事業(設備工事業を除く)」で、103社に1社が倒産する危険性があるとしています。
一般的に元請業者より経営基盤がぜい弱な下請業者は、昨今の労働費や燃料費の高止まり、建築資材高騰の煽りを受けやすく、コロナ禍によって公共事業が低調化したこともあり、自助努力の限界が達した中小・零細企業に倒産の危険性があるといいます。
【5位:洗濯・理容・美容・浴場業】
5位は「サロン運営」「クリーニング店」「銭湯」などを主な事業とする「洗濯・理容・美容・浴場業」で、106社に1社が倒産する危険性があるといいます。
エステサロンの金銭トラブルはネット上の書き込みからニュースに取り上げられることも多く、口コミの内容によっては顧客が離れていき事業に多大な影響を及ぼすことから、今後も注視が必要といいます。
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以下、6位「広告業(総合広告業、広告代理業など)」(117社に1社が倒産する危険性あり)、7位「繊維工業(製糸業、紡績業、織物業など)」(122社に1社が倒産する危険性あり)、8位「繊維・衣服等卸売業(繊維や染材など原料の輸入、既成服の卸売業など)」(126社に1社が倒産する危険性あり)、9位「医療業(病院、診療所、訪問看護業、あん摩業、衛生検査所、臨床検査業など)」(131社に1社が倒産する危険性あり)、10位「物品賃貸業(産業用機械リース業、レンタカー業、レンタルビデオ業、貸衣裳業など)」(138社に1社が倒産する危険性あり)という結果になっていたそうです。
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調査を実施した同社は「先行き不透明な状況によって多くの企業は財務基盤が以前よりぜい弱となっているため、取引先倒産によって引き起こされる代金未回収が資金繰りに与える影響は大きくなっています。これらの経営リスクを回避するべく、企業には取引先の業種動向や倒産リスクを常に把握することが求められます」と述べています。