昨今では電気自動車(以下、EV)が話題を集めていますが、EV普及の課題はどのようなものがあるのでしょうか。全国のEV購入検討者(保有者)および集合住宅に住む30~50代の男女400人に「EVと住環境」について調査をしたところ、9割近くの人が「集合住宅に充電設備がないとEV購入は難しい」と回答しました。また、半数以上の人が「住環境(充電設備がない)が理由でEVの購入をあきらめた経験がある」と回答したそうです。
日産自動車株式会社(神奈川県横浜市)が、2022年10月~11月の期間にインターネット上で実施した調査です。
まず、EV購入を検討している350人に「EV購入の検討時期」を聞いたところ、「1年〜3年前」(43.1%)、「半年〜1年前」(25.1%)と続き、この1年以内にEV購入を検討した人は合わせて33.7%という結果になりました。
また、「EV購入を検討する理由」については「環境にやさしいから」(63.0%)、「ガソリンが高騰しているから」(51.3%)などが挙げられ、社会的な背景が大きく影響していることが分かりました。
続いて、全回答者に「EVを購入する上で迷う(迷った)ポイント」を聞いたところ、最も多かったのは「自宅で充電できない」(57.8%)で、購入価格よりも住宅の充電環境が影響していることが判明。次いで、「費用が高額」(57.0%)、「周辺の充電環境が整っていない」(45.3%)といった回答が挙げられたそうです。
また、EV保有者以外の350人に「集合住宅に充電設備がないとEV購入が難しいと感じますか」と聞いたところ、「まあまあ感じる」(52.6%)と「とても感じる」(36.0%)を合わせて88.6%の人が「難しいと感じる」と回答。
ちなみに、全回答者に「住環境(充電設備がない)が理由でEVの購入をあきらめた経験はありますか」と聞いたところ、51.0%の人が「ある」と回答しており、EV普及のためには、集合住宅との連携が必要なことが浮き彫りになったといいます。
さらに、EV購入検討者の79.5%が「現在住んでいる集合住宅にはEV充電ができる駐車場がない」と回答。実際に集合住宅でEVを保有している人(50人)でも充電方法は「自宅以外の充電スポット」が52%、「自宅以外の充電設備付き駐車場」が8.0%となり、「自宅の充電設備付き駐車場」と回答した人はわずか16%という低い結果となっていたそうです。
また、EV保有者で「自宅以外の充電設備を利用している」と回答した30人に「自宅から充電スポットまでの距離(徒歩)」を聞いたところ、30.0%の人が「30分以上かかる」と回答しました。
最後に、全回答者に対して「EVを購入する場合の充電場所」を聞いたところ、「自宅以外の充電スポット」(48.9%)と「自宅以外の充電設備付き駐車場」(24.9%)を合わせると、73.8%の人が「自宅以外の充電設備を利用予定」と回答したことからも、充電環境の整備推進が課題であることがうかがえたといいます。