厳しくしすぎて、虐待を疑われたことも…「しっかり育てなければ」気負いすぎた1人親の日々 しかし子どもは“親の背中”を見て育っていた

長岡 杏果 長岡 杏果

子どものことが心配だからと、つい口うるさくなってしまう…そんな親御さんも多いのではないでしょうか。未婚でシングルマザーのアイコさん(40代)は自身の境遇もあり、子ども(現在中学生)のことが心配なあまり、つい厳しくなってしまうと悩んでいた1人です。しかしご近所さんとの一言から、子どもの成長に気付くことができたといいます。

子どもを産むのは「親のエゴ」とも言われて

アイコさんは、現在中学生になる子どもと2人暮らしをしています。訳があり、未婚のシングルマザーとして今まで子育てに奮闘してきました。

「子どもを産みたいと両親に話したときは、猛反対されました」と少し下を向きながら語ったアイコさん。続けて「親友と思っていた子に相談したら…それは、親のエゴだと言われてしまって」と。

1人で子どもを産むと決めたアイコさんは、「子どもをちゃんと育てなければならないという気持ちが、無意識にあったのかもしれない」と話します。

「両親とは絶縁状態だったので、親戚や友人など頼れる人はいませんでした。だから、私にもしものことがあったら…と考えると、1人でできることを増やしてあげたくて。つい厳しくなっていたんだと思います」

そのため強く当たってしまい、子どもが泣くことも多かったようです。

「ある日、近所の方が通報されて…児童相談所の方が来ました」

近所の方に、虐待を疑われたアイコさん。

「お子さんは、どこですか?顔だけでも見せてくださいと来て早々に言われ、びっくりしたのと同時にショックでした。子どもの顔を見て、相談員の方は、虐待ではないと納得して帰られたのでよかったのですが…」とアイコさん。

それだけではなく、子どもがアパート前にある駐車場で遊んでいるところを近所の方が発見し、車にいたずらをしていると疑われたこともあったそうです。

それでも近所の方にしていたこと

子どものことでいろいろあったアイコさんですが、無視をされても挨拶だけはしていたそうです。子どもがいるときは、子どもも一緒に挨拶するようにしていました。

そのうち挨拶だけではなく「今日は暑いですね」と少し声をかけてくれるご近所さんもできるように。

そんなことを続けたある日。

「だから片親は…」と冷たく当たっていたご近所さんと、久々に会ったアイコさんが挨拶をすると、「おはようございます」と返答がありました。しかも、「お子さんもさっき、挨拶してくれたわよ。挨拶できない子が増えているけど、ちゃんとしてるわ」と褒められたそうです。

近所の方が褒めてくれた話を、子どもにしたアイコさん。子どもの言葉から気づきもあったようです。

「子どもに、『だって、お母さんもご近所さんに挨拶してるし。知らない人にも、挨拶してるじゃん』と言われて。私自身は、自覚がなかったのですが」

そして、こんなことも言われたと教えてくれました。

「もう一つ、驚いたんですが…『お母さんは、道に迷ったり困ったら…すぐ誰かに聞くでしょ?あれもすごいと思う』とも言われました」

   ◇   ◇

子どもを産むことを決めて、周りから猛反対され味方になってくれる人がいなかったアイコさん。子どもを産むことを自分のエゴだと無意識的に思って、自分の責任だからと厳しく育てきたことを後悔した日もあったと言います。

大人になると「わからない」「助けてほしい」などを言えなくなる人もいます。アイコさんは、自分の子どもが、ご近所さんやそれ以外の方に挨拶というツールを使ってコミュニケーションを取れるようになったことや、「助けて」と誰かに頼ることを恥だと思わない考え方を持っていることが親として安心できたそうです。

「子育てに正解はないけれど…」とぽつりと呟いたアイコさんは続けて、「自分が正しいと思うことを続けていれば、ちゃんと子どもには伝わっているんだと思ます。厳しい中にも私の愛情をしっかり受け取っていてくれればうれしいです」と、笑顔で教えてくれました。

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