駅を降りたら毒キノコ!? 子どもが大勢訪れる人気施設の最寄駅、専門家に聞いた注意点

門倉 早希 門倉 早希

人々が行き交う都会の主要駅前に毒キノコが生えていたら-。しかも、近くには子どもに人気のお出かけスポットがあり、週末ともなれば、小さな子どもを連れたファミリーが多く利用する駅。記者は先月下旬、withnewsが報道した「神戸駅前「毒キノコ」大量発生の謎」を見て、現地に足を運んだ。兵庫県神戸市のJR神戸駅の北側、ロータリーの一角にある赤れんがで囲われた芝生のなかで、それは存在感を示していた。

日本きのこセンターによる鑑定結果は

同駅は商業施設が直結した大きな駅で、大型商業施設のUMIEやモザイクがありデートスポットとしても有名だ。また、神戸アンパンマンこどもミュージアム&モールの最寄り駅として家族連れに利用されている。ちなみに、まいどなニュース編集部がある神戸新聞社の最寄り駅でもある。記者が出勤する際、駅付近は神戸アンパンマンこどもミュージアム&モールに行くであろうベビーカーを押した人や、2~3歳くらいの子どもを含んだ家族もよく見かける。休日は商業施設へ買い物に出向いた10代の若者からお年寄りなど、たくさんの人が行き交う場所だ。そんな栄えた駅にまさか毒キノコなんて生えているのだろうか。

神戸駅前「毒キノコ」大量発生の謎 取材後に体験した「見事なオチ」

withnews

現地に行って確認してみると、それは確かに「ニョキ」と複数本生えていた。カサの直径が10センチほどの白いキノコ。広く知られるシイタケやシメジなどとも似ておらず、記者は見たことがない品種だった。現場で生えていたキノコを撮影。「一般財団法人日本きのこセンター」に写真での鑑定をお願いした。まず担当者は「野生のキノコについては、名前がついていたり、食毒の有無が判明していたりするきのこの方が少ないです」と前置き。さらに今回は写真鑑定であることから、何々の仲間であるといった広義での鑑定になるとのことだった。

そして、カサの表面、裏側のヒダ、周囲の環境など写真と説明を合わせて鑑定してもらった結果、「キノコが発生してだいぶ時間が経っており、古くなっているのとだいぶ乾燥している様子が見受けられます。そのため、明確にはお答えできませんが、おそらく『オオシロカラカサタケ』ではないかと思われます」と教えてくれた。

「オオシロカラカサタケの一番の特徴はヒダがオリーブ色がかっているところです。また、道ばたや草むらや芝に発生することが多いようです。写真のキノコは、古く乾燥してしまっているので、ちょっとわかりづらいですが、ヒダが若干オリーブ色が乾いてくすんだような感じがします」(同担当者)

オオシロカラカサタケには毒があり、もし食べた場合は嘔吐、下痢、腹痛などの中毒症状がでる可能性があるそうだ。では防除のために触るのは? 担当者曰く、「毒キノコは食べさえしなければ、触っても問題ありません。生えていて気持ちが悪いなら、もぎ取ったらいいかと思います(また生えてくるかもしれませんが)」。

なぜ人の往来が多い場所に?

そもそも、キノコといえば湿度の高い場所や木の近くに生えるイメージがある。件の花壇は木々が生い茂った場所でもないのになぜ発生したのだろうか。

「胞子は空気中に飛んでいますので、そのキノコにとって最適な環境であれば、街中でも生えると考えられます。キノコによって最適な環境は異なりますが、オオシロカラカサタケは、暖かい地域に生えるきのこで、芝や草地に発生します(参考:日本のきのこ/山と渓谷社)。なので街中とはいえ、(オオシロカラカサタケが生えるのに)よい環境だったのではないでしょうか。

秋のキノコで『ハタケシメジ』という美味しいキノコがありますが、これも森の中というより道ばたなどに生えます。『オニフスベ』というきのこも芝や草むらに生えることが多いので、突然白くて丸い物体が現れて、驚かれる方が多いです。もちろん、寒くならないと出てこないキノコもありますし、森の中で発生するきのこもあります。発生条件は様々です」。

◇ ◇

大人であれば「野生のキノコは有毒な可能性が…」と知る人も多いだろうが、似た食用キノコを知っているからと持って帰って食べるのはNG。また、小さな子どもなら触ったり、最悪の場合、口に含む可能性もある。子どもには「あれは、ばいきんまんだから…」と言ってキノコを触らせたりしないように注意していただきたい。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース