看護師の母が励みに!4ディアボロ公式日本記録保持者 世界が注目するジャグラー、深河晃さんってどんな人?

八木 純子 八木 純子

 世界的なジャグラーとして知られ、あのサーカスカンパニー「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公式登録パフォーマーでもある深河晃さん。現在は京都発のノンバーバルシアター「ギア-GEAR-」にレギュラー出演中だ。ノンバーバルとはセリフを使わないという意味。「ギア」は公演回数3500回を超え、国内の連続公演記録を塗り替え続けている。人気の一端を担う深河さんを取材した。

「日本初」「日本発」として記録更新中の舞台公演

 深河さんが出演している「ギア-GEAR-」は京都市中京区にあるギア専用劇場(ARTCOMPLEX 1928、京都市中京区)で上演されている。100席限定の小劇場として2012年に上演開始。今年4月に10周年を迎えた。1月には公演回数3500回を突破。国内ではあの「放浪記」を超え、連続公演記録を塗り替え続けている。

 「ギア」はノンバーバル(セリフのない芝居)なので日本語が分からなくても楽しめるのが大きな特徴だ。あらすじは人形の「ドール」と人間型ロボットの「ロボロイド」たちの出逢いと再生を描いたもの。プロジェクションマッピングなどの最新技術を使った演出と身体を駆使した迫力あるパフォーマンスが好評で、その出演者の一人が深河さんだ。

 「ギア」にデビューしたのは2014年2月のこと。「芝居とパフォーマンスを組み合わせた作品はジャグラーとしていい勉強になり、自分自身の成長にもつながるだろうと思いました」というのが出演のきっかけだったが、迫力満点のジャグリングはたちまち観客を魅了し「ギア」の注目度も高まっていった。

2010年シルク・ドゥ・ソレイユ公式登録パフォーマーに

 深河さんが得意としているのはアクロバティックな身体表現を取り入れたディアボロの演技。これは空中独楽、輪鼓、中国ゴマなどとも呼ばれ、お椀を2個つなげたようなコマを、2本のハンドスティックに通した糸で操るパフォーマンスだ。

 大阪府松原市出身。「小学校3年生のとき、祖父にディアボロを買ってもらったのがきっかけでハマり、高校生の時にはプロになりたいと思いました」。しかし、実際にすぐにプロになるには厳しく、高校卒業後、4年間サラリーマンを経験している。

 転機は、20歳の時に世界的に知られるサーカスのオーディションを受けたこと。それがカナダに本部を置く「シルク・ドゥ・ソレイユ」だった。その素晴らしいパフォーマンス力が認められ、2010年、日本人では数少ない公式登録パフォーマーに認定されたのだ。

 2012年にはジャグリング世界大会で決勝進出。2016年にはパリで開かれたサーカスの世界大会「シルク・ドゥ・ドゥマン」において日本人2人目となるディアボロパフォーマーとして審査員特別賞を受賞した。

 それがきっかけとなり、世界各国のパフォーマーによるコメディーとアクロバットを組み合わせたエンターテインメントショーを繰り広げているドイツの「GOP」が注目。出演依頼が届き、2019年からドイツ公演を行っている。

2022年はジャグラーとして国内外で大活躍

 一時はコロナ禍で活動を休止していたが、現在は京都での「ギア」レギュラー出演の他、国内外での公演やテレビ番組の出演依頼が続いている。近々では、11月5日に東京の観世能楽堂で行われる「究極のパフォーマンスショー“ジパング”」(15時30分開演)に出演する予定だ。

 もちろん、忙しい合間をぬって日々、ジャグラーとしての腕を磨くことも忘れていない。練習時間は最低でも2時間、多い日は5時間近くにも及ぶ。「4ディアボロ公式日本記録」保持者として次なる目標として「世界記録」を目指しているからだ。

 そんな深河さんがジャグラーとして奮闘努力する理由の1つにお母さんの存在がある。

 「母は看護師で、人の命を救うために懸命に努力しています。そんな母の姿を子どもの頃から見てきて、僕自身はジャグリングを通して一人でも多くの人に元気や勇気など何かを与えることができればと思うようになりました」

 世界も注目するジャグラーの深河さん。その神業は一見の価値あり、だ。

◇「ギア-GEAR-」
https://www.gear.ac/

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