人に恐怖心、噛み癖のあった元野犬が心を開いた 今ではウサギのように飛び跳ねてノリノリ散歩

松田 義人 松田 義人

 

広島にあるペット保護・譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(ピースワンコ)。同団体には今日も数多くの保護犬が引き出され、一頭ごとの性格、健康状態などに合わせて、トレーニングなどを行い、その命に寄り添ってくれる里親さんへの譲渡活動を行なっています。

同団体の譲渡施設「世田谷譲渡センター」で、子ぎつねちゃんのようなかわいいワンコを見つけました。その名はヤオモモちゃん。推定5歳5ヶ月の元野犬のメスのワンコです。

根気強いトレーニングによって人間に心を開くように 

ヤオモモちゃんが同団体に引き取られたのは2019年1月のこと。当初は、人間に対する恐怖心がかなりあったようで、触ろうとすると、逃げてしまったり、手を伸ばしたら噛みついてくるような素振りもありました。

このため、広島本部の犬舎のスタッフも噛みつき防止手袋をし、注意をしながらトレーニングにあたりました。人間に抱っこされても怒らないようにならないと、譲渡センターに移すことができませんが、ヤオモモちゃんはなかなかそれを許してくれません。気性が難しいタイプのワンコだと思ったスタッフは、少しでも今の環境に馴らすため、犬同士ではなく人がそばにいる環境で飼育することにしました。

この環境下で、少しずつ少しずつヤオモモちゃんを人間に馴れさせていったある日のこと。ついに抱っこをしても噛まなくなりました。

試しに、岡山で開催された譲渡会に参加しましたが、初対面の人の手からのおやつも、不安なく食べれるようになるほど成長を遂げました。

こういった経緯を経て、今年から「世田谷譲渡センター」に移ることになりました。

テンション爆上がりのお散歩で、かわいい本末転倒ぶり

「世田谷譲渡センター」に来たばかりの頃のヤオモモちゃんは、やっぱり人見知りの内弁慶。新しい環境に馴染むには少々の時間がかかりましたが、しかし、「ここは安心して良い環境だ」「この人たちは味方だ」とヤオモモちゃんが判断すると、それまでの態度から一変し、スタッフとのお散歩を前に尻尾を振って前に出てくるほどのノリノリっぷり。

お散歩に出てからもテンション爆上がりで、嬉しすぎてウサギのようにピョンピョン飛び跳ね「真っ直ぐ歩くことができない」というかわいい本末転倒ぶりを見せるほどに。スタッフは「『ちょっと落ち着いて』って言いたくなるくらいの爆上がりですが、その様子がかわいくて、本当に面白いワンコです」とも語っていました。

長い道のりを経て、第二の犬生を迎えるかも?

保護犬の多くはさまざまな背景を経て、同団体に引き取られています。元野犬、元飼い犬それぞれに様々な事情を抱えており、最初から「人間と仲良く接することができる」ワンコばかりではありません。こういった一頭ごとに違うワンコの事情や性格を鑑みつつ根気強く接し、愛情を注ぎ、トレーニングに時間をかけて「第二の犬生」へと導くのが同団体の活動です。

現在、ヤオモモちゃんは、新しい里親さん候補と相談中とのことですが、ここに至るまではこういった同団体のトレーニングスタッフ、譲渡スタッフ双方の愛情があってこそ実現につながるものだと思います。今回ご紹介したヤオモモちゃんはもちろん、同団体では一頭一頭、第二の犬生が楽しく幸せになることを願い、ホスピタリティ溢れる活動を続けています。今後の活動の動向にも注目してくださいね。

ピースワンコ・ジャパン https://peace-wanko.jp/

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