広島にある行き場のない犬の保護・譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン(ピースワンコ)。広島県内の殺処分対象の犬を引き取り、過去7000頭以上を助けてきた団体です。「ドリームボックス」という犬の殺処分機の稼働を止め、日本全国の犬の「殺処分ゼロ」の実現を目指しています。
同団体には今日も数多くの保護犬が引き出され、一頭ごとの性格、健康状態などに合わせてトレーニングなどを行い、その命に寄り添ってくれる里親さんへの譲渡活動を行なっています。
同団体の関連施設は、東京から広島までのエリアに点在していますが、そのうちの一つの東京の「世田谷譲渡センター」で、クリクリの目でジッとこちらを見つめてくるワンコがいました。テーブルちゃんという元野犬のメスのワンコです。
推定4歳7ヶ月のメスで、その愛くるしい表情で見つめられると、ついこちらの表情がほころんでしまいます。
同じワンコには積極的に「遊ぼう」と寄っていくも…
テーブルちゃんがやってきたのは2018年のこと。広島本部の犬舎でトレーニングをした後、ここ「世田谷譲渡センター」にやってきましたが、当初はとにかく怖がりで、人間が近くにいるとケージの隅っこに行ってしまうワンコでした。しかし、人間が離れていて、なおかつ近くにワンコがいると、積極的に自分から近づいて「一緒に遊ぼう」なんてすることも。この辺は「同じ犬は好きだが、人間はちょっと苦手」という元野犬特有の性格かもしれません。
ただし、「ちゅーる」などのおやつや、ご飯を食べることが大好きで、こういう場面では積極的に人間に近づいてくることもあります。また、「この人は絶対大丈夫だ」とテーブルちゃんが判断した人には、自らムクッと立ち上がって近づいていくこともあり、「人間が怖い、苦手だ」というよりは、あまりの不慣れでシャイなようにも映ります。
お散歩中もクリクリの目で無言の訴え
また、テーブルちゃんの「どうも人間が嫌いではない説」は、普段の様子からもうかがい知れます。スタッフが施設内を掃除している際、ふと視線を感じて振り返ると、テーブルちゃんがジッとこちらを見つめていることがあります。洗濯をしていてもジッ。誰かと話をしていてもジッ。もちろん、スタッフがおやつを手に取ろうとすれば、ジッと見つめて、無言で「ちょうだいよ」と訴えているように感じることも。
その度スタッフは、そのクリクリの目にヤラれて「もう、かわいいんだから!」と必要以上に接してしまうこともあります。
さらに、テーブルちゃんのガン見攻撃は、お散歩中にもよくあります。当初は「人間と一緒に歩く」お散歩が苦手で、地面に伏せてしまいその場から動かなくなることもよくあったテーブルちゃんですが、少しずつ慣れていき、今ではスタスタと歩いてくれるようになりました。
こういったお散歩中でも「どこ行くの?」「こっち行きたいんだけど?」とまたクリクリのガン見で訴えてきます。ここでもまたスタッフの心を射抜いてしまうテーブルちゃんですが、この愛くるしさがテーブルちゃんの魅力の最たるところです。
一頭ごとに合わせたマッチングで、第二の犬生を!
取材から数日後、テーブルちゃんに新しい家族ができ先日無事に卒業することができたことを聞きました。テーブルちゃん独特のコミュニケーション術や、シャイな性格をしっかり理解される優しい里親さんと出会うことができて本当に良かったです。
言うに及ばず「新しい里親さんなら誰でも良い」ということはありません。スタッフは、長年の経験から、そのワンコの性格、健康状態、バックボーン、コミュニケーション術が全く違う一頭一頭を大切に、最適の里親さんを判断した上で譲渡を行なっています。
このようなピースワンコ・ジャパンの活動によって、今回ご紹介したテーブルちゃんはもちろん、他のワンコにもピッタリのマッチングでの第二の犬生が楽しく幸せになることを願うばかりです。
ピースワンコ・ジャパン https://peace-wanko.jp/