日本人は世界有数の風呂好き民族といわれるように、日本には温泉、銭湯、スーパー銭湯など多彩な公共入浴施設が存在しています。NTTタウンページ株式会社がこのほど発表した「入浴施設都道府県別登録件数ランキング」によると、人口10万人あたりの入浴施設の登録件数は、3年連続で「青森県」が1位だったそうです。
同ランキングは2020年・2021年・2022年の各6月時点で、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)の業種分類「銭湯(スーパー銭湯)」「銭湯」「温泉浴場」「健康ランド」に登録されている件数を集計し算出したといいます。
2022年の「入浴施設の登録件数による都道府県ランキング」の1位は3年連続で「青森県」(207件/人口10万人あたり16.95件)でした。
次いで、2位に「大分県」(156件/人口10万人あたり14.00件)、3位は「鹿児島県」(205件/人口10万人あたり13.01件)、4位「山梨県」(97件/人口10万人あたり12.05件)、5位「富山県」(115件/人口10万人あたり11.22件)となりました。
続いて、2020年の「1世帯あたりの『温泉・銭湯入浴料』支出年間金額」を調査したところ、全国平均の「1243円」に対し、1位の「青森市」では4倍以上となる「5392円」。青森県の大人入浴料金は450円であることから、月に約1回は公衆浴場を利用している計算に。
次いで、2位は「金沢市」(4434円)、3位に「盛岡市」(2835円)がランクインしていたそうです。
なお、「温泉」と「銭湯」にはそれぞれ定義があります。「銭湯」とは、地域住民の日常生活において保険衛生上必要な施設(公衆浴場法)とされており、入浴料金は、物価統制令によって統制されています。
「スーパー銭湯」や「健康ランド」等も、料金を支払って入浴する施設で銭湯の一種ではあるものの、飲食施設や無料休憩スペース等が強化された業態を指し、物価統制令の制限を受けないといいます。
一方、「温泉」では、その掘削や提供に関しては、水温や含有成分の条件を定めた温泉法で規制されており、温泉を利用した浴場業、いわゆる「温泉浴場」を営む場合には、銭湯と同じく公衆浴場法の規制を受けることとなるといいます。
次に、「入浴施設の登録件数推移」をみると、戦後の人口増加に伴って全国で多くの銭湯が開業したものの、高度成長期に入ると住環境が大きく改善され、浴室付き住宅が増加いたことから利用者は徐々に減少。
また、バブル期などの一時的なブームを経て、今や国民的レジャーとして定着した温泉浴場(「温泉旅館」は含めない)も、2013年の3448件から、2022年では2890件まで減少しており、入浴施設全体が減少傾向となっているそうです。
特に登録件数が大きく減少している「銭湯」の登録件数推移をみると、調査を開始した2013年から2022年の10年間で、55%にまで減少。「銭湯」がタウンページデータベースの業種に登場した1989年まで溯って比較すると、1989年の1万1374件から、2022年では1700件と、33年間で15%にまで減少しており、銭湯減少の主な理由としては、「一般家庭への浴室の普及」「後継者不足」「燃料費の高騰」「認知度の低下」などが考えられるといいます。
◇ ◇
調査を実施した同社は「日本が世界に誇る銭湯文化。このまま姿を消してしまうのは寂しい限りです」と説明する一方で、「最近では第三次サウナブームに乗って「銭湯サウナ」と呼ばれるサウナ付きの銭湯も増えてきているようなので、このブームに乗って銭湯文化も勢いを増してほしいところです」とも述べています。
◇ ◇
【出典】
▽日本一入浴好きの都道府県はどこ?入浴施設都道府県別登録件数ランキング
https://www.ntttp-db.com/post/ranking16