「もしかしたら、自分は発達障害なのかも」…診断をきっかけに、許せた過去の自分、30代からの新たな挑戦

長岡 杏果 長岡 杏果

日常生活や仕事などさまざまな場面で、困難や生きづらさを感じる発達障害。大人になってから、発達障害と診断される方も少なくありません。人間関係がうまくいかない、話を理解してもらえないなど、これまで他者交流に悩みを抱えてきたYさん(30代・関西在住)は、半年前に発達障害と診断されました。

生きづらさの原因は発達障害だった

Yさんは幼少期から友達と仲よくしたいにもかかわらず、ふとした一言でトラブルになり、うまく人と関わることができませんでした。それは大人になって社会に出てからも同じでした。

短大卒業後、医療クリニックで受付のアルバイトをしていました。しかし、長く続いても半年、さまざまなクリニックを転々とする中、障害福祉サービスのアルバイトの求人を見つけ、働くことになりました。Yさんはこれまで仕事はつらいものだと思っていましたが、障害福祉サービスの事業所では、はじめて居心地のよさを感じたといいます。

仕事に取り組む中で、事業所を利用する人たちの生活歴などの情報を目にする機会が増えてきたYさんですが、そのうち利用者の人たちが自分と似たような学生生活を送っていたり、同じような悩みを抱えていることに気が付きました。そして働きはじめて3カ月が経ったある日、「自分はもしかしたら、発達障害なのかも」と思い、上司に相談したといいます。

上司からは「もし自分がそう思ってつらいなら、一度病院を受診してもいいかもしれない」とアドバイスをもらい、自分でクリニックを受診しました。その結果、「発達障害」と診断されたのです。

発達障害とわかって自分を許せるようになった

Yさんは発達障害と診断されたとき、悲観的な思いはなく「やっとラクになれる」と感じたそうです。

これまで「なぜ?」「どうして?」と、他者とうまく交流ができない自分を責めていました。しかし、発達障害だと理由がわかったことで、自分を許してあげようと思えたのだといいます。発達障害とわかってからは、無理に人に合わせようとするのではなく、自分らしさや自分の得意なことを大切にしたいと思うようになりました。

そう思えた理由は、障害福祉サービスの事業所で働き、利用者の人たちを身近に見てきたからだそうです。障害があっても自分らしく生活を楽しんでいる人たちがいることや、周りのサポートを受けながら自分の得意を生かせる環境があることを知ったのです。

仕事をやめて個人事業主に!新しい人生のスタート

Yさんには得意なことがありました。それは絵を描くことです。勤務先の上司に絵が上手なことを褒められたことをきっかけに、絵を自分の収入につなげたいと感じるようになりました。

そのことを上司に伝えると、一緒に絵を販売できるサイトを探してくれました。そして出品したところ、売れたのだといいます。Yさんははじめて人に自分を認めてもらえたような気がして、これを職業としていきたいと強く思い、その後も絵を描き続けました。

売れないこともありますが、売れたときの感動が忘れられず、現在は勤務先の障害者施設を退職し、現在は絵で生計を立てています。Yさんは発達障害と診断されたことで、新しい人生を切り開けたと笑顔で話してくれました。

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