2学期が始まってしばらくたちました。新学期を楽しみに待っていた子どもたちがいる一方で、学校に行きたくないと感じている子どもがいるのも事実。大人からしたら小さなことでも、小さな子どもにとっては「とてもつらい」ことになったりするもの。小学校に行きたくない“理由”について、子どもたちの話を聞いてみました。
【低学年(1~2年生)】ルールや守るべきことがたくさんあって…
低学年の子どもたちは、まだまだ保育園児とさほど変わりません。その一方で、ほとんどが自由時間だった保育園に比べ、小学校は授業中はしっかり座って話を聞く必要があるし、短い時間内での教室移動、時間内で給食を食べ終わるなど、ルールや守るべきことがたくさん出てきます。楽しいこともたくさんありますが、「つらい」という思いでいっぱいになってしまう子も…。
▽一日中気が抜けない気がする…
娘は割とゆっくりのんびり屋さん。ササっと着替えたり準備をするのが少し苦手です。学校の準備もじっくり時間をかけてするタイプ。でも、学校で他の子たちがなんでもものすごく素早いらしく、ついていくのが精一杯な毎日に疲れてしまったようです。「なんだか小学校はセカセカしてて疲れちゃう…」と言っています。「これから慣れて、みんなと一緒にできるよ」と伝えながら様子を見ています。〔Hさん、子ども7歳(1年生)〕
▽保育園のお友達と比べてしまう
保育園の友達が1人もいない状態で入学した息子。保育園の友達は気も趣味も合っていたようで、毎日降園を嫌がるほど大好きでした。ところが、小学校の友達は趣味というか、遊びたいことが合わないようで…。まだ小学1年生なので「人に合わせる」ということも難しい。「A君とかBちゃん(保育園時代の友達)と同じ学校がよかった…」とボヤいています。今は、「大丈夫、頑張れ!」と励ますより、保育園の友達と都合の合うときに公園で遊ぶなど、不安やストレスを減らすようにしています。たまに同じ公園にいた今の小学校の子と一緒に遊んだりもしているようなので、少しずつ合う友達を増やしてほしいと願っています。〔Tさん、子ども6歳(1年生)・4歳〕
▽給食の時間がイヤ
普段から食が細く、給食は先生や給食当番に言えば量を減らしてもらえるのですが、気が弱くて言えない長女…ドン! と盛られた給食を見るだけで、「食べられるかなあ」と不安になってしまうそうです。「給食食べたくないから休みたいなあ」とよく言っていました。1年生の後半から少し食欲も増して、「給食イヤ!」がなくなったのですが、またダメになってしまいました。「量を減らしてって言ったら?」と言っても「無理」、「先生にママから伝えようか?」と言っても「それはやめて」と。どうしたらいいんだぁ~。〔Uさん、子ども7歳(2年生)〕
【中学年(3~4年生)】授業で当てられるのが嫌!自信がない…
低学年よりも少し勉強が難しくなり、わからない問題なども出てくるのが中学年。「みんなの前で間違ったらどうしよう」という不安が大きくなったり、他の子と自分を比べて「なんか違う」と思うようになり、恥ずかしいと思ったり自信をなくしてしまうことも。そんな中学年の「行きたくない」理由とは。
▽音読で「噛み噛み星人」とからかわれた
国語でみんなの前で音読をしたとき、漢字を読み間違ったのをきっかけに、娘が音読する番になると、「あ、噛み噛み星人だ」とからかう子がいたそうです。先生が厳重に注意したそうですが、いまだに娘が音読するときクスクスと笑うそう。「気にしなくていいんだよ! そんな子は!」と伝えていますが、私も(噛み噛み星人と言って、いまだに笑う子に)めちゃくちゃムカついています。国語で音読がありそうな日は「今日休みたいな~…お腹痛いかも」と言っています。〔Kさん、子ども8歳(3年生)・6歳・2歳〕
▽係が嫌…
クラスの係活動で「お笑い係」になったそうです。学級を楽しくするために,寸劇やショートコント、漫才などでみんなにお笑いを披露する係だそうですが、正直「なんじゃそりゃ?」と思ってしまいました。最初は「みんなが笑ってくれるのが楽しい!」と張り切っていましたが、そのうち「面倒くさい…ネタ考えるのも練習するのも嫌だなあ」と。まだ「学校に行きたくない」とは言っていませんが、「係活動が面倒くさい=学校が面倒くさい」という気持ちになってしまったようです。〔Sさん、子ども10歳(4年生)〕
▽背が小さいことがコンプレックス
背が学年で一番小さい息子。2年生まではそんなこと気にもしていなかったし、今もからかう子はいないようです。でも、朝礼や体育などで背の順に並ぶとき、必ず一番前で「前習え」も腕を前にあげるのではなく、腰に当てるスタイル。3年生になったとたん、それがすごく恥ずかしくなってしまったようで(どうやら一番前に並ぶのは、息子以外みんな女の子らしい)、月曜の朝(校庭で朝礼のある日)や体育のある日は時間ギリギリまで家にいて、渋い顔で出ていきます。行きたくないんだろうな~と分かっていますが、あえて「いってらっしゃい!」と元気に送り出しています。〔Oさん、子ども9歳(3年生)〕
【高学年(5~6年生)】なんとなく「ウザイから」?
高学年になると、心と体がなんとなくアンバランスになる年頃。人間関係も少し複雑になります。また、「学校なんてこんなもん」と達観した気になって「学校ウザイなあ」という漠然とした「行きたくない」気持ちになってしまう子も多いようです。
▽小学校やり切った感じ!?
長男が通っていた小学校は人数が少なく、ひと学年ひとクラスしかありませんでした。6年間ずーっと同じメンバー。5年生になって、「なんかもう小学校やり切った感じ。友達のことも分かり切っちゃったし。行くの面倒だし、行きたくない」と言い出しました。「はぁ??何言ってんだ?」と思ったし、「もしや、いじめられているのか?」と焦りましたが、そうではなさそう。どうやら、5年になって変わった担任の先生が苦手だったようです。5年といっても、考え方もだいぶ大人。「世の中には、いろんな人がいるよ。先生にだっていい人もいれば、合わない人もいる。これから世の中に出たら、そんなことばっかりだよ。いい意味で『まあ、こんなもんか』って思いながら気楽に行けばいい」と伝えました(正しいことを言ったとは思っていませんが…)。今中1になった本人は、「5,6年は何となく過ごした感じ」と言っています。中学でリセットできたし、それはそれでアリだったのかと思っています。〔Aさん、子ども13歳(中学校1年生)・5歳〕
▽学校の勉強より塾の方がいい
中学受験を控えていますが、「学校の勉強なんかやってらんない、行きたくねえ」という感じになってしまって…。
今は、塾に行って勉強しなきゃという焦りと、「塾の方が勉強も面白いし、友達も話してて楽しい」と言い出す始末。毎朝不貞腐れながら登校しています。学校のことを聞こうとしても「あ?」と反抗顔になるので、あまり聞けず。うーん、こんなことになるとは…。〔Fさん、子ども12歳(6年生)〕
▽友達の不登校に心がグラグラ…
娘の仲良かったグループのうちの1人の子が、突然学校に来なくなってしまいました。周りにとても気を配る子らしく、もしかしたら普段から気を遣いすぎて、ある日ガクッと疲れてしまったのかなぁ、なんて勝手な憶測してしまったり…。娘はその子のことをとても心配しつつも、自身もなんとなく心が不安定になってしまい、毎朝「今日は学校行きたくないな」と言うように。何とか学校には行けていますが、いつ行かなくなってしまうんじゃないかと不安に思う毎日です。〔Tさん、子ども12歳(6年生)・6歳〕
◇ ◇
小学生の子どもが生きる社会は、「家庭と学校」、ほぼこれだけです(塾や習い事もありますが)。その社会の中で家族と友達と先生と過ごし、楽しいこともあれば、嫌なこと、悲しいこと、つらいことも当然あります。
そしてその感じ方もさまざま。まだ小さいので、解決方法や折り合いのつけ方、気持ちの切り替え方のノウハウもたいして持っていません。
狭い社会の中で何かあれば、「行きたくない」という気持ちが芽生えてしまうのは当たり前だと思います。親からすれば、「なんだ、そんなことで行きたくないの?」と思ってしまう理由もたくさんありますが、子どもなりに感じること、思うことがあると思います。子どもたちは、みんな親が思う以上に頑張っています。「行きたくない」というちょっと疲れてしまった心に寄り添って、思い切り味方してあげましょう。