文部科学省の2019年度の調査によると、小学2年生のいじめ認知件数が8万2360件。小学1年生から高校3年生までのいじめを調査したところ、小学2年生のいじめ認知件数がもっとも多くなっています。いじめの状況は「冷やかしやからかい、悪口、嫌なことを言われる」が一番多く、続いて「仲間はずれや集団無視」「遊ぶふりをして叩いたり蹴ってくる」「金品をとられたり、壊される」などでした。精神的なことから肉体的なものまで、大人の知らないところで陰湿ないじめが起きているのです。実際にいじめにあった小学2年生の娘さんがいらっしゃるお母さんの紗季子さん(仮名・関西在住)にお話を伺いました。
――娘さんは普段どのようなお子さんですか。
娘は明るくて人懐っこい反面とても繊細で優しい子です。
昨年は辛いことが重なり不登校でしたが、「2年生になったら学校頑張るからね」といって4月から前向きに登校をしていました。しかし、想像もしていなかったいじめが次々と起こりました。
――娘さんは学校でどのようないじめにあいましたか。
2年生になってから男子児童から激しい暴力を受けたり、1年生のときからいじめを受けている女子児童から物をとられたり壊さたりしました。
そして最近は、クラスの女子児童らによる仲間はずれや嫌がらせです。女子児童らが娘に対して「こっちに来ないでくれる?あっちに行って」「あんたとは話したくないから」と仲間外れにするなど、先生が見ていないところで、女子児童らは陰湿ないじめを繰り返していました。
給食の配膳時に娘が「配膳のお手伝いをしようか?」と声をかけたそうですが、「あんたはしなくていいから!もーっ!!あっちに行って」と言われたそうです。昼休みには、女子児童たちから「あんたとは遊びたくないねん」と仲間外れ。毎回ことあるごとに「あっちにいって」と言われ、さすがに度重なるいじめや嫌がらせに娘は耐えきれず泣いてしまったようです。
娘が泣いているところに隣のクラスの男性教師が駆けつけてくれ、いじめた女子児童らに向かって「Aちゃんはいま学校に来ようと頑張っているところなんだ。君らがそれを邪魔したらあかんやろうが!君らのせいでまた学校に来れなくなったらどうしてくれるんだ!それに1対2以上でやるのはあかん!それはただのいじめや!今後いじめをしたら二度と先生も学校も絶対に許さんへんからな」と厳しく叱りつけてくれたそうです。
――その後いじめはどうなりましたか?
先生が厳しく指導してくださったおかげで、意地悪をしてきた女の子たちが、必要以上に娘に近寄って来ることはなくなったそうです。あいさつ程度だと娘から聞いています。
――いじめに対して学校側の対策はなにかありましたか。
娘が登校した際には、いじめが起きないか、管理職の先生とフリーの先生方が交互で娘を見守ってくれているそうです。
それまでは「もう辛い」「私をいじめる子たちの顔も見たくないよ」と追い詰められた様子で学校も休んでいましたが、いまはまた笑顔を取り戻してクラスや別室に登校しています。
――いじめ被害にあったときはどうするべきだと思いますか?
お子さんの安全確保を最優先にしてください。
いじめは早期発見、早期解決が望ましいです。時間が経てば立つほど子どもの心が蝕まれていきます。いじめを受けた子どもは深い心の傷を負うだけではありません。いじめがなくなったあとも、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」「うつ病」「パニック障害」といったさまざまな後遺症がでてくる可能性があります。決して無理をしないで、自宅で傷ついた心も体も休ませてあげてください。苦しんでいるお子さんのそばにいる親御さんもとてもお辛いと思いますが、どうか親御さんだけはお子さんの見方でいてあげてくださいね。
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最後に、学校側にいじめの対応をしてもらえないときや、問題がこじれてしまってどうすることもできないときには、親御さんだけで悩まず各市町村のいじめの相談窓口や24時間子どもSOSダイヤルなどにご相談してください。
<いじめの相談窓口>
▽24時間子どもSOSダイヤル(文部科学省設置)
https://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm
0120‐0‐78310
▽チャイルドライン(18歳まで)
https://childline.or.jp/
0120‐99‐7777
※毎日午後4時から午後9時まで。名前は言わなくて大丈夫です。
※いじめ以外にも学校に行きたくないなどの相談を受け付けています。