「担任の先生がなんとなく嫌いみたい」「先生が怖いとずっと言っている…」
わが子と担任の先生が合わない、なんとなく相性が悪い。それが「学校に行きたくない」に繋がってしまうケースもあります。でも、そんなこと先生には言いづらいし、どのレベルになったら学校に相談していいのか、とても迷うところですよね。「伝えてしまったら、モンスターペアレント扱いになるんじゃないか」「子どもがさらに辛い立場になったらどうしよう…」など、不安が堂々巡りになって、結局言えずじまいというケースも少なくありません。
親はどのような対応をしたらいいのか、学校に相談する場合にはどう持ちかけたらいいのかなど、先輩ママたちの経験談ととともに紹介します。
我が子が担任と合わなかった理由とは?
自分の子どもと担任の先生が合わなかった理由や状況、その当時の子どもの様子や子ども自身が言っていたことなどを聞いてみました。大人目線だと、つい「そんなことで合わないの!?」と思ってしまいがちですが、小さな小さな社会の中で、まだ狭い視野で生きている子どもにとっては大きなことなのです。
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▽宿題の採点が厳しすぎる!?
小学校1年生のときの担任の先生がベテランの女性で、第一印象は「安心してお任せできる」という感じだったのですが…ひらがなの宿題の採点がとにかく厳しいというかドライというか、娘が頑張って時間をかけて書いたものにほとんど「×」が付けられて返ってくるんです。厳しいのは仕方ないし、むしろありがたいと親として思っているのですが、なぜ「×」なのか理由がわからないものあったりして本人も悩んでしまうように。
先生の負担にはなってしまうのかもですが、「がんばったね」とか「もうすこし!」とひとこと書くとか、そういう文字の判子を押すとかだけで、子どもの気持ちも変わってくると思うんです。子どもは「こんなに×ばっかり!もうやだ!先生嫌い!」と言って泣きながら宿題をすることも多々ありました。
結局2年時に担任が変わりましたが、1年の間は先生に対して苦手意識があったようです。〔Hさん、子ども10歳〕
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▽熱血すぎて子どもが引いた
長女が小学校3年生のときの担任の先生が、ものすごく熱い先生(男性)で、何事にもオーバーリアクション、褒めるときも褒められる方が恥ずかしいくらい褒めちぎる人だったようで、娘は相当引いていました。私は「いいじゃない、先生一生懸命なんだよ」と言っていましたが、「あれは無理」と(失礼…)。
親にとっては「子どもにきちんと向き合っている」といういいイメージでしたが、確かに保護者会のときは「おお、熱血!」と思いました(笑)。
運動会や学芸会などイベントの前は、「あー先生熱すぎてダルい。行きたくない」と言っていました…。あー、こういう「合わない」もあるんだな~と思いましたね。〔Tさん、子ども11歳、8歳〕
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▽先生の言葉遣いが悪るくて怖い
初めて若い男の先生が担任になった娘が小2ころ。最初は「イケメンだし面白いよー」と言っていたのですが、ある日男の子たちが悪さをしたことをきつく叱った際に、「そんなことするんじゃねーよ!」と言葉遣いが悪かったらしく、それをきっかけに先生を怖いと言い出しました。
「男の子たちがなかなか言うことを聞かなかったからじゃないかな」などと、娘に伝え納得してたものの、それ以来先生の言葉遣いが怖い印象は抜けず、「学校行きたくないな」と言い出していました。当時は毎朝、送り出すのに苦労しましたね。(Kさん・子ども9歳)
ママたちの行動や学校の対応とは?
先生と合わない(合わないと思い込む)ゆえ、「学校に行きたくない」「先生が怖い」など気持ちが不安定になってしまうこともあるようです。そうなったとき、ママたちが取った行動や、それに対する学校の対応を聞いてみました。
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▽連絡帳で報告・確認
息子が2年生のとき、「ボク、先生から嫌われているかも」と言い出したことがあります。その少し前から、ちょっと元気がないな~という感じでしたね。理由を聞くと、「分かんない…」と言うので、焦りと不安とちょっとだけ怒り(勝手にごめんなさい)を覚えましたが、ともかくまずは「何があるのか知らないと何も始まらない」と思いました。
いきなり電話するのも直球すぎるので、連絡帳に
・いつもお世話になっている感謝の気持ち
・学校で「先生とちょっとなにかあった」ようなことを言っていて、元気がない感じです
というようなことを書きました。
即日先生から電話があり、いろいろ話していく中で「一度息子が休み時間に大ケガにつながるような行動をしたときに、かなりキツめに叱った」ことがあったそうです。それを「自分のことが嫌いだから怒った」と思い込んでしまったよう。息子も自分が危ないことをしたという自覚があって、それを私に叱られたくないという気持ちから、ちゃんと理由を話せなかったことも発覚…。「命の危険があるからこそ、先生はしっかり叱ってくれた」と説明すると、息子も幼心に「そうだったのか」と納得し、「嫌われている」という気持ちが払しょくされていったようです。〔Uさん、子ども10歳〕
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▽子どもの心にひたすら共感した
保育園のときは6年間ずっと若い女性の先生で、小学校になって初めて「年配の先生」を経験した娘は、それだけで「なんだか怖い…」となってしまいました。今思えば先生には本当に申し訳ないし、上の子がいるママたちからは「あの先生なら安心だよ!よかったね」と言われたりしたので、妙な不安感に襲われました。
娘の小さな愚痴に「先生の悪口言っちゃダメ!」と突き放してしまいそうなときもありましたが、まだ保育園児に毛が生えたような時期、「そうだったの」「悲しかったね」「話してくれてありがとうね」と共感しつつ、「先生もきっと分かってるよ」「本当は優しいと思うよ」と伝えました。1年生の2学期ごろには「あれ、先生優しいかもしれない」と自分で気づくようになっていきました。〔Kさん、子ども9歳〕
担任の変更はあり?誰の裁量?
なんとなく合わない程度なら先生や親の対応でいい方向に変わっていくケースが多いですが、「決定的に合わず不登校になった」など最悪なケースになってしまった場合、担任の先生を変えることはできるのか、その裁量は最終的に誰にあるのかなど、少しシステム的なことを解説します。
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▽担任の先生を変えることはできる?
基本的に「ある特定の子どもが先生に合わない」という理由で、クラスや学年全体に影響を及ぼすような対応は難しいという考え方です。体罰や暴言、わいせつの事実があったなど、担任の言動に大きな問題がある場合は変える(場合によっては懲戒処分など)ことは可能です。
ほかに担任が変更されるケースとして、学級崩壊が収拾つかない状態になったり、保護者とのトラブルで精神的に追い詰められたりして、先生が病気休暇をとる形となった、という例もあります。「うちの子が合わない」という理由では、裁量として認められるのは非常に難しいといえます。
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▽最終的には校長判断
「担任を変える」ことについて、制度的には「校長の裁量の範囲内」になります。しかし、1クラスの担任を変えるとなると、学年全体にも関わるので、ほかの先生方も配置を動かさないといけないので、校務分掌(学校内における運営上必要な業務分担)が根拠になります(学校教育法37条第4 項)。
*参考:『学校トラブル18 保護者のお悩み解決します! 』(東洋館出版社)より
大切なのは双方の理解と歩みより
「担任と合わないみたい」と感じたら、子どもの様子を注意深く見たり、「今日はどうだった?」「どう思った?」など、子どもの意見や意志を確認したうえで、事実確認もしてから行動に移すことが大切です。事実確認は、先生に直接聞くのもいいですが、周りの保護者から情報を聞くのも有効な方法といえます。
学校や先生に何かを伝えたいときは、「交渉」と同じ手順を踏むとスムーズに行きます。まず、先生と保護者が良好な関係を築くこと。授業参観や保護者会などに極力参加して、先生の「全体像」やクラスの様子を知ること、話す機会があるときには必ず「日ごろお世話になっている」感謝の気持ちを伝える、などです。
伝えるときは、連絡帳や電話(場合によっては直接出向く)で「子どもの話だけで決めつけ」や「クレーム」ではなく、ソフトに事実を伝えたり聞いたりする。数回のやり取りで、事実が分かったり誤解が解けたりして、解決していくことも多いようです。
もちろん、担任の先生や学校側に決定的な問題がある場合はこの限りではありませんし、伝え方もその時の状況や、やりやすい方法があると思います。
「子どもと担任の先生が合わないようだ」と感じたり、ちょっと言いたいことがあっても、「学校に期待しすぎなのか」「私が自己中心なのか」と返って悶々としてしまう方も多いようです。内容によっては残念ながら「モンスターペアレント」になってしまうケースも確かにありますが、ささいなことでも放っておくとどんどん悪い方向に行ってしまうことも。親の勘を信じて行動してもいいときはあると思います。
行動を起こす場合でも、「子どもと学校の関係」「親子の関係」「学校と親の関係」すべての関係を大切に考えることがポイントになってきます。