「おうちのない猫を迎えよう」愛猫を亡くした悲しみのなか、7歳の猫を家族に 前を向くきっかけに

渡辺 陽 渡辺 陽

経済的に飼えなくなった

愛夢ちゃん(メス・11歳)は、ある家族が飼っていたが、家庭の事情で手放さなければいけなくなり、里親が見つからなければ保健所に連れていかれるところだった。高校生のお子さんが、そのことを猫ボランティアをしている友人に話し、保護主が引き取ることになったという。

その保護主は、野良猫の保護をしている人だったので、普段は飼い猫の里親を探すことはなかった。愛夢ちゃんのような飼い猫を保護するのは稀なことだった。

おうちのない猫を迎えよう

東京都に住む佐藤さんは、2018年2月25日、16年一緒に暮らしてきた愛猫の次元くんを腎不全で亡くした。

「人生最大の喪失感の中で、次元が残していったものに囲まれ、気持ちが落ち着いたら片付けなくちゃと思っていました。そんな時、ある本の一節を思い出したのです」

その本には、「世の中に野良猫さんが1匹もいなくなったら、今度は自分の好きな猫を1匹だけ選んでペットとして愛してみたい」ということが書かれていた。佐藤さんは、「私は、次元と出会っていっぱい愛して、いっぱい愛された。今度はおうちのない猫を迎えよう」と思ったという。

すぐに行動に移した佐藤さん。「ペットのおうち」というサイトで猫を探し、愛夢ちゃんを見つけた。

「次元と同じスコティッシュフォールドで、7歳の女の子でした。次元の姪っ子みたいだなと思って、もう心は決まっていました」

腎臓結石だった

愛夢ちゃんは、保護主のところで5ヶ月間、30匹ほどの猫と一緒に暮らした。その後、譲渡会にも数回参加したが、なかなか里親が決まらなかったという。2018年3月に開催された譲渡会で佐藤夫妻と出会い、7日間のトライアルを開始することになった。4月8日に正式譲渡されることが決まったが、次元くんの四十九日が終わるのを待って、4月15日に正式譲渡してもらったという。

「愛夢はすぐに馴染んでくれましたが、私は戸惑いました。頭では分かっていても、どうしても次元と重ねて見てしまい、寂しさが込み上げてくることがあったのです」

甘えん坊の次元くんとツンデレの愛夢ちゃん。生後3ヶ月で迎えた次元くんと7歳で迎えた愛夢ちゃん。何かにつけて比べてしまった。そんな時、愛夢ちゃんの目の上の毛がちょっとはげていることに気づいて動物病院に連れて行った。ハゲはストレスだったが、思いがけず腎臓結石が見つかった。それを機に、佐藤さんは、「一緒に頑張るしかない」と前向きな気持ちになれたという。

先には死ねない

愛夢ちゃんはお転婆で食いしん坊。全く好き嫌いはないそうだ。腎臓病の療法食もよく食べてくれる。お父さんと激しめに遊ぶのが好きだという。

佐藤さんにとって愛夢ちゃんは「先には死ねないな。と思わせてくれるくらい大切で愛おしい存在。

「愛夢は元飼い主さんや保護主さん、保護団体の皆さんの思いと一緒に我が家にやってきました。お預かりした命を守り、幸せにする責任を感じています」

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