同志社高(京都市左京区)の女子生徒が中学時代に考案した脱着しやすいファスナー式の剣道用はかまを京都の武道用品製造販売会社が商品化し、7月から取り扱いを始めた。身近な不便を解消しようとアイデアを出してから約3年を経ての販売に、生徒は「いろんな改善を繰り返して『ついに』という気持ち。困っている人に使ってほしい」と喜ぶ。
ファスナー式のはかま「SUZUKA」を考案したのは、同高3年の今井涼香さん(18)。同志社中2年の時、授業で出た「特許を取れるような役に立つアイデアを考える」との課題に対し、剣道部での経験を基に思いついた。
はかまは、ひもをほどいたり、結び直したりするのに時間がかかるため、更衣室でいったんズボンに履き替えてからトイレに行く部員が多い。商品化したはかまは、腰の部分にファスナーを取り付け、開けると簡単に膝の辺りまで下げられるため、こうした悩みを解消できるという。
当時の授業に関わった愛知県の会社「やくにたつもの、つくろう」の支援を受け、2020年7月に特許取得が実現した。武道用品を扱う「東山堂」(上京区)がこの話を報道で知り、「地元企業として何か手伝えないか」と考え、商品化に向けて動きだした。
新型コロナウイルス禍のため、今井さんらはオンラインで打ち合わせを重ね、ファスナーの先端にひもを付けて開けやすくするといった改善を加えて発売にこぎ着けた。今井さんは「剣道では着装が重視されるので、ファスナーやひもが目立たないよう工夫した」と経験者ならではのこだわりを語る。
価格は2万5千円(税別)。商品化を担当した東山堂の藤原貴之常務は「なぎなたなど他の武道への展開も視野に、今後普及に努めたい」と意気込む。