4歳の子どもが考えた「絵本の帯」がすごすぎ 「ちゃんとひらがな書けてるの偉すぎる」「どこかの出版社が導入しそう」

二木 繁美 二木 繁美

「4さいが考えた帯」というコメントと共に投稿されたのは、絵本に巻かれた手作りの帯。こちらを書いたのは、文筆家でタイムトラベル専門書店(@utoutobooks)の店主でもある、藤岡みなみさん(@fujiokaminami)のお子さんです。そのときの様子や経緯についてお話を聞きました。

帯とは、本の表紙のうえに巻いてある細い紙のことで、その本の魅力をアピールし、手に取ってもらうためのもの。谷川俊太郎著、山田響編の『こどもあそびうた』には「かしこい」、とよたかずひこの『ぱかぱかももんちゃん』には、「しまうまがでてくる かわいい」と、junaida作の『街どろぼう』には「おもしろい」…それぞれの絵本の特徴をとらえたことばを、お子さんが一生懸命書いたことが感じられます。

ツイートには「間違いなく売れる帯です」「4さいでこんなにちゃんとひらがな書けてるの偉すぎる」「購買意欲をかき立てる素晴らしいな帯です!」「ゴテゴテに専門家や著名人がもっともらしくコメントしたものより想像力を刺激される!」「4歳さん字がすてき!ヴィレバンみあってかわいいな~。読んだ本を簡潔にまとめる力がつきそう」などのコメントが寄せられました。

また、「帯つけるの楽しそう!長女とやってみようかな。」「読書感想文として「本の帯を書いてくる」という宿題だったら子どもたちは書いてくるのだろうかと思ってみたり」「これそのうち、どこかの出版社が導入しそう笑」と、帯を書くというアイデアに着目した人も。

お子さんは4歳だということですが、みずから絵本の帯を作るという発想が斬新! 文筆家の子として、本に囲まれているとこういう発想が出てくるのか……!ということで、この帯が生まれた経緯を聞いてみました。

帯作りのきっかけは?

ーーどういうシチュエーションで、本の帯を作ることになったのでしょう。帯をつけた本もみずから選んだのでしょうか。

8月に私の新刊が発売されたのですが、その帯のレイアウト例(紙で作っているダミーのもの)を見て、自分で作れるものだと認識したようです。「こういう本ですとか、おすすめですって書いてあるんだよ」と伝えると、自分でお気に入りの絵本を選んできました。

ーー個人的に「さる・るるる」の帯、「つよいまま2」が気になるのですが、これにはどういう意味が込められているのでしょう。そして2とは……1もあるのでしょうか。

「さる!くる!」など、私がこの絵本を読むとき声が大きいからだそうです。2という数字については、あまり内容に関係ないようでした。「さる・るるる」はシリーズ物で、3冊持っているのですが、これは1なので、2と混同したのかもしれません。

ーー「からだずかん」の解釈では、「きんにく かわいい」と表現されていますね。

筋肉が「なんでかわいいの?」と聞いたら「かわいいから」と言っていました。この本には、骨や内臓のことも載っているのに、なぜか「きんにくのほん」と認識しているようです。

ーーほかにもたくさん帯を作っているようですが、藤岡さんのお気に入りの帯を教えてください。

私は、最近「おにぎりくんがね・・」という絵本についた「がし にぎにぎ」という帯が好きですね。おにぎりをにぎるときの感覚が、ダイナミックに伝わってくるなと思いました。

ーーどのようにして「がし にぎにぎ」を思いついたのでしょう。

本人はあまり深く考えてないかもしれないのですが、ことばのリズムが楽しい絵本だからなのかなと思います。

今の夢は「ジャムおじさんになりたい!」

ーー帯に興味を持つとは目の付け所が違うと思いますが、文筆家という藤岡さんの職業の影響もあるのでしょうか。

私がどんな仕事をしているのかは、子どもはあまり知らないのですが、よく仕事部屋に来て私の本棚から本を取り出し「よんで」と言ってきたりします。

ーー文字の強弱など、デザイン的にも見やすくかかれていますが、本に囲まれているからこそ、身についたセンスなのでしょうか。なにか勉強されていますか。

とくに勉強しているわけではないのですが、数字や文字の形にいちばん興味があるようです。散歩中に看板の文字を読んだり、「Yに見える枝」とか「8に見える影」などを見つけてよろこんでいます。

ーーお子さんはどういう性格ですか? 将来の夢などあるようでしたら、教えてください。

エネルギッシュです。先日はジャムおじさんになると言っていましたが、次に聞いたら違う答えかもしれません。

ーー「この遊びやってみようかな」といったコメントも見受けられましたが、ほかに本を使ったオススメの遊び方などあれば教えてください。

うちでは、帯を書いた後に値段も決めて、本屋さんごっこをします。動物の絵本だけを並べた「どうぶつフェア」をやったり、並べ方にこだわったりする様子が楽しそうでした。

2冊の絵本を同時に開いて1ページずつ交互に読んでいく「リミックス読み」も好きで、話がめちゃくちゃになるのが楽しいのか、ゲラゲラ笑っています。以前は、A4の紙を小冊子の形に折って、自作の絵本を作ることにハマっていました。

パンダのうんこの本とは……

ーー帯作りのきっかけにもなった、初のエッセイ集『パンダのうんこはいい匂い』が8月上旬に刊行されました。なかなか衝撃的なタイトルですが、このタイトルになった理由を教えてください。

四川省でパンダのうんこ掃除をしたというエッセイのタイトルだったのですが、出版社さんが「本の題名も、これでいきましょう!」と言ってくれました。他のエッセイも「体験してみると意外なことがわかる」という部分が共通しているので、全体を表すタイトルにもなっているのかなと思います。

ーー目次を拝見しただけで、どれも興味深いのですが、ぜひ読んで欲しいエピソードなどがあれば教えてください。

こんなタイトルですが、意外においしいものの話もたくさん出てくる本です。かと思えば、首吊りショーや有精卵の孵化の話もあります。笑ってもらいたくて黒歴史もたくさん書いたので、にやにやしたいときに読んでいただけたら嬉しいです。

パンダが好きすぎるあまり、気がついたらパンダの生息地・四川省の人と結婚していたという藤岡さん。『パンダのうんこはいい匂い』(左右社・1980円)には、旅や日常のほかに、帰宅すると洗面台にフナが泳いでいた話や、空芯菜炒めを独り占めしたくて、栽培したら少ししか採れなかった話など、中国がらみのエピソードも、パンダ好きにとって楽しい1冊となっています。

書籍:「パンダのうんこはいい匂い」

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