バカンスにまつわるイタリアの職場事情がSNS上で大きな注目を集めている。
「イタリア出身の同僚に『イタリアはみんな1カ月とかバカンス取っても会社が回るのがスゴイよね!』って言ったら、『いや、ぜんぜん会社回ってないけどね笑。でもイタリア人全員が回ってない状態が当たり前だと思ってるから、それはもはや回っていると言えるのかも…』とか哲学的なこと言い出した。」
これを同僚の弁として紹介したのはアメリカ在住の山口慶明さん(@girlmeetsNG)
イタリア人は夏2週間から1カ月間、冬にも2、3週間ほどの長いバカンスをとることで有名。ついつい「そんなに休めるなんて羨ましい」と思ってしまうが、実際には都合のいいことばかりではないようだ。山口さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「フランスも日本人からしたらあらゆるサービスがまともに機能してないから、自分の要求を諦めず伝えることが大事。フランス語会話のテストも自己主張できるかがポイントだったりして、この状況で日本語でも何言ったらわからん、と言うところからの勉強でした。イタリアはもっとすごいイメージ」
「これですよね。まず日本の「会社を回さないといけない」という固定観念ぶち壊さないといけないと思います 回ってないなら担当者が休暇から帰ってきたら、くらいの考えくらいがちょうどいいですね笑」
「こんにちは。イタリアでもバリバリ働いている方も沢山いますし、場所や職業によって状況は違うと思います。でも年に一度、2〜3週間の長期休暇は結構とってますね リフレッシュ大事です。今年は暑すぎて。。ちなみに私の勤務先では交代で休暇を取るので、いる社員で仕事回してますよ。」
などさまざまな意見が寄せられている。
山口さんにお話をうかがってみた。
ーー件の同僚の方の普段のお仕事ぶりについてご感想をお聞かせください。
山口:このイタリア出身の同僚は「典型的なイタリア人」という感じの陽気で情熱的な人物です。仕事ぶりは、勤務時間内でやるべきことはきちんとやりますが、たとえ業務が完了していなくても定時になれば帰宅し、残業や休日出勤することはほぼ無く、仕事とプライベートは完全に切り分けています。いつも非常にポジティブな考え方をしていて、一緒に取り組んでいた仕事で苦境に追い込まれた時に、「イタリアには“どん底に落ちたら掘れ”という諺がある。大丈夫、前を向こう!」と言って鼓舞してくれたのが印象に残っています。
ーー出身国による仕事効率や勤労意欲の差異を感じることはあるでしょうか?
山口:私の知る限り上記のイタリア出身同僚のような働き方が世界的には普通で、正直「仕事が終わらなければ残業してでも終わらせる」という感覚を持つ日本人が異常だと感じています。逆に言えば日本人のプロ意識、責任感、モチベーションに左右されず最後まで仕事をやり遂げる姿勢、真面目さ、勤勉さ、これらのレベルの高さは間違いなく世界一だと思います。
ーー「回ってない」と聞かれた際のご感想をお聞かせください。
山口:アメリカ人のバケーションは2週間程度が一般的ですが、それでも11月~12月のバケーションシーズンになると郵便物がまともに届かなくなったり、あらゆるサービスの質が急激に低下します。「1カ月以上のバケーションを取るイタリア人はどうしているんだろう?」と疑問に思っていたので「あ、やっぱ回ってないんだ(笑)」というのが率直な感想でした。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
山口:私は普段アメリカで生活をしており、日本に帰国するといつもサービスの質の高さに感動するのですが、このツイートのリプには「イタリアのようなゆるい社会が羨ましい」という意見が多く、質の高いサービスの裏返しとして、あまりにも完璧を求めすぎる日本社会の中で息苦しさを感じたり、疲弊している人も多いんだな…と感じました。
◇ ◇
別にイタリアのようになってほしいとは思わないが、日本人ももう少し息抜きがしやすい環境を持ったほうがいいのかもしれない。イタリアの事情について読者のみなさんはどのように感じただろうか?
山口慶明さん関連情報
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