いま注目されるセールスイネーブルメント。その第一人者が重要視する「事業の成果と人の成長を繋げる」とは

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欧米企業の約6割が導入する、成果起点で営業人材・組織の成長を支援する仕組みである「セールスイネーブルメント」。日本ではまだ珍しい取り組みですが、大企業や急成長中のSaaS系企業を皮切りに注目を集めています。「セールスイネーブルメント」に特化したコンサルティングサービスとアプリケーションを展開するR-Square&Company(アールスクエア・アンド・カンパニー)の代表取締役社長・山下貴宏(やました・たかひろ)さんに、起業を決断した経緯や、新しいマーケットや事業領域に挑戦したいと考える20代に向けたアドバイスを聞きました。

【セールスイネーブルメントとは】

欧米企業の約6割が導入していると言われるほど、欧米中心に急速に発展してきた最先端の営業強化法で、近年日本でもNTTコミュニケーションズ、凸版印刷、CCCマーケティング、SmartHRなど、大手から急成長中のSaaS系企業を中心に導入が進んでいます。R-Square&Companyではセールスイネーブルメントを「人の成長を通じた持続的な営業成果を創出する仕組み」と定義しており、営業人材の育成を中心に、成果創出に必要な営業活動全般を改善していくことに大きな特徴があります。属人的な営業活動ではなく、活躍する営業担当者のノウハウを形式知化し、型化、共有することで組織全体の底上げをする仕組みの構築などが取り組みの一例です。コロナ禍で一気に進んだ営業活動のDX化(営業の非対面化)を受け、セールスイネーブルメントの需要が一層高まってきています。

なお、セールスイネーブルメントの旗振り役として、営業組織の成長を促進するプロフェッショナルを「イネーブラー」と呼び、欧米だけではなく、日本においても新たな営業職のキャリアとして注目され始めています。

営業・経営コンサル・人事・IT…様々な経験から見つけた営業力強化の必要性

―大学卒業後、日本ヒューレット・パッカードに入社され、船井総合研究所、マーサー・ジャパン、セールスフォース・ドットコムと各社でキャリアを築かれた後、R-Square&Companyを立ち上げられていますね

法政大学在学中にアメリカに留学し、帰国後、就職活動をして日本ヒューレット・パッカードに法人営業として入社しました。いわゆるITシステムを扱う営業だったわけですが、徐々に経営に近い仕事をしてみたいという気持ちが湧き、コンサルティング業界への転職意欲が出てきました。

そこで中堅・中小企業の経営コンサルティングに強い船井総合研究所に転職し、4年ほどコンサルタントとしてマーケティング戦略や営業戦略を立案していました。そしてその後、もう少し専門分野を広げたいと考え、人事系のコンサルティング会社であるマーサー・ジャパンに移ります。

マーサー・ジャパンでも4年ほど勤務し、その間、人事制度設計や人材開発支援、また、バッググラウンドとして営業のキャリアも積んでいるので、営業力強化のプロジェクトなどにも参画しました。

若手時代の営業経験、コンサルでの営業支援の経験を通じて、営業力強化の仕事に魅力を感じ、その領域に関して事業会社で型をつくってみたいと思い、セールスフォース・ドットコムに転職しました。7年半お世話になったのですが、いままさに、私が取り組んでいるセールスイネーブルメントの領域で部門責任者を務め、「ITを用いた、育成と成果管理の総合的な仕組み」を独自に構築し、グローバルでの施策展開にも繋げることができました。

そして、セールスイネーブルメントへの関心が高まる中、2019年の夏にR-Square&Companyを立ち上げました。この様なキャリアを積んで今に至ります。

―新卒で日本ヒューレット・パッカードに入社したことや、法人営業という職種を選ばれたことには何か理由があったのでしょうか

留学経験もあって外資系企業への就職を希望していたこともありましたが、アメリカから帰国したのが大学4年次の夏で、日本企業の多くで採用活動が終了していました。そんな中、留学生向けの就職フェアが開催されており、そこでたまたま就職の機会をいただけたのが日本ヒューレット・パッカードだったんです。ですので、何か意図があったというよりも、その後の私のキャリアに繋がるご縁を頂けたと言った方が正しいかもしれません。

―そうだったんですね。社会人として初めてのキャリアを営業職として歩まれたということですが、どうだったのでしょうか

営業としては売れるときもあれば売れないときもあり、意図して成果を上げるためにどのような営業活動をすれば良いのか、若手の時代は悩んでいました。売れる、売れないの背景にどんな理由があるのかが分からなかったんです。

成果を上げるための営業活動の枠組みができていれば、ある程度は意図して売れる営業になれたと思いますが、当時の自分の中にはありませんでした。

また、取り扱う商材もハードウェアが多く、お客様の経営や現場業務においてどのように役立っているのか読み解きにくいとも感じており、当時の自分の経験値ではやりがいを見出すことにも苦労していました。

―そして経営に近い仕事をしたいということで船井総合研究所に転職されたのですね。その後は人事領域に関心をもたれマーサー・ジャパンに転職されますが、なぜ人事の仕事だったのでしょうか

船井総合研究所でコンサルティング業務に従事していましたが、マーケティング戦略や営業戦略の立案を通じ、対顧客に対して価値を提供することができるようになっていきました。ただ、そうした戦略を作る人、また実際にその戦略を実現する人を会社という組織の中でどのように育成していけばいいかということに関しての知識がまだ不足していたんです。

そのため、人材育成という観点から人事の領域に着目するようになり、その分野での専門知識を身に付けたいと考えるようになっていきました。

―その後、事業会社で営業力強化の型をつくりたいと転職されますが、なぜセールスフォース・ドットコムだったのでしょう

営業強化の型を作りたいというテーマでの転職でしたが、セールスフォース・ドットコムは営業強化の仕組みを売っている会社です。営業強化を商材にしている会社の中で、営業強化の型を作ることができれば、最も良いものができると考えました。型を作るには最良の環境だと思ったわけです。

―7年半のセールスフォース・ドットコムでのご経験で、営業強化の型を作られたと思いますが、どんな課題に対してどのようなアプローチをされたのでしょうか

現在もそうだと思いますが、当時も事業拡大の為に毎月のように中途採用を積極的に行っていました。そして入社した社員には早期の戦力化が求められます。そのため、中途社員の育成が重要テーマとしてずっとありました。

私が在籍していた当時から、トレーニングコンテンツは当然ありましたが、多くは海外で作られたものであり、日本に適したプログラムというものは少なかったのです。そこでまず、そのプログラムをつくることに取り組みました。

起業し、ブランディングを強化。セールスイネーブルメントの先駆者へ

― セールスフォース・ドットコムに残り続けることや、他の事業会社で同じように営業力強化の仕事に携わるという選択もできたように思います。なぜ起業を決断されたのでしょうか

セールスフォース・ドットコムである程度、営業力強化の型化はできたと感じたことに加え、他の事業会社に転職をしたとしても、それはセールスフォース・ドットコムでやってきたことをある程度チューンアップするだけで、自分にとってそれほど大きなチャレンジではないと思ったんです。そうであればこれまでの経験を軸に今までやったことがないことをしたいと考えるようになりました。

起業をした理由は大きく3つあります。1つ目はセールスイネーブルメントが、海外マーケットの成長に加え、国内でもお客様のニーズが見込め、今後伸びていく可能性が高かったことです。2つ目にお客様のニーズに応えるだけの専門性や知識、実績が自分にはあったので、選んでいただき貢献できる可能性は一定担保できたということです。そして3つ目は先ほどと重なりますが、自分がまだやったことのないチャレンジがしてみたいということでした。そのチャレンジができるのは事業会社ではなく、自ら会社を経営することだと思いましたし、お客様の成長に貢献しながら自分自身ももっと成長できるだろうと感じました。

―起業するにあたってハードルに感じることはなかったのでしょうか

起業には大きなリスクが伴うのではないかとイメージされる方が多いかもしれません。確かに大変な面もありますが、仮に何かに失敗したとしても専門性が失われるわけではありませんので、それすらもプラスの経験と捉えようと思っていました。

―起業をした2019年は、日本にはセールスイネーブルメントを専業にする会社はほとんど存在しなかったと思います。先駆者としてどのようにマーケットを開拓していったのでしょうか

まず運よく書籍を出版することができ、マス認知を獲得することができました。セールスイネーブルメントという言葉が一般的でなかった中で、書籍によって広くご理解いただけるようになったというのは、市場開拓の第一歩としては大きかったです。

一方で、足元はきちんと事業を組み立てていく必要がありましたので、セールスフォース・ドットコム時代から繋がりのあったお客様や創業メンバーの紹介などから案件を頂き、少しずつ実績を増やしていきました。現在も続けていることですが、セールスイネーブルメントは一過性のものではなく、中長期的に取り組むことで持続的な効果を発揮するので、日本でも成長企業がどのように一歩を踏み出し成果創出に繋げているのか、具体的かつわかりやすく社会に伝えることを大切にしています。

―それにしても、国内にも外資系企業はある中で、なぜ欧米で一般的になっているセールスイネーブルメントが日本に広まるまで時間がかかったのでしょう

なぜ広まらなかったのかという問いに明確にお答えすることは難しいですね。ただ、私の場合、バックグラウンドが、営業、人事、人材開発、ITという分野にまたがるため、セールスイネーブルメントの必要性や構築法を見出しやすかったように思います。

日々大きな成果を追う営業の人にとって育成は専門外であったり時間を割けないことが多いですし、育成を担当する人にとっては営業現場や業務の詳細までは分からないものです。そのため、どうしても自分の専門領域に軸足を置いてものごとを見てしまう傾向が強くなるのも致し方のないことだと思います。セールスイネーブルメントは営業と人材開発とITの分野のちょうど間にあるものなのですが、複合的な領域を担う人材が少なかったことはセールスイネーブルメント拡大に時間を要した要因の一つだったかもしれません。

事業の成果と人の成長を繋げるために

―国内で少しずつセールスイネーブルメントは浸透していますが、事業を始められての気づきなどがあれば教えてください

私たちが支援している企業が取り組む理由には共通項があります。それは売上拡大に向けて「人の行動」を変えなければならないものの、その解が見当たらないということです。よくあるケースだと、これまでやったことのない事業で、大きな売上の柱を建てなければならないフェーズの大企業や、営業の早期戦力化が求められる急成長中のスタートアップ企業などが、セールスイネーブルメントに取り組んでいます。

従来のトレーニングなどで対応できない領域、解決できない課題を、セールスイネーブルメントで大きく変えていくことを目的に導入されていますね。

―従来の営業体制が見直され、例えばインサイドセールスやカスタマーサクセスなどといった新しい職種も生まれています。セールスイネーブルメントがカバーする領域も広がりそうです

顧客接点のある部門には導入可能であると考えています。セールスイネーブルメントの目的は「育成すること」ではなく「組織の成果の最大化」にあります。これまで、成果と育成が繋がっていなかったことが課題であり、これを繋げていく必要があります。

そのためには成果についてのデータがあることが前提となりますが、顧客接点のある部門にはそのデータがある可能性が高いと考えます。インサイドセールスであればパイプラインの進捗率や商談創出数、フィールドセールスであれば成約率や売上情報、カスタマーサクセスであれば製品の継続率、アップセル・クロスセル率などといったデータです。

そのため、「フィールドセールス」だけにフォーカスをするのではなく、シームレスにイネーブルメントに取り組むプロジェクトも増えてきており、顧客と接点がある部門への広がりも目立ち始めています。

―今後、事業を通じて実現したいことがあれば教えてください

私たちのビジョンとも関わりますが、事業の成果と人の成長が切り離されて運用されていることが、今までは非常に多かったわけですが、本来は繋がっているべきものです。人の成長が組織の成功に繋がる、そうしたことを多くの企業が実感できるようになり、一般的になっていけばいいなと思っています。その方法論、ソリューションを持っていますので、より多くの組織に還元できれば嬉しく思います。

―そうした実現したいビジョンがある中で、何を大切にして経営をされているのでしょうか

1つ目には何のためにその事業を行っているのか、ビジョンを明確にすることです。それをお客様とも社員ともきちんと共有する必要があります。私たちの存在意義は、「人の成長を通じた持続的な営業成果を創出する仕組みを顧客に提供すること」です。そこに共感するメンバーとともに、お客様にもご協力いただきながら組織を強くしていきたいと思っていますので、社内外問わずビジョンをしっかり打ち出すことを大事にしています。

2つ目に、これもお客様に対しても社員に対しても共通することですが、相手にとってのwinとは何かということを意識しています。

お客様のwinが抜けてしまうと、よくある「買ってください」という自己都合の営業になってしまったり、自社の都合を優先したソリューションの開発や提供に繋がってしまいます。私たちが目指す成果と成長をリンクさせるためには、やはり相手と一緒になって進めていかなければなりません。そのためにはお客様のwinとは何かを常に考えなければいけませんよね。

また、社員に対してのwinについて言うと、チャレンジや成長への支援だと思っています。弊社はスタートアップで新しいマーケットを開拓していることもあり、それぞれのメンバーが新しいチャレンジをするために入社を決意しているわけですが、担当業務の幅も広く多忙です。そこで業務の交通整理をしないといけませんが、それを組織の論理だけで推し進めてしまうとみんな疲弊してしまいます。

一人ひとりが何かしらの想いをもって入社しているので、その人は何を実現したいのか、どのような状態であれば心地良いのか、何ができるようになればハッピーなのか、あるべき姿、ありたい姿像に照らして考える、まさにイネーブルメントの視点で接していかなければいけません。そうなれば人も組織も成長するもので、この状態こそがサステナブルな組織の在り様なのだと考えています。

最後に、「掛け算」を意識するということです。社員のキャリア形成においても、人や組織の育成やマネジメントにおいても、新しい考え方やソリューションを生み出すことにおいても、複数の経験や知識、アイディアの組み合わせが重要と考えています。多種多様なバックグラウンドを持つ人を受け入れ、生産性高く組織運営していきたいと考えています。

イネーブラーを目指す20代の方に知ってほしいこと

―セールスイネーブルメントは営業職の新たなキャリアということで、携わってみたいという方も少しずつ増えてきているようです。読者である20代の社会人や学生の方がイネーブルメントをより深く知るにはどんなことから始めてみると良いのでしょうか

まず20代の方がイネーブルメントをどのように理解されているのか、ということは私たちも知りたいですね(笑)。ただ、イネーブルメントに取り組む企業が増えていけば、少しずつ認知や理解は広がっていくものだと思います。加えて私たちのような発信側がイネーブルメントの取り組み事例や成果、イネーブラーのキャリアやサクセスストーリーのようなものも伝えていかなければいけないですね。

その際、日本だけの事例ではまだまだ数が少ないので、最先端を行く海外の取り組みや最新情報も広めていきたいと思っています。例えば海外ではイネーブラーの職に就いている方の平均給与が1000万円を超えているというくらい需要の高い仕事ですし、挑戦したいという人もそれだけ多い仕事です。

ですので、日本だけの取り組みを情報発信するのではなく、海外のトレンドなども含めて広く知っていただく取り組みをしていき、今後、注目のキャリアであると伝えていければいいですね。

―そうして少しずつ認知が広がっていき、日本でもイネーブラーが一般的になり、挑戦しようとなった際にどんな経験やキャリアを積んでおくといいものなのでしょうか

いまお取り引きいただいているお客様の中でイネーブラーのポジションについている方を見ると、法人営業の経験を積んでいることが多いですね。それに加えて、営業企画や経営企画といった企画系のキャリアを積まれてきた方や人材育成領域を担当されている方とも親和性が高いですね。いずれにしても営業経験に加えて、全社視点での仕事の経験のある方は、イネーブラーの仕事の適性が高いのではと思います。

社内でなかなか経験を積む機会がないのであれば、コンサルティング系の仕事に転職をしてみるといった手段もあると思います。イネーブルメントには経営視点や体系化のスキルが求められるので、それらを養うのに適していると言えるでしょう。

このように多岐にわたる経験を積まなければならないので、国内外を問わず20代のイネーブラーは非常に少ないです。ですが、30代前半くらいで活躍されている方はいますので、目標を定めてキャリアを積んでいけば、道は開けてくると思います。

―キャリアとして積んでおくべき職務経験のほかに、例えばどんな意識や姿勢を持っておくべきかなど、マインドの面ではどのようにあることが望ましいのでしょうか

1つは汎用性の視点です。営業成績の良い人が複数人いたとして、それぞれのやり方があり、それを一つ一つ営業現場に伝えていくだけでは汎用性がないので組織で再現しにくくなってしまいます。イネーブルメントでは、そのやり方に共通するエッセンスが何かということを見つけ、きちんと体系化し誰でも再現できるプログラムにすることが求められるので、その目を日頃から養っておく必要があります。

20代の内は、日々の業務の一つ一つが、全体俯瞰した際にどんな意味を持つのかということを意識することを繰り返していくと、イネーブラーとして必要な素養が身に着くことと思います。

もう1つはステークホルダーマネジメントというか、仕事において関わる人ときちんとした関係を築くことです。セールスイネーブルメントにおいてプログラムを作って、それを現場に渡したからといってすぐに定着するわけではありません。例えば現場の営業メンバーはもちろん、営業のマネジメントを担う方に対して「自分たちのプログラムは有効だからぜひ使ってほしい」と働きかけ、証明する必要があります。

その時に、相手のwinとは何であるのか、相手側の視点をもって仕事を進めていくことで物事をうまく進めることができるようになります。プロジェクトマネジメントのような仕事においては必要不可欠ですね。

この力を20代で身に着けるためには、単にタスクをこなすだけではなく、もう一歩踏み込んで、責任者やマネージャーが何を考えているのか、どうすればより貢献できるのかを考えてみてください。そしてそれを実際に実行してみることで、うまく物事が進むという成功体験を積んでいくと良いと思います。

―ここまでお話いただきありがとうございます。最後に、新しいマーケットや事業領域に挑戦したいと考える20代の読者に対し、起業家の先輩として山下様からメッセージやアドバイスを伺いたいと思います

20代の頃から起業家を目指していたわけではありませんが、この年代は色々なことに挑戦できる期間だと思っています。失敗したとしても怒られはするでしょうが、リカバリーの効くことばかりです。この期間をぜひ有効活用してほしいですね。

そして、色々な職業に就かれている方がいると思いますが、どんな仕事であっても、まずは全力で取り組んで欲しいです。一生懸命取り組むことで、初めて自分が好きな事や、取り組んでみたい課題というのが見つかるかと思いますし、さらにその先で掘り下げていきたいテーマに出会えると考えます。

起業すると四六時中、同じテーマについて考え続けないといけません。そしてそこで価値を見出し、経営をしていかなければなりません。それをできるようにするためには、自分はこれまで何を突き詰めて解決できたかというような原体験が必要になるのです。その体験を20代の内にできたなら、とてもラッキーなことだと思いますね。

さらに加えるなら、突き詰めたいテーマを見つけた上で、共感してくれる仲間を見つけることもできればより良いと思います。弊社の経営陣は私の他に共同創業者が二人、後に仲間に加わってくれた者が一人いるのですが、マーサー・ジャパンやセールスフォース・ドットコム時代から、イネーブルメントや人材開発について同じように問題意識をもっていました。当初から起業を視野に入れていたわけではないですが、同じ方向を向いて本音で話し合うことができ、結果としてこうして会社を興すことができたというのは大きなことだと思います。

―問題意識を共有し、本音で語り合えるような仲間はどうすれば見つけられるのでしょうか

弊社の場合、共同創業のメンバーは過去においてどこかで接点のあった人です。当然と言えば当然ですが、やはり職場などで接点のあった人というか、自分の半径10メートル以内にいる人に対し、自分が掘り下げたいテーマに対して常に情報発信してみるということが大切になると思います。

自分はこう思う、もっとこうした方が良い、など声を上げると、アンテナの高い人であればそこに反応してくれるはずです。そうした人が仲間の候補になると思うので、発信をしながら、意見交換をしつつ、構想を練っていくことができれば良いのではないでしょうか。

【株式会社R Square & Company】
2019年7月設立。日本で初めてのイネーブルメントに特化した会社であり、大手からスタートアップ企業まで様々な企業でのイネーブルメント組織の構築、定着支援を手掛ける。セールスイネーブルメントを「人の成長を通じた持続的な営業成果を創出する仕組み」と定義づけ、イネーブルメントのコンサルティング、営業トレーニング・営業コーチングサービス、アプリケーション等を提供する。

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