昨今、小学校の授業で使用する教材が増えたり、タブレットが導入されたりと、小学生の通学のランドセルや荷物が重くなっていると聞きます。全国の小学生の子どもを持つ保護者666人に聞いたところ、通学時の小学生の荷物の重さは「平均4.0kg」であることがわかりました。荷物が重くなった原因として、「教材の増加」に続いて、水筒やタブレットを持って行くようになったことがあげられたそうです。
BRITA Japan株式会社が2022年7月、小学生の子どもを持つ保護者を対象に行った、通学の荷物の重さについての調査です。
「保護者自身が小学生だった頃と比較すると、子どもの通学時の荷物が重いと感じますか」と聞いたところ、「とても感じる」(39.2%)と「少し感じる」(33.9%)を合わせると、73.1%の保護者が「今の小学生の荷物の方が重い」と感じていることがわかりました。実際、「通学時の荷物の重さ」について調べたところ、全学年での平均は「4.0kg」だったといいます。
自分の身体に合わない大きさや重さのランドセルを背負って長時間通学すると、筋肉痛や肩こり、腰痛のほか、通学自体を憂鬱に感じるなど、心身に不調が起きてしまうことを「ランドセル症候群」といいますが、専門家によると、「筋量・骨量が発達しきっていない低学年は『4kg』を超えるとランドセル症候群のリスクが高まる」といいます。これを踏まえて調査結果を分析すると、低学年で荷物の重さが4kg以上だった「ランドセル症候群のリスクが高い子ども」は4人に1人以上(27.5%)という結果だったそうです。
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「小学生の荷物が重くなった原因」については、「教科書やドリル、辞書などの教材が増えた」(55.9%)のほか、「水筒を持って行くようになった、または量が増えた」(53.0%)、「タブレットを持って行くようになった」(40.7%)、「ノートパソコンを持って行くようになった」(27.1%)といった回答が上位に並びました。
「お子さんは通学時にタブレットやノートパソコンを持参していますか」と聞いたところ、「ほぼ毎日持参している」(30.6%)、「週2~3日持参している」(16.4%)を合わせると、47.0%の人が「持参している」と回答。一方、「持参していない/学校に置いている」は28.8%でした。
次に、「夏時期の学校がある平日、子どもの水分補給方法はどうしていますか」と聞いたところ、86.6%が「水筒/マイボトルを持参する」と回答。また、水筒/マイボトル/ペットボトルを持参している小学生が飲んでいるのは「お茶」(72.1%)、「水」(39.4%)、「スポーツドリンク」(24.1%)といった回答が続きました。
続いて、「夏時期の学校がある平日、子どもの熱中症リスクを感じますか」と聞いたところ、89.3%が「感じる」と回答。また、「夏時期の学校がある平日の水分補給量」については、1日平均「約0.87L」に対し、「保護者が期待する水分補給量」は平均「約1.05L程度」と、約2割弱足りない結果になったといいます。
最後に、「水分補給が十分にでき、軽い水筒があれば子どもに利用させたいと思いますか」と聞いたところ、94.6%の人が「利用させたい」と回答したそうです。
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調査結果を踏まえて、三重県四日市市にある「みたき総合病院」副院長で小児科医の鈴木悟医師は以下のようにコメントしています。
「近年はタブレットを使った授業、さらにコロナ禍や熱中症予防による水筒持参など、ランドセルの中身は年々重くなっています。米国小児科学会の基準で「バックパックの重さは体重の10~20%を超えない」とあります。ランドセルはバックパックより負担は掛かりませんが、低学年の場合15%と見積もると平均体重『24kgx15%=3.6kg』となります。これだけで前出の教材の重さとなり、一般的なランドセルの重さ1.2kg~1.4kg分は子どもの体への過負荷となります。
低学年の場合は「4kg」を越えるとランドセル症候群のリスクが上がると考えられます。出来るだけ中身を軽くするための“置き勉”は状況が許せば実施して欲しいですし、熱中症対策の水筒持参も軽いものが望まれます」
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【出典】
▽BRITA Japan調べ