「自宅に毎月おむつ&悩み相談」こんな子育てサービスが欲しかった! 元祖は滋賀の自治体「全国に広まって」

堤 冬樹 堤 冬樹

手厚い子育て施策で知られる兵庫県明石市。その明石市の泉房穂市長が自身のツイートで、乳児がいる世帯に毎月おむつを届ける「おむつ定期便」が石川県小松市でも始まったとして、「これは朗報」「全国に拡がっていってほしい」と7月4日につぶやき、1.3万を超える「いいね」が付いています。ツイートでは、明石市が先進地の滋賀県東近江市を参考にしたことも明かしています。おむつ宅配サービスのいわば「元祖」と言える東近江市の担当者に、導入の背景や評判を聞きました。

東近江市の「見守りおむつ宅配便」は2016年にスタート。まち全体で子育てを応援しようと、育児中の職員らによる提案がきっかけでした。同市によると、全国初の試みだったそうです。

1歳未満の乳児がいる家庭には、市から毎月1500円相当の紙おむつなどが届きます。商品カタログで複数のメーカーからおむつを選ぶことができ、布おむつやおむつカバーなどもあります。現在は約800世帯が利用し、「生活協同組合コープしが」の子育て経験のある女性職員が配達しています。

小さな子どもがいる家庭では、慣れない育児への不安を抱えたり、社会から孤立しがちだったりという懸念が指摘されています。そこで、東近江市ではおむつを届けるだけでなく、配達員が「お変わりないですか」などと声掛けし、悩みごとの相談にも応じています。

離乳食に関する相談が特に多いといい、聞き取った内容は東近江市子育て支援センターの相談員らと共有。保健師や栄養士らによる訪問支援につなげているとのことです。事業名の通り、自治体が子育て家庭に積極的にアプローチし、見守る仕組みなのです。

今年で7年目を迎え、利用者からは「経済的な負担が軽減できる」「小さな子供を連れて大きな買い物に行く機会が減らせる」「コロナ禍で人とのつながりが減っているので宅配員とのやりとりを心待ちにしている」といった喜びの声が多く寄せられているといいます。

そして同様のサービスは明石市や小松市だけでなく、滋賀県甲良町や兵庫県加東市などにも広がっています。冒頭で紹介した泉市長のツイートには「自動的に第三者の見守りが発生するのはとても良い仕組み」「こういう良い連鎖が全国に広まって欲しい」と趣旨に賛同するコメントが多く付いています。

「名古屋も導入して欲しいなぁ。オムツもありがたいし、ワンオペ育児していると月1でも子育て相談できる機会があるのが羨ましい」などと、自らの居住地でも導入を求める書き込みも複数見られます。

 東近江市子育て支援センターの安田真由美副主幹(48)も「最初に始めた市として同様のサービスが始まるのは、とても喜ばしいこと」と受け止めています。その上で、「私たちが育児をしていた十数年前にこのようなサービスがあれば、子育て中の孤立感を少しでも軽減できたのかもしれない。このような取り組みが全国に広がることで、経済面はもちろん、心の面でも子育てしやすいまちづくりになっていければ」と思いを込めます。

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