子どもにとって、仲間と思っている友だちから悪口を言われると、親の想像以上に傷ついていたり、深く悩んでいたりすることがあります。でも「バカって言われた」と子どもが話してきても「なんだそれくらい、気にしなけりゃいいの」などと、つい親自身が「子どもの不安を聞き流している」ことも多いのかもしれません。はたして、ふさいでるわが子にどう対応すればよかったのか…先輩保護者たちの体験談とアドバイスを紹介します。
「友達に悪口言われた!」落ち込んでいる時には…
▽やっぱり話を聞いてあげるのが大事
保育園年長さんのとき、食べ物が喉にひっかかったのか、口のなかのものを吐き出した娘。となりにいた仲良しの子に「きたなーい」「菌がうつるー!」と叫ばれ、相当ショックだった様子。というのを、実は後から知りました。帰宅したときからふさぎこんではいましたが、わりと気分に上下があるタイプなので(またいつものことか)と思っていたんです。ところが、この時の悪口をかなり本人は気に病んでいて、しばらくしてから登園しぶりみたくなりました。
わたしとパパが交替で何度も話を聞くうちに、ようやく当時の悪口が影響しているとわかり、あの場でスグに「どうしたの?」と声をかけなかったことを後悔しました。ちょっとした様子の変化の場合、ほとんどは実際にたいしたことではないと思いますが、でもやっぱりちゃんと聞いてみることは大事だなと思いました。(Kさん/子ども6歳)
「友達に悪口を言われたらどうしよう」こんな時は…
▽親が不安だと子どもも不安になる
ひとりっ子で、入学予定の小学校に友だちが誰もいません。周囲の言うことを気にするところがあり、入る前から「悪口言われたらどうしよう」「友だちできなくて、いろいろ言われたらどうしよう」と言うので、最初は「すぐ友だちなんてできるもんだよー」と答えていました。でも夕飯を食べてるときも、急に落ち込んだ顔で「小学校行くのイヤだな」と言い出したので、これはよくないと思って、夕飯のときにパパから楽しかった小学校時代の話をしてもらったり、ランドセルを背負って写真撮影をしたり、とにかく楽しい気持ちになれるよう気を配りました。
そんな時、姉に「あんたも神経質になって、あれこれ電話で小学校のこと聞いてくるじゃない?それを耳にしている子どもが余計に不安になるんだよ」と指摘されて、あ、そうか!と思いました。実は平気なフリをしながら私も小学校のことが何もわからず不安で、その気持ちが伝わってしまっていたのかなと思います。ある程度は気質というか性格だから無理に「明るく元気に」ってやる必要はないとは思うけど、親が過敏になりすぎないことも大事かなと思いました。(Uさん/子ども6歳)
▽自分から悪口を言われた悩みを打ち明けられるように
小1のはじめの頃はお友だちと悪口言い合っても、じゃれ合ってるような感じだったのですが、小2になってから仲間はずれのようなことを気にするようになりました。そのため、悪口というか「お前なんか入れてやらない」とか「友達やめたー」とか言われると、いきなり夜になってから泣き出したりするので、ビックリしてしまいました。
実際に仲間はずれにされてるわけでもないし、数日後には同じ子と元気に遊んでいるのですが、言われたときはひどく不安になるようです。泣いてばかりなので「何があったか言わないとわからないよ!」と怒鳴ったこともありますが、逆効果ですね。よけいに口を閉ざして言わなくなることが多かったです。
「ケンカしたり、謝ったり、仲直りすることを繰り返すもんだよ」と話しかけ、落ち込んでいるときはなるべく子どもの好きな話題でまず気持ちを落ち着かせてから、実際に何があったのかを聞くとぼそぼそっと話し出す感じです。全部気持ちを吐き出しているとは思えないんですけど、少しでも話してくれたらいいと思って、あまりしつこくせずに、話し出すのを待っていることが多いです。(Sさん/子ども8歳)
先輩ママたちのアドバイス!子どもが悪口言われた時の対処法
▽子どもの話は最後まで聞くようにした
友だちに悪口を言われない子なんていません。言ったり、言われたりの繰り返しですから、親がいちいち大げさに反応はせず、でも必ず子どもが「今日〜〜ちゃんがね」と話し出したら、最後まで聞くようにはしていました。100ある悪口のうち、ひとつくらいは「ん?」と思うようなことがあるわけで、そういう時はさらに詳しく話を聞いたり、気をつけて様子を見守りました。(Wさん/子ども11歳)
▽気分転換が必要
正直、親からすると「そんなん、明日には解決してる」と思うことも多いわけですが、悪口とも言い切れないことでも、子どもは心がポキっと折れるようなことがあるみたいで。そういう時はアレコレ話しかけるより、子どもをつれて公園でサッカーしたり、親子で散歩したり、気分転換をしました。
下の子は運動嫌いなので、こちらは一緒に本屋さんをぶらぶらしたり、ふたりでアイスクリーム屋さんでひとつのパフェ分け合ったり。家で向かい合って話すとなると構えてしまうけど、場所が違うと気分も変わるし、子どもが本当に言いたいことが自然と聞けたり、逆に言わなくても「楽しいこともあるよね」と気持ちを立て直す方法を自分で見つけられるようにアドバイスした(つもり)です。(Uさん/子ども6歳・12歳)
▽悪口言われたら〝やめて〟と言えるように
悪口にたいして、それが本当に嫌なことだったらキッパリと「やめて」と伝えるように教えました。悪口に対して泣いたり、騒いだりすると、相手がよけいに面白がってエスカレートすることもあるので「もうやめてくれない?」とひとこと言って、後は相手にするな、と具体的にどうするかも教えました。
おとなしいタイプだったので、よくからかわれたり、別にケンカをしてるわけでもないのに悪口を言われるようなこともあったようですが、いつでも親が出て守ってあげられるわけではないので、対処法をしっかり身につけさせるのも、小学校時代に必要なことだと思います。けっこうきつい調子で「あなたもちゃんと言い返しなさい」とは言いましたが、必ずその後で、寝る前やお風呂に入ったときに「イライラするヤツいるよね」と話して、「それでもヒドイこと言うのがいたら最後は絶対にママとパパで守るから安心しなね」とフォローするのも忘れませんでした。(Mさん/子ども14歳)
▽子どもの気持ちに共感できる人の言葉は響くはず
長女はまじめで、しかも先のことを考えては不安に思うタイプ。悪口を言われたら…から始まり、グループ作るときに誘われなかったらどうしよう、遠足のとき好きな人同士でお弁当食べるけど入れてもらえなかったらと考えると眠れない、とか、とにかく「実際にまだ起きてないのに」悩んでましたね。
わたしは真逆なので最初はちょっと理解できず、優柔不断というか、神経質な娘にイラっとしたことも正直あります。自分と違う考え方だからわからないと子どもの気持ちを受け止めないのはどうかと思ったので、話は聞きました。
でも、なんかうまく娘の気持ちをほぐせなくて、今度はわたしが悩んで母親に相談すると、うちの母が直接、娘と何度か話してくれました。母からすると「わたしはあんたを育ててるとき、どうもこう乱暴というか、あけっぴろげで脳天気なのかとハラハラした。逆にA子(娘)の不安はとてもよくわかる、私に似てるのかも」なんて言ってましたが、似たような経験がある人や性格の人に話を聞いてもらうとか、共感してもらうと安心するみたいです。
自分でなくても、パパにせよ祖父母にせよ、身近な人でリアルに気持ちがわかる人がいたら、その人に話してもらうのは良い方法かもしれません。(Fさん/子ども8歳)
子ども同士の悪口は言ったり言われたりだけど
子どもは成長するごとに、より複雑な感情を持つようになります。ごく幼いころは「バーカ」と言われて泣いても、次の瞬間にはケロっとしていたかもしれません。
そのうちに「なぜバカって言うんだろう」と考えたり、「他の子もわたしをバカだって思ってるのかな」と違う心配をしたりします。言葉の意味をその通りに受け止めるだけでなく、背景にあることまで考え出すのは、成長している証拠です。
友達との関係でギクシャクするのは社会性を育む貴重な体験でもあります。春は入園や入学、クラス替えがあったりでお友だちとの関係も一変することが多いですね。子どもの変化を見逃さないようにしつつ、かといって神経質になりすぎずに過ごしましょう。