参議院議員の任期はなぜ6年なの? 「決められない政治」は変えることができるの?

参議院議員選挙の疑問 大学教授に聞いた2

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 7月10日投開票の参議院議員選挙が始まっています。参議院議員の任期は6年もあり、全体の半数ずつを改選すると定めています。なぜ、このような仕組みになっているのでしょうか。京都産業大の中井歩教授(政治過程論)に聞きました。

 -なぜ参議院議員は6年の任期で、しかも半数改選という一見分かりにくい制度なのでしょうか。

 中井教授 参議院ホームページの「よくある質問」で「半数ずつ改選されるのはなぜ」という設問があります。

 その回答には「半数改選としたのは、議院の継続性を保つとともに国会の機能の空白化を防ぐことを目的としているから」とあります。たとえ衆議院との同日選挙になっても、参議院は半数が残るので政治的な空白が生まれないようにできるし、また参議院も議員を半分ずつ入れ替えることで継続性を保つことができるということです。

 次に、任期が6年の理由ですが、日本は衆議院と参議院の二院制を採用しています。一つの議院だけだと効率的ですが、あるときの選挙で示された一時点の民意だけが反映されやすくなります。

 衆議院とは異なる時期にいろいろな国民の意見を聞く。任期が6年というのも長期的な目線での意見を聞くことができるという意味があるのではないでしょうか。

 しかし、二つの議院があると、時々意見がぶつかることがあります。衆議院と参議院で多数派が異なり「ねじれ国会」になります。しかもその「ねじれ」状態が最長で6年間も続くことになります。

 -日本では戦後、何度か「ねじれ国会」が発生してきました。2007年の参議院議員選挙以降、2013年の参議院議員選挙までの6年は自民党と旧民主党による政権交代があり、「決められない政治」などという言葉が話題になるなど特に記憶に残っています。あのころからの教訓は何かありますか。

 中井教授 自民党と旧民主党とも、どちらかが折れたり、妥協したりしなければならなかったと思います。ですが、両党が徹底的に対決して「次の選挙でカタを付けましょう」という風になってしまいました。

 憲法では衆議院と参議院の意思が異なった場合、「両院協議会」を開くことになっています。しかし、両院協議会は機能しませんでした。日本の政治の経験として両院協議会でしっかり議論し、妥協点を見いだすべきだったし、「ねじれ」ていても意思決定ができるように、国会の慣行を大きく変えればよかったのではと思います。

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 参議院議員選挙は7月10日投開票です。7月9日までは期日前投票ができるほか、選挙人名簿登録地(住民票のある場所)から離れた場所にいる人は不在者投票も利用できます。

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