世話をしていた唯一の親戚が他界し、足取りがつかめなくなった80代女性 孤独死の危険は身近なところに

長岡 杏果 長岡 杏果

コロナ禍で外出自粛生活が続き、感染リスクの高い高齢者には、なかなか会えない日々が続きました。一人暮らしの祖父母(父・母)や親戚などへの連絡が減ったこともあり、「高齢者の孤独死」が一層クローズアップされるようになりました。

筆者の知人には、行方が分からなくなってしまった親戚がいるといいます。Sさん(80代女性)で、知人の祖母・Yさんが身の回りの世話をしていました。 

Sさんの夫はすでに他界し、子どもはいなかったそうです。当時Sさんの親戚で健在だったのはYさんだけだったため、世話をしていたそうです。

Sさんは80代でしたが体は健康で、認知症などもありませんでした。しかし、極度の面倒くさがり屋で、家の中は土足で入らなければ靴下が真っ黒になるほどのごみ屋敷だったそうです。

Sさんは他界した夫の資産があったので、生活保護は受けず、週に2日ヘルパーさんに部屋の掃除や飲食物の買い物をしてもらっていました。生活スペースはベッドの上だけで、お風呂もヘルパーさんに説得されてやっと週に1回シャワーを浴びるか、体をホットタオルで拭く程度だったそうです。Yさんは月に1回、Sさんの部屋の掃除を手伝いに行っていました。

Sさんには資産はあるので、周囲には有料老人ホームに入ることも勧められていたそうですが、本人は聞く耳を持たなかったそうです。

その後、Sさんより先に筆者のYさんが病気で他界しました。それにより、Sさんと関わっている親戚が1人もいなくなってしまったのだといいます。Sさんが現在どのような生活をしているのか、筆者の知人によると誰にも分からないそうです。

孤独死を防ぐために

このように、いつ孤独死してもおかしくない状況で生活をしている高齢者は、日本全国に数多くおられるのではないでしょうか。コロナ禍でも、最低限の対策をすることで、祖父母や親戚、周囲の高齢者の孤独死を防ぐことができたり、急な病死にも気付いてあげられるのではないでしょうか。

▽定期的に連絡を取る

電話やメールなどで定期的に「体調に変化はないか?」「困ってることはないか?」など聞いてあげることが大切です。話を聞いてくれる人がいるという状況だけでも安心感を得られます。

▽定期的に自宅へ様子を見に行く

遠方に住んでる場合や、コロナ禍で不要不急の外出自粛の場合は難しいかもしれませんが、濃厚接触にならないように、しっかりと国の指定する感染予防対策を徹底して数分様子を見に行くだけなら問題ないと思います。

▽ご近所の方に時々様子を気にしてもらう

地方や田舎ならご近所付き合いが当たり前な地域が多いですが、東京などの都心部になると、マンションの隣の部屋の人の名前も知らないような時代になっているので、なかなかご近所付き合いが難しいのが現状です。祖父母や親戚が高齢になって心配な場合は、ご近所の方に時々気にかけていただくようにこちらからお願いしてみるのも一つの手段です。

   ◇   ◇

ほかにも、国や自治体のサービスを利用するのもいいでしょう。一人ですべてのことをやらなければならないとなると新たな負担が生まれてしまうため、家族や親戚、福祉サービスを利用しながら社会全体で孤独死を防ぐことが大切です。

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