「ハチに刺された状況」調べると…意外に多い「洗濯ものへの混入」 強い香りの柔軟剤を使用したものは要注意!

まいどなニュース まいどなニュース

気温の高まりとともに増加するのがハチによる被害です。厚生労働省「人口動態調査」によると、国内のハチ刺傷事故による死者数は例年20件ほどで、この数は熊害による死者数を大きく上回るといいます。そこで、過去5年以内にハチに刺されたことがある全国の18歳以上の男女191人を対象に「ハチ被害の実態調査」を行なったところ、ハチに刺されやすい場所は「庭」「公園」に回答が集まったそうです。

暮らしの困りごとを解決する総合プラットフォーム「生活110番」を展開するシェアリングテクノロジー株式会社が運営するハチ駆除業者マッチングサービス「ハチ110番」が2022年5月に実施した調査です。

はじめに、「ハチに刺されたときにいた場所」を聞いたところ、「庭周辺」(27.2%)が最も多く、次いで「公園内」(23.0%)、「自宅の室内」(13.1%)という結果になりました。公園内での被害のケースを詳しく見ると、「子どもを連れて遊んでいた」「(犬の)散歩をしていた」といった状況が多く見られたといいます。

また、「ハチに刺されることが多い状況」については、「庭の手入れ中」(24.1%)が最も多い結果となりました。実際にハチに刺された際の具体的なコメントは以下の通りです。

▽自宅の庭で草むしりをしていたところ、チクっとしたので驚いたら刺されていました(43歳男性・静岡県)
▽庭の木の剪定をしているとき、近くにハチの巣があったのを知らずに作業をしていたら、1匹のアシナガバチに刺された(62歳男性・新潟県)

調査した同社は、「庭の手入れ中にハチ被害が多くなる原因には、『庭木は巣、花はハチの餌場になっていることが多い』『庭木や雑草が伸びる時期と、ハチが活発化する時期が重なる』などが考えられます。庭の手入れをするときはあらかじめ付近にハチの巣がないか確認したうえで、長袖のシャツを着るなど、ハチ対策もしっかりとっておくことが重要です」と説明しています。

一方で「洗濯ものに混入していた」(16.8%)、「不意の襲撃」(15.2%)、「歩行中・自転車で走行中」(9.4%)など、予期せぬ状況下でハチに刺されたケースの多さも目につくそうです。「不意の襲撃」はほかの分類と意味内容が重複してしまいますが、ここでは「ベンチに座って休んでいるといきなり刺された」や「玄関を出た矢先に刺された」のような因果関係が希薄な突発的な被害ケースを分類しているといいます。

洗濯物にハチが混入するケースが多いことについて同社は、「洗剤や柔軟剤に含まれる『香り』が原因の一端に考えられます。強い香りのする香水や化粧品の香りに対してハチは敏感です。また『ひらひらと動くもの』に対しても反応しやすいという性質も併せてもっています(※参考『人を襲うハチ』小川原辰雄、2019年)。強い香りを発する柔軟剤を使用し風にそよいでいる洗濯ものは、ハチにとって寄り付きやすい格好の的となってしまうわけです」と説明しています。

次に、「ハチに刺された身体の部位」を聞いたところ、とくに多かったのは「腕」(40.8%)と「手・指」(23.0%)、次いで「脚部」(16.2%)と続きました。

なぜ腕や手に被害が多いのかの原因については、「ハチに急に接近されて、慌てて振り払った」「ハチが止まっているとは知らず触れた」の2点が考えられるといいます。実際の被害ケースは以下の通りです。

▽散歩がてら公園に行ったときに、いきなり目の前にハチが現れ、驚いて払い除けるときに右腕を刺された(37歳女性・兵庫県)
▽たまたま門扉にハチが止まっていたようで、ハチがいた事を気づかずに門扉に触れたら刺されました(42歳女性・滋賀県)

前者は反射的に起こしてしまう行動で、後者もほぼ無意識でとられる行動です。「ハチに刺されないためにはハチを刺激しないこと」という鉄則は多くの人が知るところですが、こうした不可抗力な原因を見ると、話はそう簡単ではないことが伺えるといいます。

また、「ハチは黒いものを攻撃する」という習性もありますが(※参考「スズメバチの科学」小野正人、1997年)、本調査では、そのとき被害者が来ていた衣服の色を無視すると、身体の黒い部分にあたる「頭部」(1.0%)と「顔・首うち眼球が1名」(9.4%)はかなり低い割合となったそうです。

同社は、「ハチが攻撃してくるということは付近にハチの巣や餌場がある可能性が高いということです。もしも刺されてしまった場合は、その場からなるべく静かに10m以上距離をとって安全を確保し、毒針を抜いて患部を水で洗い流したあと、病院を受診するようにしてください」と説明しています。

最後に「ハチの被害に遭った時期」を聞いたところ、ハチの種別によって被害件数のピークに差があり、「ミツバチ」は4~5月、「アシナガバチ」は6~7月、「スズメバチ」は8~9月と変遷していくことがわかったそうです。

また、アシナガバチに関しては年間通して被害が確認されていることも注意が必要だといいます。通常では冬になるとアシナガバチは働きバチが死滅し、活動も大幅に鈍るものの、女王バチだけは越冬することから(※参考「人を襲うハチ」小川原辰雄、2019年)、越冬中の女王バチによる被害が、本調査において少ないながらも確認できたといいます。

   ◇  ◇

調査を行なった同社は、「ハチの被害は事前に対策がとれるケースと、かなり警戒していない限り避けようがないケースがあり、特に後者の場合では、予防策は『ハチの巣の存在に気づいた時点で駆除をしておく』ということ以外に現実的な手立てがないようにさえ見えます。もし自宅にハチの巣ができた際には、自身でハチの巣駆除をしていいものか、専門業者に依頼するべきかの判断を、『種類がアシナガバチであること』『巣が高さ3m以下にあること』『空間的に開けた場所にあること』の3点の基準でおこなうようにしてください」と説明しています。

また、「スズメバチには猛毒の危険性があることはよく知られていますが、ミツバチも毒性が強いうえに巣にいる個体数が非常に多く、駆除するのが一番厄介なハチとさえ言う駆除業者もいます。さらに、高所や閉鎖的な空間にできたハチの巣も危険です。ハチの巣を駆除しようとすると巣を守るために働きバチが次々に巣から出てきますが、高所や逃げ場のない空間でハチからの逆襲に遭うと大きな事故につながるおそれがあります。この3つのすべての基準に当てはまらない場合は、駆除業者に相談するようにしてください」とも述べています。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース