阪神電車に防犯カメラを試験的に設置 防犯に加え、導入に向けての狙いは?

新田 浩之 新田 浩之

関東私鉄と比較すると防犯カメラの導入が遅れている関西私鉄ですが、状況が大きく変わるかもしれません。阪神電気鉄道は5月18日に営業列車内における防犯カメラの試験設置の実施を発表しました。

 他社線へ乗り入れない普通車で実験 

阪神では5月24日から8月31日まで、営業列車内での防犯カメラ設置試験を行います。設置車両は普通系車両(4両編成)1列車、運行区間は大阪梅田~新開地間です。阪神によると普通系車両を選定した理由として実証実験ということで、他社線へ乗り入れないという条件を挙げています。

カメラを設置する場所は出入口上部です。カメラの設置数は1両あたり3か所の計12か所。設置場所にはカメラの設置がわかるステッカーを貼ります。個人情報の第三者提供は警察等捜査関係者からの要請があった場合を除き行われませんのでご安心を。

撮影した動画は運転指令などでリアルタイムで確認し、記録映像は1週間程度で自動的に削除します。またAIなどを駆使し、車内の混雑度判定も実施するとのこと。AI画像解析を通じて車内環境の整備だけでなく、利便性向上のサービスの提供につなげる意向です。

実験では主にカメラの基本的性能に加え、遠隔からのリアルタイムで必要な映像や音声の確認ができるのか、という点も評価するとのこと。今後の設置予定に関しては前向きな姿勢です。

 関西鉄道界で進む防犯カメラの設置 

阪神以外でも車内の防犯カメラ設置が進みます。近鉄では2024年に導入予定の新型一般車両に防犯カメラを設置する予定です。また京阪では2021年に導入した13000系5次車で京阪の通勤型車両としては初の防犯カメラを設置しました。

JR西日本では2023年度末をめどにすべての新快速と関空・紀州路快速に防犯カメラを設置。2023年末をめどに京阪神地区を走行する列車のうち、約5割の設置を目指すとし、残りの在来線車両も2024年度以降に順次設置する予定です。また今後あらたに新製する列車には基本的に標準装備として防犯カメラを設置する意向を示しています。

どうしても車内の防犯カメラと聞くと防犯面を真っ先に思い浮かべますが、阪神が示しているようなAI画像解析による新サービスの開発にも注目したいところ。便利なサービスが提供されたら、車内防犯カメラに対するイメージも変わるかもしれません。 

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