新聞社では「・」の記号を「中グロ」「中ポツ」などと呼んだりするのですが、鉄道の駅名に「・」が付くのは珍しいケースです。私が知る限り、JRでは東日本の吾妻線の「万座・鹿沢口」が唯一かもしれません。
中グロ以外の記号だと、「西鉄福岡(天神)」のように、「()」はありますが…(後述の駅も該当します)レアだとは思います。
複数の地名や、設置を巡り論争になった駅名を決める際に「四天王寺前夕陽丘」や「喜連瓜破」「雲雀丘花屋敷」「西中島南方」「燕三条」などなど、二つの地名を併記するケースはままありますが、神戸市営地下鉄海岸線には「三宮・花時計前」「旧居留地・大丸前」と「・」が入った駅名が2つもあります。全国的にも珍しい部類ですが、神戸市営地下鉄ではそもそも路線名にも「西神・山手線」と「・」が入っていますね。
さらに「旧居留地・大丸前」は現在、全国の駅名で唯一「旧」が付いているほか、公営交通なのに「大丸前」という企業名が入るのも珍しい(東京メトロに三越前駅があります)。駅そのものは大丸神戸店に直結していますが、その昔、「株式会社神戸市」と都市経営を標榜した神戸市役所。民間感覚に近いような駅名であっても、特に違和感なく採用したのかもしれません。なお「旧」とは付いていますが、旧居留地は最新のファッション・ブランドや雑貨店などが立ち並ぶハイセンスなエリアであることは言うまでもありません。
関西では大学名を付ける駅も増えている
ちなみに関西では、泉北高速鉄道に以前から「栂・美木多」駅があるほか、近年、阪神電車の「鳴尾・武庫川女子大前」や、嵐電の「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」と大学名を付ける駅が増えています。かつてなら正式な駅名ではなく、副駅名にとどめていたかもしれませんが(神戸市営地下鉄の新長田駅に「鉄人28号前」と付いているみたいな)、鉄道会社が大学と地域連携を強める動きが増えていることも影響しているようです。
現時点で、最も長い駅名は富山地方鉄道の「トヨタモビリティ富山Gスクエア五福前(五福末広町)」です。最も長いと一言でいっても、文字数で長いのか、音読数で最も長いのか、議論が分かれるところですが、ひらがななら、なんと32文字! 自動車ディーラーのPR感丸出しですが、鉄路を維持するにはスポンサーは欠かせない取り組みなのでしょう。なお、漢字でも読みでもたった1文字の駅は、皆さんご存じの「津」(つ)です。
おまけですが、関西には阪和線に「百舌鳥」と漢字3文字で、読みは「もず」と2文字のちょっと変わった駅名も。地元なら普通に読める駅名も、他地域の人にとっては難読駅名かもしれませんね。
(まいどなニュース/神戸新聞・長沼隆之)