みなさんのなかには、「学力の高い子どもは、勉強が好きで自らすすんで勉強をする」と考えている保護者の人もいるのではないでしょうか。そこで、現役東大生220人(男性:106人・女性:101人・回答しない:13人)を対象に「子どもの頃の過ごし方」について聞いたところ、約6割が「小学生の頃に両親から勉強しなさいと言われたことがある」と回答しました。また、1日5回以上言われていたのは、全体の13%だったそうです。
イノベーションシステム株式会社が運営する「ひまわり教育研究センター」が2022年2月に実施した調査で、文系(男性:43.2%・女性:50.6%・回答しない:6.2%)、理系(医学部除く/男性:55.4%・女性:33.8%・回答しない:10.8%)、医学部(男性:51.4%・女性:47.3%)の学生が回答しています。
はじめに、「小学生の頃あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか」と聞いたところ、「よい成績をとるのが楽しかったから」「勉強が楽しかったから」「新しいことを学ぶのが楽しかったから」「親が上手に勉強させてくれたから」「親に褒められたかったから」「惰性(なんとなく)」といった回答が続きました。
これを男女別でみると、男女ともに、もっとも多かった回答は「よい成績をとるのが楽しかったから」でした。また、男子が女子に比べて回答が多かったのが、「親が上手に勉強させてくれたから」「勉強が楽しかったから」「新しいことを学ぶことが楽しかったから」となり、女子が男子に比べて回答が多かったのは「周囲の評価が嬉しかったから」「親に叱られるのが嫌だったから」「惰性(なんとなく)」という結果になりました。
男子では、「親御さんが上手に褒めて勉強させ、勉強の楽しみや新しいことを学ぶ好奇心を育てること」が勉強への意欲に繋がることがわかり、女子は、「周囲の評価を得たい、叱られたくない」という気持ちが勉強への意欲に繋がることがわかったといいます。
続いて、「中学、高校時代、あなたはなぜ勉強したいと思ったのですか」と聞いたところ、「よい成績がとりたかったから」「行きたい大学があったから」「惰性(なんとなく)」と続きました。小学生の頃との違いは、「行きたい大学があったから」という将来の目標が勉強への動機付けになっていることや、「惰性(なんとなく)」と回答する東大生が増えていることから、勉強がすでに習慣化していることが考えられるといいます。
これを男女別でみると、男子は女子に比べて「勉強が楽しかったから」という回答が女子の2倍程度となった一方で、女子は「行きたい大学があったから」が35%と男子に比べて2倍近くなり、東大を目指す女子学生の高い目的意識が伺えたといいます。
「小学生の頃、両親から勉強しなさいと言われたのは1日何回くらいありましたか」と聞いたところ、「言われたことがない」(24%)、「毎日ではないが時々言われた」(30%)と続き、両親から「勉強しなさい」と言われていたのは「時々言われた」を含むと全体の64%で、1日5回以上言われていたのは、全体の13%となりました。
また、1日5回以上両親から勉強しなさいと言われていた男女29人は、「小学校時代に勉強したいと思ったのはなぜですか」という質問に対して「新しいことを学ぶのが楽しかった」「親に褒められるのが嬉しかったから」「よい成績をとるのが楽しかったから」「親に叱られるのが嫌だったから」と回答したそうです。
同センターは、「親に5回以上勉強をしなさいと言われている子どもたちの勉強の動機が『新しいことを学ぶのが楽しかった』というのは大変興味深いとともに、『新しいことを学ぶのは好き』だけれど、『勉強はなかなか自分からできない』という子どもの姿の本質をついている結果だと思います」と説明しています。
これを男女別でみると、「勉強しなさいと言われたことがない」男子は18人で、女子は33人と2倍近い開きがありました。また、「勉強しなさいと言われていた」男子は76人(72%)で、女子は56人(55%)でした。東大生の男子の中でも、毎日5回以上「勉強しなさい」と言われていた人が17人(16%)いたことは大変興味深いといいます。
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調査を行った同センターは、「子どもにとって、たとえ勉強はやりたくなくても、よい点数をとるのはとても嬉しいことです。保護者の方は、子どもの勉強のモチベーションをあげるには『お子さんが一番簡単に点数があがるところ』を見つけてあげ、点数をとれるようにサポートしてあげることが、重要であるといえます」と説明。「我が子には『勉強を好きになってほしい』と思われるかもしれません。でも、もし勉強が好きでなくても、よい点数をとること、勉強は嫌だという強い感情がなければ、子どもたちは勉強をし続けてくれるということが調査から判明しました。保護者の方は、上手に声かけして勉強を促し、新しいことを学ぶ楽しみや喜びを感じさせてうまく褒めて、勉強させ上手な親になってほしいと思います」と述べています。