3月3日「桃の節句」の翌日、Instagramにこんな投稿がありました。
「『雛人形はすぐにしまわないとお嫁にいくのが遅くなる』『お嫁にいけなくなる?』なんて聞きますが実は迷信です。そこは気にすることはありません!」
投稿したのは一般社団法人日本人形協会(東京都台東区)。Twitterの公式アカウント(@ningyo_kyokai)でも同様の投稿をしたところ、「迷信だったのか!」「朗報だ」「いいこと聞いた」「安心しました」「焦ってしまわなくていいんだ」「かわいいからもうしばらく飾っておこう」などの声が上がりました。同協会に真相を聞きました。
迷信が広まった理由
教えてくれたのは同協会の広報委員長を務め、人形メーカー「福田屋」(本店、神奈川県藤沢市)代表取締役社長の河原雅人さん。迷信と断言したことに驚いたと伝えると、河原社長は優しい口調で「一般的には迷信と言われています」。
ひな祭りの起源は平安時代より前にさかのぼり、ひな人形は贈られた女の子の厄を移すとされます。「その子に災いがふりかからないようにとの願いを込めて飾るものです」。
迷信が生まれた時期ははっきりしないものの、かなり古くから受け継がれ、いつしか定着したといいます。どんな思いから広まったのでしょうか。河原社長は諸説ある中から3つを紹介してくれました。
(1)しつけ説
7段飾りなど、昔ながらの段飾りのひな人形は片付けるのに手間がかかります。「ひな人形をきちんと片付けられない人はいいお嫁さんにはなれないよ」というしつけの意味が込められていたようです。
(2)厄災を遠ざける説
ひな人形にはもともと、持ち主の厄災を人形が代わって受けるという役割があります。厄を移した人形はなるべく遠ざけておこう、早くしまおうという意味合いです。
(3)婚礼の人形にあやかる説
ひな人形は婚礼の様子を表した人形のため、「婚礼の人形を早くしまうと、早くお嫁に行ける」と信じられていたようです。
しまうのに最適の日は?
では、ひな人形をしまうのに適した日はあるのでしょうか。
同協会が推奨するのは「よく晴れた空気の乾いた日」。人形のカビ対策のためにも「早く片付けることを優先せずに、天気が良く湿気の少ない日を待ってしまうことが大切です。保管も湿気の少ない場所を選びましょう」。
「お子さんと一緒に、また来年会えるように願って、お天気が良い日に片付けてあげましょう。すぐに片付けなくても大丈夫。なるべく長くそばにおいて愛でてあげてくださいね」(同協会)
押し入れに眠ったままの人形は
婚期を左右するという言い伝え以外にも、家庭によっては「毎年、きちんと飾らないと悪いことが起こる」と言い聞かされて育った人もいるようです。真意は。
「その言い伝えはあまり聞いたことはありませんが『人形はかわいいものなので出してあげないとかわいそうだよね』という気持ちからそう言われたのかもしれません。お子さんが無事に大きくなったり、お嫁入りされたりしたあとは、『ありがとうございました』と感謝の気持ちを込めてご供養するのが一般的な流れです」(河原社長)
個人で供養するとなると、しきたりなどに不安が残ります。同協会では日本郵政と提携し、役目を終えたひな人形を回収する「人形供養代行サービス」(有料)を行っています。料金は一箱(袋)5000円。送料別。事前に電話かネットでの申し込みが必要。詳細は同協会ホームページ内「人形感謝」ページへ。
日本人形協会ホームページ https://www.ningyo-kyokai.or.jp/