姿を見せなくなった猫が、大けがを負って戻ってきた! 瀕死から奇跡の回復、今では施設の「守り猫」に

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 長崎県佐世保市にある人気の岩盤浴「蘇生の癒(ゆ)」。自然石の上に横になるストーンヒーリングで心身ともにリフレッシュしたお客さんたちをさらに癒しているのが、同施設を運営する会社の飼い猫・茶白の「ミーちゃん」(メス、推定6歳)だ。まだ通い猫だった1歳半のとき、大ケガを負って瀕死の状態で敷地内に倒れていたというミーちゃん。獣医師からは「助からないかもしれない」と言われたが、スタッフやお客さんたちに見守られ、奇跡的な回復を果たした。今では同施設の「守り猫」に。どんなことがあったのか。ミーちゃんを当初から知る女性スタッフに話を聞いた。

 ミーちゃんがこの施設に現れるようになったのは、2016年夏ころでした。女性用更衣室横に中庭があるのですが、そこに「茶白のかわいい子猫がきている」とお客さんの間で話題になったのが最初です。いつしか猫好きのお客さんから『ミーちゃん』と名付けられ、なでなでしたりおやつをあげたりして可愛いがられていたんです。当時は生後2、3か月くらい。野良で、まだ通い猫でした。

 その1年半後の9月、ミーちゃんのお腹が大きくなっていて、妊娠していることに気づきました。それからしばらくの間、姿をみせなくなったので、「ミーちゃん、無事に子どもを産んだとやろか」とみんなで気を揉んでいたんです。

 そんななか、ある朝、私が出勤してきたら、ミーちゃんが中庭に倒れているではないですか。どうしたとやろかと、慌てて近づいてみると、下半身は血だらけ、体は冷たくなっていて、ピクリとも動かないんです。びっくりして会社に連絡し、動物病院へ連れていってもらうと、獣医師さんいわく「お尻から後脚にかけて大けがを負っており、お腹には赤ちゃんがいたが、すでに死んでいた」とのことだったそうです。

 交通事故にあったのか、あるいは誰かに虐待されたのか、何があったかのはわかりませんが、推測ですけど、ミーちゃんはいつもここで可愛がられていましたから、この中庭までたどり着ければ誰かが助けてくれると思ったのかもしれません。がんばってここまでやってきたけれど、力尽きて倒れてしまったのではないかと。

 先生からは「助かるかどうかはわからない」と言われたそうですが、懸命な治療の結果、なんとか一命を取り留めることができました。2週間入院したあと退院。病み上がりなのに外猫に戻すわけにはいかず、ここで飼うことになったんです。

 常連さんの中には「早く良くなって戻ってきてね」と励ましてくれる方や、「診療代をカンパする」と申し出てくれる方もいました。1週間も経つと、ミーちゃんは館内を歩き回れるほど元気になり、心配していたスタッフもお客さんたちも、ほっと胸をなでおろしたのでした。

 朝出勤のスタッフは朝食をあげる、昼のフロントスタッフはトイレ掃除を担当するなど、従業員全員が協力して、毎日ミーちゃんの世話をしています。体調の異変などがあれば、すぐに会社へ報告することになっています。

 ミーちゃんは基本的にはツンデレさんで、べったり甘えるという感じではないんですけど、お客さんが岩盤浴からあがってきて休憩していると、自分が好きな人には近寄っていきます。「今日は膝の上に乗ってくれたとよ」とお客さんが喜ぶ姿をみるのはすごく嬉しいですね。もしミーちゃんがいなければ、私たちスタッフもお客さんと話をする機会はこんなになかったでしょうし、猫の話がきっかけになって盛り上がることもよくあります(笑)。

 施設のインスタグラムでは一昨年秋、「ミーちゃんありがとう企画」と題して、ミーちゃんの写真を投稿してもらい、フォロワーが増えると、日頃の感謝の気持ちを込めてミーちゃんにサプライズプレゼント(美味しいおやつなど)をするという企画をして、好評だったことも。ミーちゃんはお客さんを増やしてくれる福猫です。

 一時は命も危ぶまれたミーちゃんが、奇跡の回復を果たし、こうしていま人気者になれたのも、ミーちゃんのことをいつも見守り、気づかってくれるお客さんたちがいるからこそ。これからもうちの「守り猫」として、ずっと元気でいてほしいです。

【施設名】岩盤浴「蘇生の癒(ゆ)」
【住所】長崎県佐世保市祇園町2-18
【電話】0956-22-0070

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