誰の肩にでもひょいと乗って“接客”!?長崎の「肩乗りネコ」人気 珍百景にも登録済み…世界の猫好き増に貢献

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 長崎県佐世保市にある「ワイワイ貿易」は、映画やアニメのフィギュア、雑貨、レコードの販売や、イベント、ライブ企画などを行なっている。代表の緒方隆さん(54)は週末になるとサバ白の「てんちゃん」と黒猫の「まいける」(いずれもメス、4歳)姉妹を自宅から連れて出勤する。実はこの2匹、「肩乗り猫」として有名だ。特にまいけるは緒方さんだけでなく、誰の肩にでもひょいと乗り、お客さんを笑顔にしている。緒方さんに2匹との出会いや肩に乗るようになった経緯などについて聞いた。

 2017年8月のある日。鳴き声がするので店の前の公園に出てみたら、赤ちゃん猫が4匹、段ボールに入れられて捨てられていたんですよ。段ボールには無責任にも「もらってください」と書かれていました。よく見ると、へその緒がついていて生まれたばかり。放っておくわけにいかないので、店に連れて帰りました。

 自宅では2匹の保護猫を飼っていますが、赤ちゃん猫たちの世話は初めてだったので、保護猫団体の知人に電話し、食事や排泄の仕方などについて教えてもらいました。うちは猫好きの常連さんも多いんです。猫の赤ちゃんたちを保護したことをSNSに書いたら、何人かが交代で店にやってきて、4時間おきに授乳、排泄を手伝ってくれました。やがて4匹のうち2匹は里親が決まり、残りの姉妹は応募はあったのですが、世話をしているうちに情が移ってしまい、僕が飼うことにしました。

 幼いころから成長記録にと、2匹の動画をよく一人で撮っていたんですよ。成長するにつれ、2匹は僕に元気よく飛びついてきて、肩のあたりまで登ってきては、ぴょんと地面に飛び降りるんです。それならいっそ、肩の上に乗っときと(笑)。僕の顔も2匹も一画面に映りますし。それで肩から飛び降りようとしたら、すぐにまた肩に乗せよったんです。

 そうしたら2匹とも、僕の肩の上に乗るのが当たり前のようになってしまってね。以来、仕事中、2匹が僕の両肩を陣取ってくつろぐことが多くなりました。大きくなった今は重いんですけどね(笑)そのうち、僕が促せばお客さんの肩にも乗るようになって。特にまいけるは誰の肩の上でもじっとしているので、「こんな猫、なかなかいない」「一緒に写真撮って」とお客さんは大喜び。バラエティ番組の「珍百景」にも登録されたほどなんです(笑)。

 少年時代から、映画、アニメ、漫画、音楽が大好きで、高校時代には自分でセル画を描いたり、コミックマーケットを主催したりしてきました。映画に出演している憧れの俳優や声優たちが、こんな地方にやってくることってなかなかでしょう。それなら自分で呼ぼうと、いろんな方々と知り合いになり、これまでに「スターウォーズ」や「ハリーポッター」シリーズをはじめ、数多くの出演俳優さん、声優さんを佐世保に招いてきました。子どもたちが夢を抱くきっかけになり、地域の活性化にも繋がればと、来られたときは学校訪問やサイン会などを開催してきました。

 コロナ禍以前は豪華客船で働いている外国人クルーや在日米軍基地の人たちなど、日本のアニメが好きな方々がやってくることが多かったですね。猫たちと一緒に写真を撮るとSNSなどで発信してくれて、その投稿を見た人がまた口コミでやってこられます。もちろん国内から出張でやってくる人も多いです。

 猫を肩の上に乗せると、「おとなしいね」「あたたかいね」「猫っていいね」と、なぜかみんな幸せそうな表情になるんですよね。それがきっかけになって「自分も猫を飼うようになった」という人も少なくありません。肩乗りは売上アップだけでなく、猫好きを増やすことにも繋がっています。

 おとなしいまいけるに対し、てんちゃんは冒険好き。2年ほど前から、てんちゃんは僕の肩の上でじっとしてるよりも、肩から飛び降りて店内の狭く暗いスペースで隠れんぼをしたり、僕が探すと追いかけっこしたりするのが楽しくて仕方ないみたいで、現在、肩乗り役はまいけるがメインになっています(店に猫を連れてくるのは土日祝日のみ)。

 長崎県は犬猫の殺処分数が全国的に多いと聞きますが、捨てられていたてんちゃんやまいけるが、お客さんたちを笑顔にする姿を見るたびに、この佐世保がもっと猫にやさしいまちになったらいいなと思います。売上の一部を保護猫団体に寄付するなど、これからも猫の幸せのために、自分ができることを少しずつやっていけたらと思っています。

【店名】「ワイワイ貿易」
【住所】長崎県佐世保市島瀬町7-14 2F
【電話】0956-25-2271

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