17歳のときday after tomorrowのボーカルとして歌手デビューしたmisonoさん。バラエティー番組に出演した後は女優、ものまね、声優、コスプレ、そして海外に進出するなど活躍の場を広げ、現在は地元・関西に拠点を移して、エステサロンをプロデュースするなど実業家として新しい分野に挑戦しています。今年1月からは「動物のため」の活動もスタート。どのような想いで始めたのか、保護猫の譲渡会に足を運んだmisonoさんにお話をうかがいました。(取材協力=つかねこ動物愛護環境福祉事業部)
――今はご実家で8匹の猫と暮らしているとか。
misono:もともと6匹いたのですが、保護猫2匹を迎えて8匹になりました。ベンガル、アメリカンカール、ブリティッシュショートヘア、キンカロー、ロシアンブルー、ソマリ、ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドールです。
――小さい頃から家には猫が?
misono:オトンがムツゴロウさんみたいな人で、家には常に動物がいました。ハムスター、ウサギ、カメ、メダカ、金魚、鳥、もちろんワンちゃん、ネコちゃんも。20年近く生きた捨て猫2匹が亡くなってベンガル1匹になったとき、さみしいんじゃないかと思ってアメリカンカールを迎えたところから増えていきましたね。
当時は何も分からなかったのでペットショップからですけど、どの子もデカくなって、でも狭い所に入れられて値段が下げられていたり、他の猫種のほうが売れるからとショーケースにさえ入れてもらえず裏にいて、ガリガリに痩せているような子たちでした。
――ペットショップにいても、行き場を失いかけていた子たちだったんですね。
misono:子供の頃はみんなかわいいから、小さいときから飼いたい気持ちも分かるんですけど…。自分的には大きいほうが好きっていうのもあります。
無理したら続かない、自分にできることから
――「動物のために」と動き始めたきっかけは?
misono:動物園が大好きで、地方や海外に行くと必ず現地の動物園に行っていたんです。でもコロナ禍で行けなくなってしまって、何に癒しや笑顔をもらっているかといえば、我が家のネコちゃんだったり、動物たちの動画だったり。2020年から2年間、動物たちにたくさんのパワーをもらっているのに、自分は何もできていないと気づいて、今年1月から本格的に動き始めました。
――動物たちへの恩返し?
misono:我が家にいるペットに全力で愛情を注いでいますが、自分たちが幸せならそれでいいのかって。ウチの子たちは恵まれていて、家があってごはんも食べられるし水も飲める。でもそうじゃない子たちが数え切れないほどいるわけです。昔は無知で、そこまで考えられなかった。猫を6匹飼ってからめちゃくちゃ勉強しました。調べれば調べるほど闇や悪質な部分というか、現実を突きつけられて。37歳まで能天気に生きてきた自分が恥ずかしくなりました。動物たちは人間にこれだけ愛をくれているのに。
――まずどういった活動から?
misono:YouTubeやSNSでの発信です。ボランティア活動や支援って、無理したら続かないじゃないですか。だから自分にできることから。まずはNosuke(夫)が保護犬猫活動をしている伊東大輝くん(『ドッグキャットレスキューアネラ』代表)と知り合いだったので、コラボの撮影をしました。
misonoも『あにまるず』さん(YouTuber)にお世話になっていたので、その後もいろいろなご縁があり、『にゃいるどはーと』さんの保護猫カフェにお邪魔したり、『つかねこ』さんと『60家』さん、『waK waK sun』さんたちの譲渡会に参加したり、チャリティーグッズを買ったり、募金箱にも寄付させていただいたり。
――misonoさんご自身もチャリティーグッズを制作、販売されていますよね?
misono:全然、売れていないんですよ(苦笑)。動けば動くほど自分の無力さを痛感しています。30歳で「炎上クイーン」とか「お騒がせタレント」というキャッチフレーズが付いて、そのイメージを変えたいと思った時期もあったんですけど、何をやっても、そして何もしなくてもバッシングされるので吹っ切れました。だからフォロワーを増やそうともしなかったです。この7年間はCDも発売していないので宣伝や拡散したいものもなかったから、去るものは追わなかった。好きに自由にやらせてもらい、それでも残ってくれているのが本当のファンだから、その子たちをより大事にしようと感じられて逆に良かったです。
でも動物たちのために動き始めたとき、人気、好感度、影響力、発信力が必要だと感じました。misonoって知名度はあるけど、こういう活動をしていることも認知されていないので。自分自身が注目されたいわけじゃないし、バズりたくてやっているわけじゃないんですけど、このままじゃないけないから何とかしなきゃって思っています。
家族になって保護猫のイメージが激変
――『ドッグキャットレスキューアネラ』から保護猫2匹を迎えられました。
misono:これだけ言っているのに、自分は保護犬や保護猫を飼うっていう経験をしていないから、説得力がないじゃないですか。うわべだけ、口だけになりたくなかったんです。今まで動物をたくさん飼ってきて、中には捨て猫もいました。 Nosukeの実家にも捨て猫が3匹います。でも保護犬猫の里親になる経験はしたことがない。自分が経験してからじゃないと綺麗事になってしまうし、こういう活動をするのも失礼だし申し訳ないと思ったんです。だから、misonoのYouTubeやSNSを見た人が里親になってくれたらいいなって思っているけど、もし自分が審査をクリアできるなら里親になりたいとお願いしたんです。で、無事にクリアできたので引き取らせてもらいました。
――保護猫を迎えてみてどうですか?
misono:イメージがガラリと変わりました。いろいろな事情でトラウマがあるだろうから、なついてくれない、抱っこできない、撫でさせてくれない…というイメージだったんです。現に捨て猫だった2匹が一切なつかず、基本的に押し入れから出て来なかったりしたので。でも違いました。2匹とも繁殖のためだけに5年間小さなケージに入れられていた子で、ラグドールが食事以外はトイレの中にいてトイレ砂の上で寝ていたりしたんですけど、今はベッドで一緒に寝て、ウチがトイレに行くたびついてきます。
他の猫と違って首周りを触ると嫌がるし、産み過ぎたからか脚が外側を向いていて、走れないんじゃないか、キャットタワーの上り下りもできないんじゃないかって心配していました。しかも最近、動物病院で診てもらったら正常の数値じゃない部分があったり。でもそれはペットショップの猫も同じで、1歳を過ぎてから我が家に来た子がいるんですけど、もうすでに体に異変がありました。ただラグドール含めて8匹とも走り回っているし、毛並みや性格もどんどん変わっていってるので、本当に良かったです。
ちなみにラグドールは最初、預かりボランティアのつもりだったんです。関西で里親さんを見つけられる自信があったので。オトンは動物のスペシャリストなんで、オトンとウチがいれば人間のことを必ず大好きになってくれるし、自分たちの周りにも動物が好きな人はいっぱいいるから。でも愛おしくて、自分が離れたくなくなってしまいました(笑)。
もう1匹のノルウェージャンフォレストキャットは最初からネコにも人間にもやさしい子だったから、全員とうまくやってくれています。少しでも持とうものなら暴れまくりますが(苦笑)。でもペットショップにいたベンガルもそうなので、保護猫だからっていう偏見はなくしたいです。
猫同士めちゃくちゃ仲が良いので助かっています。最初はシャーとかウーとか怒っている子がいますが、1週間したら皆で遊んでる。だから8匹まで増やせたと思います。ずっとケンカしていたり、誰かがケガしていたら、ここまで増やせなかったかと。
――次は預かりボランティアの経験を?
misono:実家に6匹になった時点でオカンに注意されたのに8匹にしたので、これ以上は増やせない(苦笑)。でも自分が引き取れなくても、里親になってくれる人を探すことはできます。友達はめちゃくちゃいるし、今どんどん繋がっていってるので、紹介しまくってます。今日(『つかねこ』の譲渡会場でインタビュー)もmisonoの知り合いが保護猫の里親になってくれましたし。
――misonoさんが紹介した誰かが里親になってくれれば、保護主は次の子を保護できます。
misono:自分が救える数は限られています。でも広めることはできるし、今回の記事を見て「misonoってこういう活動やってるんだ」じゃなくて、「こういう現実があるんだ」って理解してもらえれば。その中の1人でもいいから「自分も動物たちを助けたい」と思ってくれればうれしいです。思ってくれるだけでも、この環境が良い方向へ進んでいくと信じています。