「めっちゃほしい!」「これ、売れそうですね」「陀羅尼助のスプーンみたい」「これめちゃくちゃいいな、何となく多く出ちゃった時、1度手の上に乗ったもの瓶に戻すの少し嫌だったから」
MOYUKI(@MOYUKI17)さんがツイッターに掲載したのは、薬の瓶からスムーズに錠剤を取り出せるスプーンの動画。4つのくぼみがあるスプーンは、一度瓶に入れてると、くぼみに薬がきれいに収まって出てくるというすぐれものです。1.3万いいねがつくほど話題を呼んだツイートの投稿者・MOYUKIさんに開発経緯などを伺いました。
サプリを飲み始めた時に、これはスプーンがあれば便利だなと
ーー錠剤は出しすぎて戻したり、傾けすぎて中身を床に落としたり…。小さなストレスだったので、このアイデアには感動しました!
「子どもの頃より愛飲している百草丸のスプーンからヒントを得ました。あ、関西では陀羅尼助丸ですね。Twitterのご返信で知りました」
※百草丸、陀羅尼助丸…ともに小さな丸薬で、胃腸の働きを助ける薬
ーーすでにあったんですね!? では、なぜ自分で作ろうと?
「『そこに山があるから』と同じく『そこに3Dプリンターがあるから』と言ったところでしょうか(笑)。 …冗談さておき、実は以前、百草丸用のスプーンをネットで購入した事があって、それが3Dプリンターで制作された物でした。そこで漠然と『こういった物も作れるんだな』と思ってました。昨年6月に3Dプリンターを購入して以来様々なものを作っており、1ヶ月前に腰痛を患ってサプリを飲み始めた時に、これはスプーンがあれば便利だなと思い、製作するに至りました」
ーー具体的にどのような手順で作るんでしょうか
手順が長いですが…
1)錠剤の大きさや形状を測って簡単にノートに書く
2)それを元に専用の3DCADソフトで図面化
この時点では印刷して改良は必要なので先ずはドラフト版
3)次に別のソフトで3Dプリンターで印刷する為のプログラミングコードである「GCODE」を作成
4)GCODEをSDメモリーに書き込み3dプリンターにセット
5)次に3プリンターに材料であるフィラメントをセットしたら先程のSDカードより対象ファイルを選んでプリントスタート
6)設定にもよりますが今回は印刷時間は約1時間、フィラメント使用量が6g
それで今回は先端の改良を二回加えたので印刷時間とフィラメント使用量は単純に3倍です。
ーーかなりの工数ですね。苦労した点もあったのでは?
「先端の形状については最初は四角で作りましたが、粒が小さくてまん丸の百草丸などと違い今回使ったサプリは粒が大きくて平状なので、四角い形状では錠剤に上手く滑り込まなくて。次にテーパー(先細り)にしてみました。スムーズに入るようにはなったのですが、思ったほど感触が無いうえに不恰好で。そこで不意に思いついたのが今回の様な先端の楕円形状でした」
ーー動画では錠剤に引っかかることなくスムーズに入ってました。その後、使い心地はいかがですか?
「サプリも半分以上少なくなってきましたが、難なく必要数がすくえて重宝してます」
ーー商品化を望む声も多かったです。
「当初は考えていませんでしたが、これもリプライで多くの声がありますので、みなさまのお声に応えることが出来ればと思い、何かの形で貢献できればと考えてます。そして各方面の知り合いからも既にオファーをいただきはじめています」
ーースプーン以外で次回作の予定はありますか?
「昨年6月に3Dプリンターを購入して以来いろんな物を作成してますので、これからもさまざまなものを作成していきたいと思います。余談ですが、私は製造会社の勤め人で会社では旋盤やフライス盤などを駆使して治工具などを作成しておりますが、家ではその様な設備は導入出来ないので3Dプリンターは私にとってドラえもんのポケットの様な存在となってます」
ーー最後に、大きな反響となった今の気持ちはいかがですか?
「こんなしがない投稿にこれだけ多くの方が暖かく盛り上げて頂いて感謝至極に耐えません。温かいリプライ、リツイートそして閲覧頂いている事、本当にありがとうございます。今後もどうか温かく見守ってください。本当にありがとうございます」
ーーありがとうございました! 私もちょうど昨日、サプリメントを出そうとしてすべて床にぶちまけてしまったので、錠剤スプーンの商品化に期待しています!
◇ ◇
スプーンの素材は、「3Dプリンターで扱える素材は多種有りますが、今回はとうもろこしなどの植物由来で口に入っても安全なPAL素材で作成してあります」とのこと。
スプーンの2作目についても「皆様から頂いたリプライも参考にいろんな工夫を重ねて作っていきたいと思っています」と前向きに検討されているそうなので、MOYUKIさんの錠剤用スプーンの続編が楽しみです。