書店店頭に並ぶ表紙を見て驚きました。「二眼レフカメラ」。お値段税込み3850円。この1冊に二眼レフカメラ1台が完成する組み立てキットが入っているというのです。さっそく入手し作ってみることにしました。
二眼レフカメラとは
名前の通り、2つのレンズが上下に並ぶ二眼レフカメラ。上のレンズはファインダーに像を映すため、下のレンズは撮影するためにあります。上のレンズを通った光はミラーに反射し90度屈折。ファインダーを覗くと、スクリーン板には左右逆の風景が映っています。ピンボケや光のムラが味になり、ノスタルジックな雰囲気が楽しめます。
世界初の二眼レフカメラは1920年後半、ドイツで発売されました。日本では1950年代に発売された「リコーフレックス」により二眼レフブームが起こったといわれています。
1時間で組み上がったが…
帰宅後、開封すると20個ある大きなパーツのほか、ネジや部品など40個以上が目に飛び込んできました。ドライバーも入っています。「私には無理な気がする…」。さらに細かい組み立て図を見て自力で作ることを断念しました。
プラモデルが得意な人は楽勝かもしれない。知人の理工系大学出身40代男性に相談。「組み立てならやりますよ」のひと言に甘え、休日のおうち時間に作製を依頼しました。
土曜日の早朝、LINEが届きました。「出来ました!」。聞くと、金曜日のテレワーク終了後、缶ビール片手に作ってくれたそう。説明書には組み立て時間3〜4時間とありますが、何時間かかりましたか? 恐る恐る尋ねると…。
「組み立ては1時間でできましたが、微調整のためにもう一度最初から組み立て直し、トータルで2時間かかりました。とにかく微調整がすごく難しいです」
例えば「シャッター板送りのネジを調整する」工程。
「8分の1単位や16分の1単位で調整しました。ネジを締め過ぎたらシャッターレバーが回らない。ミリ単位での調整に手間取りました」
SNSに投稿されている購入者の製作時間を調べてみると、2時間や3時間、4時間半という声のほか、中には途中で中断している人もいました。
次の難関はフィルム探し
完成品を受け取り、ほっとしたのも束の間、次の難関は35mmフィルム探しでした。
会社近くにある家電量販店は緊急事態宣言のため週末は営業自粛中。街のカメラ店に行くと「閉店のお知らせ」の張り紙が。コンビニを数軒まわるも、かろうじて「写ルンです」があるくらい。最寄り駅から2つ隣の駅まで足を延ばし、古い商店街の中にあるカメラ店でようやく27枚撮りフィルム900円を購入しました。
プリントするまでのお楽しみ…
フィルムをセットし、いざ撮影。上から覗く撮影スタイルも新鮮です。ピント合わせもでき、シャッターレバーも問題なく下がります。フィルム送りも順調。
普段、スマホやデジカメでは何十枚、何百枚と撮影するのに、二眼レフカメラでは慎重になり過ぎて、いまだにフィルム1本分の27枚を撮り終わっていません。ファインダーを覗くと見える、左右逆の世界も慣れるのに時間がかかりました。どんな写真が撮れているのか、プリントが出来上がるまで分からない点もフィルムカメラの魅力の1つといえそうです。
カメラ店に現像を出す際には注意が必要なようで、自動プリントだと画像が途中で切れてしまうこともあるそう。「お店の人に事情を説明し、なるべく手動でプリントしてもらうようにしてください」と注意書きがありました。
巻頭ページでは人気写真家の嶌村吉祥丸(しまむら・きっしょうまる)さんが実際に組み立てキットの二眼レフを使って撮影した作品を披露しているほか、嶌村さんによる撮影アドバイスなども掲載されています。
「二眼レフカメラ 35mm Film Camera BOOK」は5月14日発売。宝島社公式ECサイト「宝島チャンネル」や全国の書店などで販売中。