世界トップレベルなのに、日本では知られていないスゴ技スイーツ 「3Dプリンターかと思った」「驚愕を超えて戦慄」

福尾 こずえ 福尾 こずえ

ケーキから極細の白い曲線が、レースのように吊り下がっている美しい写真。クリームじゃ不可能だから、食品サンプルなんじゃないかと…思って添えられた言葉を見てみると「これは砂糖のクリームを空中に浮かせながら絞る必殺技ナンデス」と、正体はなんと砂糖菓子! こちらを投稿した長谷川健太さん(@kenta_sucretier)にお話を聞きました。

アートと見紛うような繊細な砂糖菓子に、称賛の声がたくさん上がっています。
「至高の領域!」
「繊細な模様が均一なので、3Dプリンターの技かと思いました」
「驚愕を超えて戦慄です!」
「砂糖のレース編みですね。美しい」
「超絶技巧的技ですね」
「うわぁ♡♡♡3Dアート!」と大いに盛り上がりました。

アメリカを拠点に活躍するウェディングケーキデザイナーのマギー・オースティンさんの弟子になったことをきっかけに砂糖菓子の魅力にはまった長谷川さんに教えてもらいました。

――この画像、砂糖のクリームと知って衝撃でした!とても細やかで美しいですね。

「ありがとうございます! これはシュガークラフトの1種で、パイピングと呼ばれる技術で作成したものです。粉糖と卵白を合わせたアイシングクリームを、コルネという絞り袋に入れて、空中に垂らすように描いています」

――すごい技術ですね!これはやはり難度の高い技術なんでしょうか。

「そうですね、淡々と同じことを繰り返しできる人にしか作れない技術ですね。また、1カ所でも割れてしまうとすべて最初からやり直さないといけないので、そこが苦痛になるか快感になるかというところですね(笑)」

――うわー、すごい忍耐力! こちらのシュガークラフトについて教えてください。

「シュガークラフトとは、洋菓子の技法のひとつです。シュガーペーストやアイシングを使って、お花や飾りなど装飾用の砂糖菓子を作ります。イギリス発祥と言われていて、海外では普段から多用されているんですよ」

――そうなんですね。日本ではあまり見かける機会がないですね。

「そこが悔しいんです!日本は世界トップクラスの技術を持っているのに、海外とは異なりシュガークラフトの需要や文化がないために陰に隠れてしまっていますね。あと、日本では観賞用としてのイメージがありますが、海外では食べる習慣のほうが強いです」

――なるほど!シュガークラフトの魅力とはどのような点にありますか?

「どんなものでもリアルに忠実に再現、造形できることです。そして、それが食べられるという点ですね。僕がシュガークラフトを作成する際に気を付けていることは、常識に囚われない事です。お菓子とは異なるジャンルの技術を参考にしたり、他国の文化や感性を大切に製作しています」

――今回は、3万近くのいいねがつくほど話題となりましたが、ご感想はいかがでしょうか?

「自分でもびっくりしています。しっかりと投稿を始めたのは今年の1月1日からで、今年の方針として365日毎日1投稿はしていこうと思っていた矢先の出来事でした。反響があると、やはりうれしいですね。

シュガークラフトは、日本ではまだまだ知られていないので、砂糖でこんなことが出来るということをもっと知ってもらいたいです。さらに、シュガーの細工を買う、送るという文化を根付かせることが出来たらよいなと考えております」

――コメントで「人間3Dプリンター」と名付けられていましたね。ご感想は?

「これは単純に笑いました(笑)。面白いネーミングセンスだなぁと思ったので即採用です。ですが、機械の3Dプリンターには負けたくないという対抗心が謎に芽生えました(笑)」

――謎の対抗心(笑)。機械に負けたくないとは、長谷川さんの職人プライドにも脱帽です。今後の展望や夢をお聞かせください。

「フランスだとパティシエは医者より尊敬される職業といわれていますが、日本ではまだまだ安月給の体力仕事のようなイメージがありますよね。そういったイメージを払拭して、日本のパティシエ業界を少しでも盛り上げられたらと思っています。

また、シュガークラフトの認知度もまだまだ低いので、日本のパティシエはこんなに凄い技術を持っているんだぞというところを日本はもちろん、世界に向けて発信していきたいなと思っています」

高い技術力を持ちながら、そこに甘んじず常に努力や挑戦を続ける長谷川さん。2017年にジャパンケーキショーで日本1位を獲得し、2021年にジャパンケーキショーのシュガークラフト部門で特別審査員賞を受賞した彼が作り出すシュガークラフトは、その名の通り甘くて美しい手工芸品です。

アートのような芸術作品が食べられるなんて、ロマンティックですよね。日本でも気軽にプレゼントしあえる文化が根付くことを楽しみにしています。

長谷川さんは、2月にオープンした東京都三鷹市のチョコレート工場「chocolart(ショコラート)の創業メンバーとして勤務。そのかたわら週末には首都圏を中心に直売イベントなども行っているとのこと。2022年4月27日~30日に東京・恵比寿の「弘重ギャラリー」で開催されるイベント『お菓子×アート展』に参加予定。入場料はお茶付きで500円(詳細はDECORE JAPANのTwitterにて)。

■Twitter https://twitter.com/kenta_sucretier
■Instagram https://www.instagram.com/kenta_sucretier/
■DECORE JAPANのTwitter https://mobile.twitter.com/decore_japan

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース