先生が怒鳴られているのを見ちゃった…先生同士のいじめだったらどうしよう?【チャレンジ!こども六法練習帳】

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小学生のあなたは、ベテランの先生が若い先生のことを怒鳴っているのを見かけました。もしかしたら「先生同士のいじめ」かもしれませんね。あなたはどうすればいいと思いますか?

子どもがいじめや虐待などから身を守る際に役立つ法律の知識を、分かりやすく解説し、ベストセラーとなった話題の児童書『こども六法』に、このほど発展編として「学習ドリル」バージョンが誕生しました。題して『こども六法練習帳』。学校や家庭で直面する困ったトラブルを「練習問題」として取り上げ、ワークシートに書き込むように解いていくうち、「法律の使い方」が学べる内容といいます。書籍の中から抜粋して紹介します。

【練習問題…どうすればいい?】

ウサギさんたちは、若い先生がベテランの先生から、「3年目なのにそんなこともできないのか! アホか!」と廊下で怒鳴られているのを見てしまった。

大人の問題でも、子どものあなたができることがある

【ヒントと解説】

みんなが通る廊下で「3年目なのにそんなこともできないのか!」と怒鳴ることは、若い先生の学校での評価を下げ、名誉を毀損(刑法第230条/民法第709条・710条)しています。また「アホか!」と相手を軽べつする言葉で、侮辱(民法第709条・710条/刑法第231条)もしています。

こうしたベテランの先生の行為は、「パワーハラスメント」(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項※)と呼ばれます。上司や先輩といった立場のような、腕力とはまた違った“力(パワー)を持つ人”が部下などに対して、仕事をする上で必要な程度を超えて苦痛を与える行為をいいます。このパワーハラスメントも、こども同士の「いじめ」(いじめ防止対策推進法第2条1項)のように、また違う法律で対策がなされています。学校は先生たちの「働く場所」ですから、働く人にとって安心・安全な場所でなければなりません。働く人を守る法律も大切なのです。

そんなパワーハラスメントを目撃してしまったウサギさんたちは、親や校長先生などの大人に、すぐに相談してほしいです。そうすることが若い先生を救うことになるだけでなく、こどもにとっても、学校をより安心・安全な場所にすることに繋がります。

また、みんなが働きやすい社会の実現は、いつかは働くことになる“将来のあなた”が過ごす環境を良くすることにも繋がっているのです。

【条文紹介】

※「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項 雇用管理上の措置等」

通称「パワハラ防止法」と呼ばれている法律で、以下のような条文となります。▽事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

  ◇   ◇

教育研究者の山崎聡一郎さんと、弁護士の真下麻里子さんによる『こども六法練習帳』は永岡書店刊。192ページで1400円(税抜)。巻末では、実際にトラブルに遭遇したときの相談先なども紹介。証拠を残すためのメモや日記のとり方や「助けを求める手紙」の書き方などを、空欄に書き込むことですぐに使えるテンプレートとあわせて紹介しています。

▽永岡書店『こども六法練習帳』
https://www.nagaokashoten.co.jp/book/9784522439395/

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