オンラインゲーム代行→報酬ポイントをゲット→現金に 中学生の息子の予期せぬ行為に衝撃 「禁止するだけでは解決しない」

くま ゆうこ くま ゆうこ

子どもがゲームに没頭し、やりすぎではないかと悩んでいる保護者の方は多いでしょう。特に小学校高学年から中高生に人気のオンラインゲームでは、大小さまざまなトラブルがあり、親の不安も大きい傾向があります。ゲーム好きの中学生の息子さんから、「銀行口座を開設したいから自分のマイナンバーカードを貸して」と言われ、息子さんが単にゲームで遊んでいただけではないことを知って衝撃を受けたという相談がありました。

「銀行口座を開設したい」と言われて発覚  

▽Mさん/43歳

突然、息子(中2)からマイナンバーカードを貸してと言われました。理由はインターネットバンキングを開設するためです。「ゲーム代行」をしたので報酬のポイントが発生し、これを現金化するためだと言うのです。

ゲーム代行は違法性がない仲介サイトを通しているようですが、まだ中学生なのにゲームを利用して報酬を得ること自体に違和感があり、わが家ではひとまず「それはだめ」と許可しませんでした。本人は不満のようですが、ゲーム代行とはどういうものでしょうか。

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ゲーム代行とは、たとえばレベルをあげたアカウントを売ったり、レアアイテムを販売したり、あるいは依頼を受けた他人のゲームのアカウントに入りレベルアップをする「代行サービス」です。

オンラインゲーム内の仮想通貨やアイテムを実際のお金に換金し売買する方法は、RMT(Real money trade)と呼ばれています。ゲームを運営する企業の多くは会員規約でRMTは禁止はしているものの、ゲーム外のオンラインオークション等で売買が行われているのが実情です。現状では取り締まる法律も整っていません。

オンラインゲームでは、強い武器がほしいと思っても、なかなか入手できません。そのスキマをついたのが、ゲーム代行です。何百万円というのなら最初からあきらめるでしょうが、お小遣いの範囲でも購入できるものも多い。情報を知った子どもはゲーム代行サイトの利用や、時にはTwitterなどSNS上で武器やアイテム等の取引をしようとします。

大人の間では数年前から取引が行われていましたが、ここ最近では、中高生の間でも広まっており、さまざまなトラブルが発生しています。

オンラインゲームとゲーム代行のリスク

ゲームをしながらお金が稼げるのは、子どもにとってたいへん魅力的です。また、買う側の子どもにとっても、お金さえ払えばオンラインゲームで優位に立てる、レアなアイテムが手に入るわけですから、お小遣いの範囲ならいいだろう…と思うでしょう。

しかし、法律上では問題がなかったとしても、たとえばアカウントを誰かに渡すことはリスクのある行動です。もちろんゲーム会社もアカウントを他人に渡すことは基本的には認めていません。ログインに必要なアドレスやパスワードといった個人情報を安易に教えてしまうことは危険です。

また、ゲームで強くなりたいあまりに、どんどんお金をつぎこんでしまったり、逆にお金が手軽に稼げると思う中学生がゲームにはまってしまうのも、健全とは言えません。

今やオンラインゲームは、友だちとつながる便利で楽しい方法です。特にコロナ禍で外出が難しい中では、オンラインで一緒に遊べることは子どもにとって良い息抜き、気分転換にもなっているのでしょう。

とはいえ、お金がからんだり、さらには個人情報がやり取りされるようになると、トラブルが起きるのは目に見えています。今回のご相談では、仲介するサイトを通しているので、大きな問題は起きなかったかもしれませんが、こうしたネット上での売買を認めるかどうかは各家庭に委ねられています。というのも、こういった仲介サイトの規約では「未成年者がサイトを利用した場合、親権者等の承諾を得たものとみなす」となっています。つまり、子どもが行ったことについては「親に責任がある」とされているのです。

放置せず、あきらめず

オンラインゲームは保護者の見えない部分がたくさんあります。友だちも来ていないのに、子ども部屋から話し声がするのでビックリしてドアを開けると、オンラインゲームで友だちとボイスチャットで会話している…なんてことは珍しくありません。しかも、親しく話してるから、友だちかと思っていたら、見ず知らずの相手という場合もあります。誰と話しているのかも子どもが教えてくれない限りはわかりません。

小学生ならともかく、中高生には親が踏み込めない、彼ら彼女らの世界が構築されつつあります。親が想像している以上に子どもはネット上を自由に泳ぎ回り、自分の世界を広げていることは少なくありません。「ゲーム禁止」と決めればいいのかといった単純な問題ではなく、少しずつ子どもの成長も認めなくてはならない年代であることは親も受け入れなくてはなりません。

しかし同時に「中学生であっても、まだまだ親の保護下にあること」をしっかり子どもに伝えるべきです。ゲームについては、よく言われていることですが、課金も含めて家庭のルールを早めに作り、年齢や状況にあわせて、随時、ルールを変更していくのがいいでしょう。

中学生ともなると、「これは約束」と言ったところで反抗もするでしょうし、ルールを守らないこともあるでしょう。親の話を無視したり、話そうとすると口をつぐむこともあるでしょう。それでも、親は繰り返し子どもに言い聞かせるしかありません。

少なくともマイナンバーカードを渡すといった行為はやめておいたほうが良く、子どもは深く考えていないかもしれませんが、リスクについてはきちんと伝えたほうが良さそうです。親が知らない間に、子どもはさまざまな情報を得ています。親も無関心にならず、子どもの様子を見守ることが大切です。

オンラインゲームひとつをとっても、本当にいろいろなことがあります。子どもの年齢が上がるにつれて親にはついていけないことも出てきます。親もゲームや課金のシステム、こうした代行サービスについてなど、いろいろな知識を得ておくことも必要な時代となってきています。

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