SNSで出会った「顔も知らない人」を友達だと断言する子ども…“新しい生活様式”についていけない親御さんへ

くま ゆうこ くま ゆうこ

コロナ禍の影響で、リアルに会って遊ぶ機会が減ったこの1年、中高生たちは「ネット上で」「バーチャルで」友達とのつながりを増やしています。

子どもしかいないはずの部屋から、楽しそうな会話が漏れ聞こえてくるので驚いてのぞいてみると「子どもがオンラインゲームで見知らぬ相手と会話している」なんてこと、ありませんか?

会ったこともないのに「親しい友人」を作る子どもの新しい生活様式についていけない、理解できない保護者もいることでしょう。今回はそんな悩みを抱えるお母さまのご相談に答えていきます。

息子がSNSで顔も知らない人を友達だと断言するのが不安

▽Mさん/41歳

中学生の息子がいます。自粛期間の影響もあり、息子はほとんど学校の友達とも出かけないし、遊ぶ約束もしていません。彼が最近「仲がいい」と言うのが、SNSで知り合った友達です。

顔も知らない相手に、息子は個人情報とか話しているのだろうかと心配だし、会った事もない相手を「友達」と断言する息子に対して不安が募るばかりです。ボイスチャットで、楽しげに話しているけど、細かいことはわからず、相手が女子なのか男子なのかもわかりません。

こういう友達関係ってどうなのでしょうか、私はそれもアリなのかもと思いつつも、中学生(大人ならまた別です)なら、やっぱり一緒に遊びに行くとか、部活の仲間と出かけるとか、それが普通な感じがしてなりません。部屋から一歩も動かず、でもどんどん知り合いの輪を広げていくのは、どこか、不健康だと思ってしまいます。

   ◇   ◇

ズバリ結論から言いますが「顔が見えない相手だとしても、それがお子さんにとって楽しい時間を過ごせる関係なら、あまり神経質にならなくてもよい」「最低限のリスクだけ教えておこう」この2つがお悩みの回答です。もう少し詳しくお話します。

ネット上の相手は「どんな人かはわからない」リスクがある

このお母さんの不安が手にとるようにわかります。自分がまったく経験したことのない「手段」で友達作りをしているのですから、想像もつかず、不安が膨らむのでしょう。

顔が見えない、会ったことがないというのは、中学生くらいでまだまだ状況判断や人柄を見極めることができない年齢であることを考えると、なかなか難しいところがあるのも事実です。

自分の話をよく聞いてくれて、本当の友達だと思った相手がかなり年上の人だったり、女性のフリをしている男性という場合だってあり得るかもしれません。

でも、万が一、その相手が同年代の友人ではなかったとしても、本当に「うん、わかるよ」と寄り添って真剣に話を聞いてくれているのかもしれません。

どれが真実なのか全く見えてきません。わからないのです。この「わからない」ことがリスクであるのだと親は子どもに教えなくてはなりません。

そして残念だけど悪意のある人もいるとうこと。個人情報を教えないのは当然ですが、ヒントとなるようなことも話してはいけないことをしっかり教えておかなくてはなりません。

一例をあげるだけでも

・よく行く店の名前
・近くにあるランドマーク

などを無意識に話してしまい、居場所を限定されたというトラブルは実際にあります。

会話の中で「あのショッピングセンターなら歩いていけるよ」なんて答えたり、「あのお店、知ってる。週に1度は行くんだ」なんて話すと、どんどん住んでいる場所が限定されてくるといったことを、子どもに注意させる必要があります。

相手が本当に調べようとしたら、それこそ言葉の端をとらえてあっという間に解析してしまいます。そんな相手ばかりではないのですが、リスクがあることを必ず子どもにも理解させましょう。

子どもの意思を尊重しつつ「最低限の防御」を教えよう

リスクを考えつつ、「SNSで知り合うなんて怖い」と子どもがバーチャルに構築しつつある繋がりを全面的に否定するのは逆効果だということです。

むやみやたらに「SNSで知り合った人なんて」と顔をしかめて頭から否定してはいけません。言うとしたら「お母さんには理解できないけど」程度じゃないでしょうか。自我の目覚めも非常に強い時期に、親が力づくで彼のプライベートな感覚を叩き潰すのはよくありません。

生活リズムが崩れるほどにネット世界にのめり込むようだと別の問題となりますが、学校から帰ってきて、ちょっとネットにつないで「そこでの友達と雑談している」「ゲームしながら会話している」のなら、なるべくおおらかに見守っていきたいです。よく手を離しても目を離すなといいますが、

親は子どもの行動や様子を「見守る」「関心をもっている」ことが大切ではないでしょうか。

親と子どもでは違う世界がある

心配しているお母さんに、もうひとつお伝えしたいことがあります。

それは「親が思う友達との関係の作り方が必ずしも正しいとは限らない」ということ。親の感覚で「なんなのそれ、それって友達とかじゃないから!」と指摘するのは、どうでしょう。

なぜなら、友達という定義なんて、本当はないからです。

ある人から見たら「そんなの本当の友達じゃない!」と思ったとしても、その人にとって心の支えになるようなものがあったら、その人にとっては大切な友人かもしれないのです。

親は親ではあっても、誰よりも子どものことを心配していても、本人ではないのです。この人とは本音で語り合える、この相手は信頼できると思う、それは本人にしか判断できないことではありませんか。

親が知らない子どもの世界が広がっていくのは、正しい成長段階です。子どもの世界に親が土足で踏み込み、頭ごなしに「これはダメ、これなら良し」と勝手に判断しないことです。

判断の基準は、親子で違います。夫婦でも違います。中高生ともなれば、判断の基準が違うからといって「お母さんの基準通りにしなさい」と押し通す年齢でもありませんね。

親は山ほど不安だったとしても、それが明らかに危険だと思ったとき以外は、心配しつつ見守るしかありません。そして、それでも「見守っている」その最低限できる親のスタンスが、ある種のリスクから子どもを守ることも、それもまた、事実です。

無関心でないこと、それが子どもにとって「ん?そういえばお母さんがこういうことを聞いてきたら危険だって言ってたっけ」「お金くれるってどういうことだろう、やばいな、お母さんやお父さんにバレるかな」と、何かの場面でハッと親の存在を思い出し、なんらかのブレーキがかかるかもしれません。

親が子どもの友達関係に関心を持って見守ること、心配することも含めて、それは正しい親の姿勢です。このお母さんが悩みつつ息子さんを見守り続けていることはとても大切で、間違っていないのではないかと思います。

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