畜産副産物としてレザーは活用されるべきとする意見がSNS上で大きな注目を集めている。きっかけになったのはミラノと京都を拠点にアパレルブランド「renacnatta(レナクッタ)」を運営する株式会社Dodici代表取締役の大河内愛加さんの以下の投稿。
「革=非エコと決めつける人もいるけど人がお肉を食べる限り、牛乳を飲む限り、畜産副産物としてレザーは生まれる。レザー工場の人は『ファーと一緒にはされたくない』と言ってたなあ」
現在、欧米を中心に皮革産業に対し極端な忌諱感をむき出しにする人々が増えているが、たしかに人間が動物の肉を食べ畜産業を営む限り、革は副産物として生まれる。それを活用しないことはむしろ生命に対する冒とくになるのではないか。大河内さんの投稿に対し、一部の動物愛護家から反発はあるものの
「全部きちんと『始末』すること 償いと責任 そんな印象を受けます」
「たとえば牛肉を一切食べず、動物実験をした薬品を全く使わず闘病するなどしている人が『牛革製品は牛虐待だから、使わない』とするのは筋が通っているし、敬意を表します。けれども、牛肉を美味しく食って、動物実験の成果による薬で健康になっておきながら、牛革製品批判するのは、無知なだけですね」
「あまり知られていませんが、電気工事などで使う手袋の中には豚皮製のものもあります。固いので細かい作業には不向きですが、丈夫で破れにくいです。牛や豚のレザーはもっと日用品に活用して欲しいです。」
「同じ理屈が木材にも言えます…プラスチックよりサスティナブルなのに伐採は悪と決めつけられます…」
など賛同のコメントが多数寄せられている。
大河内さんにお話を聞いた。
ーー今回のご投稿のきっかけをお聞かせください。
大河内:レザーを使う商品を展開していく予定があるのですが、その視察のためレザー工場へ行った時にこの話を聞きました。
ーー服飾品に用いる上での革とファーの違いについてどのようにお考えでしょうか?
大河内:全てとは言えませんが、革は畜産副産物である一方、ファーはそれを作るためだけに飼育され殺されることが多いです。どちらも動物から生まれる素材ではありますが、一緒にとらえることは危険だと思います。
ーー服飾品に革を用いることの意義や素材としての魅力をあらためてお聞かせください。
大河内:人間が食べるものとしていただく以上、その命に感謝して使えるものを無駄なく使うことが人間の使命だと思います。また手入れさえしっかりすれば革はずっと使うことができるので、それもまたサステナブルな一面と言えると思います。
ーーこれまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
大河内:「革のアイテムをもっと大事に使おうと思った」などの声が届き、嬉しかったです。革の業界の人からも「知ってもらえて嬉しい」という声が届きました。業界では革が畜産副産物というのは当たり前ですが、それが私をはじめ一般的に知られていないというギャップがよくわかりました。この発信をしてよかったと思っています。
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大河内さんの投稿のきっかけになったレザーアイテムは、今年夏頃にブランド「cravatta by renacnatta」から販売予定。デッドストックになっている革を使用する予定とのことなので、革を用いたよりエコなアパレル産業のあり方が世間に発信されるきっかけになってほしいものだ。
【大河内 愛加さん 関連情報】
▽大河内 愛加さんTwitterアカウント
https://twitter.com/aikanium
▽「cravatta by renacnatta」サイト
https://cravatta-by-renacnatta.com
▽「cravatta by renacnatta」Twitterアカウント
https://twitter.com/c_by_renacnatta
▽「cravatta by renacnatta」Instagramアカウント
https://instagram.com/cravatta_by_renacnatta/