大阪梅田と山陽姫路を結ぶ直通特急は阪神沿線、山陽沿線にとって欠かせない優等列車です。1998(平成10)年のデビュー以来20年以上が過ぎましたが、停車駅は多様化しています。直通特急の停車駅のパターンはどれほどあるのか、時刻表などを使って調査しました。
そもそも直通特急が停車する駅はどれくらいあるの?
まずは時間帯に関わらず直通特急が停車する駅を数えてみましょう。
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【直通特急の停車駅】
▽阪神電気鉄道本線(大阪梅田~元町)
大阪梅田、尼崎、甲子園、西宮、芦屋、魚崎、御影、神戸三宮、元町 9駅
▽阪神電気鉄道神戸高速線(元町~西代)
元町、西元町、高速神戸、新開地、大開、高速長田、西代 6駅
▽山陽電気鉄道本線(西代~山陽姫路)
西代、板宿、月見山、山陽須磨、滝の茶屋、山陽垂水、舞子公園、山陽明石、東二見、高砂、荒井、大塩、白浜の宮、飾磨、山陽姫路 14駅
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計29駅が直通特急停車駅ですが、このうちすべての直通特急が停車する駅は22駅にとどまります。つまり7駅は時間帯などにより通過する場合があり、直通特急の停車駅を複雑にしています。
甲子園駅に止まるか、止まらないかで場合分け
数学の解法ではありませんが、まずは甲子園駅に止まるか、止まらないかで場合分けしましょう。先に甲子園駅を通過する直通特急を確認します。
甲子園駅を通過する直通特急は平日上り(大阪梅田方面)朝ラッシュ時に運行する7本のみ。このうち滝の茶屋駅に停車する列車が5本、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅に停車する列車が2本です。
※停車駅順は比較しやすいようにに下り(山陽姫路方面)に統一します。
▽1 甲子園駅通過、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅停車、荒井駅・白浜の宮駅通過
▽2 甲子園駅通過、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅停車
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次に大多数にあたる甲子園駅に停車する直通特急を確認します。甲子園駅に停車する直通特急は神戸三宮~板宿駅間に通過駅がある「赤方向幕の直通特急」と神戸三宮~板宿駅間を各駅に止まる「黄方向幕の直通特急」に分かれます。また昼間時間帯は滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅には止まりません。
▽3 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅通過
▽4 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間は各駅停車、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅通過
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最後は滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅に停車する列車です。山陽電車のホームページによると荒井駅・白浜の宮駅は朝夕ラッシュ時に停車、滝の茶屋駅は上り朝ラッシュ時、下り夕ラッシュ時以降停車、と書かれています。
最初に滝の茶屋駅通過、荒井駅・白浜の宮駅停車の直通特急から。さらに「赤方向幕」「黄方向幕」の場合分けも必要です。
▽5 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅通過、荒井駅・白浜の宮駅停車
▽6 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間は各駅停車、滝の茶屋駅通過、荒井駅・白浜の宮駅停車
続いて滝の茶屋駅停車、荒井駅・白浜の宮駅通過のパターンです。
▽7 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅停車、荒井駅・白浜の宮駅通過
▽8 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間は各駅停車、滝の茶屋駅停車、荒井駅・白浜の宮駅通過
最後に滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅に停車するパターンです。
▽9 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間に通過駅あり、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅停車
▽10 甲子園駅停車、神戸三宮~板宿駅間は各駅停車、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅停車
つまり、直通特急の停車駅は計10パターンも存在することがわかりました。
なぜ、ここまでややこしくなったのか
直通特急運行開始時はここまで複雑ではありませんでした。直通特急の増発に伴う時間調整を目的とした停車や乗客が多い駅にラッシュ時間帯に停車した結果です。これ以上、複雑になることがあればいっそのこと種別を整理した方がいいような気がします。
解決策のヒントとなり得るのが京阪電気鉄道です。京阪では長年にわたり一部時間帯の急行と準急は、守口市駅を通過していました。しかし守口市駅を通過する列車も停車する列車も区別なく「急行」「準急」と表記。どれだけ駅で案内をしても、誤乗が相次いだようです。
中之島線が開業した2008(平成20)年10月ダイヤ改正で京阪は種別の大整理に着手。朝ラッシュ時に運行される守口市駅通過の準急は「通勤準急」になりました。
また急行の停車駅を減らした新種別、快速急行を新設。守口市駅通過の快速急行は「通勤快急」になり、守口市停車/通過で種別を厳格に分けるようになりました。
種別が整理されたことにより、守口市駅通過の列車が一目でわかるようになりました。しかし今度は「種別が多すぎる!」という声も。完璧な解決策を見出すのはなかなか難しいようです。