「さすが落語家」高座から落ちた!?「見事な出オチ」「仕込みではなく、こんな偶然あるんだね」

太田 真弓 太田 真弓

「本当に吸い込まれるようだった。仕込みではなく、こんな偶然あるんだね」と、落語家・桂竹紋(たけもん)さん(@katsura_takemon)がツイートされた高座での動画が「さすが落語家!!」と話題を集めています。

そこは熊本県熊本市某所のイベント会場、「落語二人会」と名をうったこちらの寄席。出囃子が鳴り拍手が送られる中、いつものように高座にあがられた竹紋さん。ところが座布団に座ったその瞬間、お尻からズボッと真下に落下したのです。「う、うわぁ!まじかー!」と観客もびっくりされる中、竹紋さん本人も「ど、どうしたんですか?まじで」と一瞬何が起きたのか分からなかった様子。

「『お後がよろしいようで』といって帰ってもいいと思う」
「兄さん怪我はなかったですか?」
「お尻から落ちたのでまだ良かったですね」
「なんか笑いの神に愛されてそう」
「底抜けに明るい年になりますように、ってことですかね?」
「本当に落ちたから落語」
「トラブルでもすぐに立ち上がらないで笑いに変えていくあたりは流石です」
「出囃子中に落ちを持ってくるとは斬新」
など、落語に絡めたリプや心配の声などたくさんの反響が寄せられました。

こちらの動画の瞬間について竹紋さんにお話を伺ってみました。

―竹紋さん自身もびっくりされておられる表情でしたが、実際あの瞬間どんなお気持ちでしたか?また、おケガなどはなかったですか?

ケガどころか痛みすらなかったです。ただ私が落ちた瞬間は一瞬「ドッキリかな!?」と思ってしまいました。しかし主催者の青ざめた顔を見た途端に「ドッキリではないな。…あっ!これは机を壊してしまったか…。しまったな…」という気持ちでした。机は全く壊れていませんでした。

―おケガもなくて本当に良かったです。出番は一番だったのでしょうか?

出番は三番目でした。前座と私の前に上がった落語家が何事もなく落語を終えて帰ってきましたので、私は落語の事ばかり考えながら高座に向かいました。今回の寄席は、前座と私含め二つ目の落語家二人の合計三人で開催しておりました。

―落ちた直後とはいえ「一旦音止めましょうか」と冷静に話しておられました。その後どんなお気持ちでお噺を披露されたのでしょうか?

体は何ともなかったので、すぐに高座を新しく作り直して、このハプニングも落語のネタにして演目に入りました。

―なんと!すぐにネタに!!それはどのような内容だったのでしょうか?

朧気でしか覚えてないのですが…「丁度『細かすぎるモノマネ』に出たかったんですよ!今帰ったら、一言も発せずに爆笑を取った落語家として名を残せるんだけどなぁ~。でもお客さん!安心してください!今日の落語の一番の山場はさっきの“落ちた”ところですよ!」といった感じで演目に入る前のまくらの部分でいじり、振らせていただきました。

―動揺されるどころかまくらにして振られるとは…流石です!!演目は何を披露されたのでしょうか?

演目は「磯の鮑」という、与太郎というちょっとおバカなキャラクターが吉原に行くという演目です。私はこの与太郎というキャラクターをさせて頂くのが好きなもんですから(笑)。

―寄席のお客様の反応はどうでしたか?

会場にいたお客様は、最初は「ドッキリなのかな…」という感じでして、とにかく笑ってました。笑っていただけて、私は「この後も無事に落語が出来る!」と確信し、救われた気分でした。そしてお客様は「落語も聴けてハプニングも見れて得した気分だった!」と喜んで帰っていただきました。

―それは噺家冥利に尽きますね。思わぬハプニング動画がかなり反響を呼んでいます。

仲間内(落語家)に「こんなハプニングがあったんだ!」と喜んでもらったら嬉しいなと思っていました。現に落語家の方々からは、「この高座に座ってみたい!」とか「オイシイ思いが出来て羨ましい~」と反響をいただきました。思いのほか、多方面の方々の目に触れたようでとても驚いています。

ちなみにこちらの主催者さんとは何度も一緒に落語会をさせていただいており、とてもお世話になっていて信頼関係もあります。高座の事をとても反省されておられて、その後は一度もヒヤリとする様な事はありませんでしたので、ご覧になった皆様は単純に動画を観て笑っていただけましたら幸いです。

そして私は二度とないこんなハプニングに合い逆にラッキーだったと思っています。噺も体も落とす落語家はなかなかいないかなと思う出来事でした。

◇  ◇

落下直後にもかかわらず笑顔でカメラ目線をきめ、ハプニングを笑いに昇華し高座をやりきった竹紋さん。さすが噺家さんだなぁと思わずにはいられないエピソードでした。桂さんは東京・横浜・熊本等で落語会を開催し、「詳しくは『桂竹紋』で検索して下さい。また関西地方でも呼んで貰えるような落語家になれるように精進します」とおっしゃっておられました。

■Twitter https://twitter.com/katura_takemon

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